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今回のレッスンで歌声を聞いた声の印象は、以前からの希望通り、母音の響きにふくらみがあるように歌えれば。。。という思いです。
ふくらみ、とは、鋭さとか通る、というイメージではなく、声が反響している空間を感じる声、という意味です。
これを、俗に喉が開いた声、とも言うのではないでしょうか?

以前からそうですが、口を開けないで、鋭く前に通すような声が多用されて、母音の形がまるで見えなくなってしまいます。
それでいて声量のある声というわけでもないですし、響きが前に一直線にあるだけなので、結局近鳴りする声になっていると思います。

良く響く声というのは、良く拡がる声、とイメージして下さい。
一直線に前に向かうのではなく、頭の上に放射するイメージを持った方が、豊かな母音の響きになるでしょう。

グノーのOu voulez vous allez

勇壮で爽やかな歌なので、言葉も明快にはっきり判るように歌うほうがよいでしょう。
その意味で、この曲のテーマAの部分は、母音をべったり伸ばさないで、スタッカート気味に切ることで、歌詞を際立たせること、
あるいは、切ることで、この6/8拍子というリズム感を持たせるように歌うことを指示しました。

その分、中間部Bに当たる部分を少し滑らかに歌えば、バランスが良いと思います。

誰でもそうですが、音符を歌うということは、必ずしも休みやスタッカートやマルカートがないから、レガートであるということではないです。
言葉を歌うということや、演奏者の感性を尊重する余地は、必ず残しているように書いている、と理解すべきでしょう。

そして、フランクのLe mariage des roses
こちらは、声を張らずに、高い響きで柔らかく軽やかに歌うことを基本にしてもらいました。
この歌い方は、単なる解釈です。
歌詞を読むときに、話者がこの詩から感じ取ったイメージを語り方に表現しようとすると、大きく張りのある声で
堂々と読むのではなく、軽やかに高くささやくように、と言っても良いほどの語り方が良いのではないかと感じたからです。

最後に、継続的に練習しているフランクの2曲を通しました。
Le papillon et la roseとNocturne、いずれもですが、Pの声にこだわりました。
ピッチを高く意識して、柔らかく喉を使ってください。喉が上がらないが、軟口蓋の高い響きが理想です。

Le paillon et la fleurの音楽は、まるでオルゴールのようです。幻想的な、霧がかかった風景のような
モノトーンで詩的な雰囲気を良く味わってみてください。

Nocturneは、まるで朗読をしているような歌ですね。夜に小さな音で聴くラジオの朗読番組を思い出させます。
そういう語り口で、淡々と、声を張らないで、綺麗なピッチで歌って行くのが良いと思います。

いずれの曲もそうですが、Pの声を綺麗に使えると、Fの声は、普通の声で良いことが判ると思います。