OM,GH

フィガロの結婚、伯爵とスザンナの二重唱を練習しました。
暗譜はほぼできていますが、振りが付くとタイミングを間違えることもあり、暗譜はもう少し、という状態でした。
次回は通しけいこになってしまいますので、くれぐれも暗譜を確実にしてください。
特に、掛け合いでの入りのタイミングは、盤石なものにしておいてください。

今回のこのステージはモーツアルトのオペラの有名な二重唱、三重唱そしてアリアを並べて新たに作りなおした
いわゆる「ヴァラエティーショー」(寄席芸)と思ってください。
オペラの素材を使ってはいますが、「オペラ」ではありません。

誰もが見て楽しく、そして面白いステージを目指してほしいのです。
元々がこのオペラがBuffa(喜歌劇)ですが、もっと庶民的なものと考えてください。
そのために日本語歌詞でやるわけです。
本格的なオペラをやるのであれば、原語の歌詞でやりたいと思います。

バラエティーショーという意味でも、振り付けはとても重要なのです。
動きは、重い切って、動くことが大切です。
これは、本人が面白がってやらないとアピールしません。

理屈やタイミングも大切ですが、それ以前にその動きと意味を理解して、そのことに納得して思い切って動いてください。
そうすれば、たとえ失敗してもそれが面白くなります。
それを手順だけで失敗しないようにと思ってやると、面白くもなんともないステージになってしまうのです。

それから、顔を中途半端に動かさないで、決めたら動かないことです。
相手に完全に向く場合、相手に大体向く場合、正面を向く場合の3種類を考えて、決めてください。
視線も下を向くとしたら意味があります。
これは、視線もそうです。視線も宙を泳がないように注意してください。

常に自分の顔や視線には意味があると思われる、と思って、この顔の向き、視線、表情など、メリハリを付けて決めてください。
動きも、動くか、止まるか?そのメリハリを決めてください。

SM

発声練習は、Iの母音で始めて、Aに変えて同様に昇り降りしました。
この発声練習ではほとんど問題なく、2オクターブ近い音程を上り下りできます。

ということは、発声的にはもうほぼ中低音の発声に問題はない、と考えています。

歌う中で、特に高音を出してから低音が徐々に出なくなるのは、喉枯れを起こすのが
一般的な原因ですから、やはり高音発声の喉の使い方に原因がある、と思われます。

今日は、本番が近いモーツアルトのS’altro che l’acrimeを何度も練習しました。

ポイントは、もっとも頭の第一小節目のS’altro che l’acrimeと歌う、1点A~F~Gのフレーズです。
感覚的には、低音を出そうと喉を下げますが、下げ過ぎると、かえって声帯が開きますし、
当てようとしても、声区の問題で当りません。

ここは、喉も軟口蓋も良く開いて、高くアタックするように声を出すのが、ピッチも良く、また中低音の
響きも出せる方法だと思います。
当てようとしないこと、です。

当てようとしなくても、喉の状態が良ければ、後は喉や軟口蓋の開き具合で、共鳴も出ますし
ピッチも良くなる、ということです。

この辺りは、かなりうまくなったのですが、それでもどうも喉の開いた声ではなく、
軽く口先で出しているような感じがしてなりません。
このことが、同じでないとしても、低音感のない声につながっているのだ、と思います。
当らない声だとしても、自然に喉が下りた状態で、胸に軽く響かせるような声であるかどうか?
という観点はとても大切でしょう。

高音を出したと出、低音が出にくいのは声枯れを起こしている、と思います。
こればかりは、高音発声を気を付けないといけませんが、どうもその高音自体も、ファルセットだけの声なのか、
きちんと喉を使っているのか?という境目が判り辛い面があります。

ファルセットだけで出すのも良くない、と言う面もあるでしょう。
次回、最後ですがやってみたいのは、高音をしっかり出しておいて、低音を出すのと、
高音をファルセットで出してから低音に戻るのと、どちらが低音発声に良いのか?
ということです。

高音をしっかり出すとしても、もちろん締めてはいけないのですが・・

最後の高音の伸ばしは、出来れば細く当てて、クレッシェンド出来れば良いですが、
細く当てるにしても、音程がふらつくのであれば、そうしないで、普通に当てて
出す方が安心でしょう。

YT

今日はバリトンらしい深く厚みのある声が出ました。
出せてみれば簡単なことに思えますが、そこに至るまでの紆余曲折があって、簡単に出来るのでしょう。

彼の発声の今までの傾向は、口先を開けないで、声帯を綺麗に合わせることに徹底していました。
いわゆる、中音域の声を前に響かせる発声です。

これはこれで、倍音のある明るい声の響きが出て、音程感は良いですが、響きの厚みや深さが出てきません。

このために、前回辺りから上手く行き出した、ブレス時に口中であくびをした感じ、というのが、喉奥を開く発声に有効ですが、
彼の場合、これが抜群に効果的です。

声帯も、細く鋭く当てるのではなく、太くしっかり当てる感じで、かつ息の混ざり具合が良いので、共鳴のある響きが出てきました。

この発声で1点Fまで充分行けるのですが、そこから先が難しいです。
しかし、力まないで声の喚声の感覚がつかめれば、むしろ楽になると思います。

今できることは、喚声したら、声を押しすぎないようにすることと、音程を取る作業は鼻腔を意識することでしょう。

曲はベッリーニのVaga lunaとイタリア古典のGia il sole dal Gangeを練習しました。
どちらも、とても良い出来でした。Vaga lunaは、Ei sospirやDell amorの1点Eの声は喚声を意識すると良いでしょう。

Gia il soleは、素早いテンポ感と男らしさがとても良く現れていて、音域的にもぴったりです。
これも高音の喚声の強さを押しすぎないように、注意すれば大丈夫と思います。

最後にTu lo saiもやりました。
これも発声はまったく同じにすべきでしょう。
ただ、1点Fisは本当に大変です。喚声の意識を明快に持って、なおかつ押しすぎないように充分気を付けてください。