MT

クイルターの曲5曲を練習しました。
譜読みもほぼ完ぺきで、良く練習して来たと思います。
声の扱いやフレーズを歌う具合でも、歌詞をとても丁寧に歌っている印象が強かったです。

ただ、今回の印象として、もう少しメロディラインを紡ぐ歌い方が、結果的に
歌詞とメロディが作っている音楽を力強く表現する場合があると思いました。
メロディのキャラクターを強調する感じでしょう。

曲想によっては発音にエネルギーを注ぐと、メロディに存在している哀しさや空しさ、といった表現から離れてしまう場合もあるわけです。
特に4曲目の冒頭テーマの部分は、とても大切だと思いました。

また、声としても、旋律を紡ぐように歌うことで、いわゆる「レガート」なメロディラインが出来ますから、
大きなホールでも声が通り易いという効果もあるでしょう。

歌っていると気づかないものですが、歌詞発音のせいで、母音の響きが薄くなってしまうことが、往々にしてあるのです。
これが、メロディラインの濃さ、力強さを失してしまう原因になり、結果的に弱い音楽になることもありますし、音響的にも通らないことがあります。

この辺り、これからもっと伸びて欲しい課題、と感じるレッスンでした。

一点だけ発声上のコツみたいなものを・・・

見ていると、発音時に、下顎をばくばくさせて、子音と母音の発声をしているようです。
練習段階で、なるべく下顎を徹底して動かさないこと、そして動かさない代わりに舌や唇を総動員して、発声、
発音して歌ってみてください。
良くやるように、割り箸やペットボトルのキャップを歯で噛んで、その状態で歌う、というのが良い練習になります。

このことにより、発声器官が、もっとも良い状態で仕事をしてくれつつ、発音に関与することも出来る、ということになります。
腹話術師の喋りを想像してみてください。

このやり方で歌うことの意味が判れば、その時は発音上のレガートな歌唱法が出来ている、と思って良いでしょう。

SA AC

ケルビーノとスザンナの二重唱「開けてよ早く!」を練習しました。
短い歌でもありますし、暗譜が先決なので、とにかく何度も何度も通してもらいました。
暗譜が出来れば、振付も簡単だからです。

暗譜の意味は、単に楽譜を持たないという表面的な意味だけではなく、歌詞の意味を自然に動きに結び付けられる、ということです。
また、この二重唱は、特にスザンナには、出来得る限り動いてほしいところです。

ただ、今回のプログラムは、構成上無理があるので、芝居の連続性が持てません。
そのため、動きと歌詞とは少々矛盾がありますが、あったとしても、下手な動きよりは
歌詞と音楽が安定して明快に聞こえることと、無駄な動きが見せる、素人っぽさを極力排したいと思っています。

素人っぽさと言うのは変ですが、要するにステージですから、素人であろうとなかろうと、
みっともない、見づらい動きは、極力廃しましょう、ということです。

コツは・・・相手が歌っている時の、リアクションと、自分が歌いだす時のアクションのきっかけです。
おおむね、余計な動き、顔がぐらぐらしたり、目がきょろきょろします。
芝居ですから、動きとして嘘であっても、見た目がきれいですっきりしていることを大切にしましょう。

今日、大体の動きのきっかけを決めましたが、次回までに、歌詞の内容、歌の内容、劇のシチュエーションを考えて、
自分で積極的に振付を作ってみてください。

AC

ケルビーノのアリアから練習しました。

声が温まれば温まるほど、良い発声になりました。
二重唱を歌っている最初の頃は、やや締まり気味の喉が、徐々に開いて来て適度な共鳴を伴う、良い声になっていました。
声は、基本的にも本当に良く響くようになったので、特に言うことはありません。

今回は、歌の振付に時間を割いたので、出来ませんでしたが、日本語歌詞の明瞭な発音に、もう少し意を注いでほしいと思います。
そして、そのことが、自然な振付を生み出すことにもなるでしょう。

目の前の伯爵夫人を思って歌うのか?歌う立ち位置、を良く考えてみてください。
そのことで、自分のちょっとした動き、方向などが、見えてくると思います。

細かく動くのではなく、歌のフレーズ、音楽の切れ目、変わり目を利用しましょう。
客席に訴える部分、夫人に訴える部分、自分に向かって歌う部分、これだけで3つのパターンが出来ます。

そして、もっとも大切なことは、歌詞を楽しんで「言って」ください。
あえて「歌って」ではなく「言って」と書くのは、言葉を語ることを楽しむ、ということです。
血沸き、肉躍る!なんて言葉は面白いではありませんか!
そういう言葉を面白がらずに、演技はありえませんし、歌もあり得ません。

これも、自分で考えて来てください。

ラヴェルの3つの詩は、特に1曲目のブレスが厳しいので、更にブレスを入れました。
後は、暗譜と、ピアノ伴奏合わせで作り上げましょう。
暗譜を急ぐことと、低音発声を明快にすること、高音は、ファルセットにならないように、少し締め気味で当てると良いでしょう。