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ある歌のスタイルを出す固定的なポイントが出来ている、という見方も出来る、良く出来た歌唱ではあります。
今日は、ブラームスのレクイエムのソロアリアを練習しましたが、中低音~高音まで、バランス良く歌えて破綻がありません。ブラームスのレクイエムのアリアの雰囲気は良く出せていた、と思います。

好きな歌を選択して勉強しながら、楽器としての声をもっともっと伸ばしてほしいです。

声も楽器の一つという見方をもう一度思い出して下さい。
楽器、というものを客観的に観察すれば判ると思います。
クラリネットやオーボエや、あるいはバイオリンやアヴイオラ、チェロ等々。
楽器自体が出す響きを傍で聴くと、倍音の強い響きが感じられませんか?

声も同じだと思います。そのような声の直接音の響きが、ホールという大空間を反射し、干渉しあって
初めてあのような美しい声の響きになって、聴衆の耳に到達するのだ、ということです。
あるいはCDなどの録音の声も同じことでしょう。

当初からの彼女の悩みでもある、声の響きがある時に割れる、という現象ですが、
この原因はなかなか掴みづらいですが、高音発声から低音に降りるフレーズで表れやすいように思いました。
胸声と頭声のミックスが上手く行かず、声区が二分された現象が起きるために、響きが割れる現象が起きるのではないか?と思いました。
その意味でも、もっともっと中低音の声から、声に芯を付けて倍音の出る声の響きにした方が良いと思います。

気を付けるべきは、生の地声にならないこと、強過ぎる胸声にならないことだけです。
ハミングの練習が良いのは、この胸声であっても、ピッチを高く意識して出すことで、頭声の混ざったミックスした声の響きが作り易いことにあります。

そしてピッチの正しいハミングが出来たら、そこからNgaと言うように、軟口蓋を開いて母音に変換します。
この時、開き方が足りないと、鼻声っぽくなりますので注意して下さい。
上手く行った時は、んが~とすっきりした明るい母音がスカ~ン!と出ます。この違いは大きいです。
これが出来れば中低音の声は出来上がったと言っても過言ではないです。
高音の声は、そのまま上がって自然に高音が歌えれば、今は良しとして下さい。

母音だけの練習でやるならば、IやEなどの母音の響きを重用してください。
喉を使う意識が出るかもしれないですが、大丈夫です。
また、声を出す重心の感じ方ももっと、低く意識してみてください。

そのことと関係ありますが、ブレス時に、あまり下腹部をきつく締めないで、もっとリラックスして、
自然にブレスをしてください。

最後に上記の方法を取り入れて、イタリア古典のVioletteを練習しましたが、良く通る声であり、当初の発声の声よりも
良く通る声になっていた、と思います。
ぜひ取り入れて練習を続けてみてください。