HA

イタリア古典歌曲の、Sebben crudeleから始めました。
これがなかなか良い雰囲気を出していていました。
バロックらしい豪華な雰囲気です。
特に出だしの声の表現が良かったです。

ただ、全体を通して気になったのが、中間部の表現です。

In tempoを守って歌うあまりに、表現がうるさい感じになってしまいます。
もう少し楽譜に書いてある指示を守って歌うこと、たとえばマルカートが付いている音符はその通り歌ってみるとか、
中間部の終わりはもっとRitをかけて、ゆったり終わってみてください。

そして、後半の再現部のメロディーは最初とは違う歌い方で始めると良いです。
大体が、一番冒頭の表現よりも哀しく、あるいは声を抑えた表現です。

そして特に、その後のsempre fedele sempre fedeleは思い切り直接に切なく歌う方が良いでしょう。

ドン・ジョヴァンニから Vedrai carino
この曲は、現時点では声の課題というよりも、表現に重きを置くべきでしょう。
実際、それだけのことが出来るまでになった、と思います。

表現といっても、難しいことではなく、歌詞に忠実に、イタリア語の意味に忠実に歌ってみることです。
どういうシチュエーションで、どのような心情で歌うか?
訳詞も良いですが、意外とイタリア語をきちんと直訳すると、また違った面が見えて来ます。
Vedraiもvedereの命令形ですから、「見なさい!」となります。もちろん優しく言いますね。
どう言うのでしょうか?

特に後半の心臓の動悸を模した間奏で始まるSentilo battere…のくだりから、tocca mi quaのところは、
かなりエロティックですね。
独りで歌うとしても、二人寄り添って歌う様子を感じて、雰囲気を良く出してください。

そしてグノーのAve Maria
こちらは発声にこだわりました。
特に出だしは、声のタイミングと響きを大切にしてください。
声のポジションは深くし、上あごを高く上に響かせるように出るときれいです。
タイミングとしては、ブレスしたら自然に口を開けて上から出だすようにすると良いでしょう。
高音の声は綺麗に滑らかに出せていると思います。

あとは、ブレスの場所をセオリー通り、あるいは長めに、という観点でやり直しました。
特にNunc et in hora の2点Aに向かうフレーズは一息にしてもらいました。
声が重いというわけではないですし、なるべく長いフレーズを出した方が、良いと思います。
最後のAmenのPPの声は難しいです。小さい声ではなく、響くけれどもかすかに響く感じです。

AS

彼女は首から肩の辺りが硬いように思います。
それは、足の膝や足首そして腰の関節が柔らかく使えないためではないか?と思いました。

上半身を腰の回転を軸にブランブランさせることで、肩や胸の辺りの硬さがほぐれるのです。
ひざの動きが腰を回転させて、結果的に両肩が左右にぶらんぶらんと揺れる、というプロセスを
大切にして上半身の回転運動を試みてください。
この胸の柔軟さが、呼吸の自然な深さや喉の開きと関係してくるのです。

それから、ただ単にブレスを静かにゆったりとする、ということも重要です。
音楽と関係なく、静かにゆったりとブレスをして声を出す、という方向です。
心がわさわさしないこと、気短になって焦らない、そういう心の中が静かになった状態も、声楽発声や
音楽を演奏することのための身体使いとしては、とても重要なことなのです。

心が静かになるためには、ブレスが大事なので、どちらも同一目的に向けたアプローチとなります。
どちらが、というよりも、精神的なアプローチと、形而下的な単なるブレス行為そのものから、
心を落ち着かせることも出来るでしょう。

発声練習の段階で、なるべく上記の点を重要視して、練習を行うようにしてみてください。

曲はモーツアルト「夕べの想い」「淋しい森の中で」「すみれ」を練習しました。
どの曲もですが、特に今回の要は、発音と高音の声のアタックのことになります。

発音は、本当に基本的なことですが、子音と母音の違い、単語の母音の数え方という
ことが要です。

一例を挙げると、Durchです。これは母音は一個だけです。Uです。
Dが子音で、Uの後のRCHは三つとも子音で、三重子音ということになります。
母音と子音の違いを明快に区別できて、発音出来るようになってください。
また、そういうことを重要視してください。
発声と密接な関わりがありますので。

発音は、フランス語よりもドイツ語が難しいです。
やはり、二重子音、三重子音、閉母音と言う具合に、子音が多量にある言語のせいもあります。
これは正しい出し方と、後は慣れしかありません。
歌詞発音から、必ず子音発音を正しく行って朗読出来ることから、一歩を踏み出して下さい。

それから、高音発声になった時に、喉が上がらないようにするためか、息を喉にぶつけるようにして
発声するために、声の出し始めに余計な音が聞こえるのが、気になります。
声の出し始めは、息をぶつけないで、喉そのものからスッと始まるように発声して下さい。

ということは、良く軟口蓋がしっかり上がって喉の準備が出来ていれば出来るはずですが、
喉が上がってしまうようです。
この辺りは固有の練習法があるので、次回でも試してみましょう