HM
体験レッスン後の初レッスン。
発声練習をやると、発声の一つのコツを体得している様が歌う姿に表れていた。
そのことを感じたのは、母音をIにして上向スケールで上がって行った時。
中低音の声は良く倍音の出る前に響く声だが、ブレスの入り方と胸の開きや、明らかに上顎から上の響きを意識している様も感じられた。
高音の声区に入る手前、2点C辺りから声が中に入る傾向が強い。
音程が良く喉が締まらない発声で、共鳴もあり、Sotto voceとして使える声として出来ている。
今後はこの声にプラスして、響きを前に出した明るい声が出せるだろうと感じ、今後の課題としてもらいたいと思う。
発声は最後にスタッカートで3点Dくらいまでやったが、まだまだ上まで出そうな感じ。
レッジェロの素質が充分あり、選曲と訓練次第で相当に伸びるだろう。
コンコーネの15番から1番を練習。
最初は母音をAにして練習した。Aだと喉が開いて、響きがこもる傾向があるので、Iにしてみたが、高音発声に換声すると、
やはり声が奥に入り込む感じ。
最後にEもやったが、まったく同じだった。
歌っている様子を見ると、換声点前辺りから、口先を開けて発声するから声帯を開くようにしているのだろうか。
このやり方だと、恐らく喉を深くするから声の響き自体も奥に入る傾向になるのではないだろうか。
体験レッスンでも、音楽性の高い声を聴いて驚いたが、改めて今日に向けての新曲を与えて聴いた印象が鮮烈だった。
魔笛からパミーナの「ああ、私にはわかる。全ては消え」
この曲であれば、彼女の現在の発声が良く活かせる曲と感じた。
ただ一か所だけ、Dir allein fuhlst du nicht Lieb seinen のフレーズ、2点D～Esを廻るように歌うフレーズの、2点D～Esの声が
いかにもくぐもってしまうのが惜しかったので、声を前に集めるように上顎に響かせるように指示した。
それだけで声が明るい声に変わる。
今後は、この換声点あたりの発声で、意識して行くと良いだろう。
急がずに、徐々にしかし確実に身につけて行けば良い。
表現幅の広い声になって、鬼に金棒である。
