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発声練習から、彼女としては力強い中低音が出ていて期待させられた。
実際の歌唱では、やはり中低音がいつになく良く響く声になっていた。

マスカーニのアヴェ・マリア

弱声に十分留意をして、歌いこむところは十分に歌うということ。
特に冒頭の入りは弱声の美しい響きに留意をしてほしい。
またRitのある個所にも十分に表現すべきと指示した。

グノー「ミレイユ」のアリア

高音域も調子が良かったが、良かっただけに少し締まり気味ではあったが、気になるほどでもなかった。
また楽譜に指示してある強弱や、転調によるテンポの変化などが表現されていた点が評価できるものであった。

高音域のリズム形を変えるヴァリエーションでは、喉の硬さがどうしても出るが、これは致し方ないと思う。
最後の高音も良く決まっていて、更に伸ばすよう指摘したが良く応えてくれていた点も評価したい。

長年の精進の成果ではないか?と思うが、中低音の響きに厚みが加わってきたことは確かである。
今後の課題としては、換声点以降の高音で5点A以上で喉を締めて出す傾向を軽減し、喉の開いた響きが得られるようになることではないか?