今回初伴奏合わせだった。
アーンのL’heure exquiseどうやっても良いのだけど、どうもいまいちはまらない感じ。
歌や声がどう、というレベルではない。良い声が出ているし上手く歌えているが、アンサンブルがいまいち。
で、結局テンポを少し早めて、フレーズの流れを大きく、2つ振りの感じで。
ピアノとのアンサンブルを聴いてみると、どうしてもレッスン時に作った音楽を変えざるを得ない。
と言い訳した。
というわけで、一部ブレスを入れていたところもつないでみると、その方が息が吐ききれて次のブレスの間合いに意味が出てくる。
ブレスポイントとフレーズの長さと言うのは音楽だな、と実感。
この曲はどうもアーン風というのか、やにっこくてつかみ所がない。
19世紀末風というのかな。

グノーのL’absentは、テンポもばっちりで、問題ない。
こちらはピアノ出だしはソステヌートペダルは使わない方が綺麗だと思った。
こちらの方が演奏としてみれば単純でアンサンブルの難しさがないのだが、声の扱いで彼女の気に入らない風が見て取れる。
どうしてもメッザヴォーチェにこだわる、あるいはこだわりたくなる曲なので、かえって喉が疲れてしまうようである。
メッザヴォーチェを実現するための、喉の開きとか軟口蓋とか、喉関連の使い方が固定的になって、それらを支える器官がどうも疲れてしまうようである。
見ていると、下顎や舌根の力みが強いようだ。そのため高音も乗りにくそう。
もう少し発音に応じて喉の深さを柔軟に使うように、ということは多少喉の一定が壊れても、舌根や顎を自由に使いすぎないで
アーティキュレーションして歌うようにしてみてはいかがか?
あるいは、メッザヴォーチェにあまりこだわらないで、思いきって歌い上げてしまう方法もあるだろう。
いずれにせよ、発声が固定的にならないように意識してみて欲しい。

ビゼーのChanson d’avrilは、ともするとテンポが遅くなるが、決めたテンポをしっかり維持して欲しい。
胸がドキドキ高鳴る感じ、胸が詰まって一杯で、もう何も言えなくなるような感動、みたいなテンションを忘れないように。
ピアノも伴奏に徹しすぎないで、時には歌を押しのけても前に出るようなエキサイティング、エントゥージアスティックなきらめきを!

たかはしみかさん

伴奏合わせだった。初めてのピアノの方と来たが、懸案だった合わせ特にドビュッシーがどうなるか?と思ったが、思ったよりイメージが出来たので一安心という感じ。

最初かモーツアルトのドン・ジョヴァンニからVedrai carino
声は良くなった。艶のある集まった声。
ビブラートはまだあるけど気にならないし、音程もさほど気にならない。
今の時点では歌うものはそういう小さいことを気にしないで、全体的な雰囲気を盛り上げることだけに注意して欲しい。
特に中間部の心臓が鼓動を打つところから、わくわくした気持ち、誘惑する気持ちの盛り上がりを良く感じて明るく歌って欲しい。
それだけである。
後奏が長いのでカットすることにした。

ドビュッシーだがBeau soirから。
一回目の通しで、リズムの迷いがあり上手く行かず、良く考えてからもう一度。
譜読みは出来ているのだが、音符の扱いがソルフェージュ的になるがあまり、声の響きがまともに出てこない。
音域の低いせいもあるが、それよりもフレーズを声の響きでつないで歌って行く方法がまだ良く分かっていないようだ。
Lorsque au soleil couchantと四分音符八分音符のつながり、という構成では、最初の四分音符で既に息を吐いて音符の価値を長く響かせるように歌うこと、など。

言葉の抑揚がこの音符に結びついたときに、どういう旋律の形になるか?ということが声を出す時点で分かるようになって欲しい。
もちろん、これは慣れないフランス語のことではなく、イタリア語でも日本語でも、である。
音符というのは旋律を形作る一つの指針であり、その指針を形作る要素の中には言葉の抑揚も入っているのである。
音符の形そのものは、絶対ではないのである。

そういう観点で音符を歌えるようになると、もっともっとレガートのこととか、旋律のフレージングということがどういうことか?
分かるようになってくるだろう。とても大切なことである。

それから、中間部の入りの鼻母音のUnとConseilleの鼻母音が、アン、コン、とンが出てしまうので注意。
フランス語の鼻母音は絶対にンが出ないように気をつけて欲しい。

後はピアニストとのアンサンブルを色々いじった。
盛り上がりの高音に行くフレーズは最初の八分音符を歌うEt que le soir est beauのところはさっさと歌い進んで高音のBeauに
つなぐこと、あるいはクレッシェンドしていくように。
後半の低音の響きのところは、声を出そうと思わないで歌詞をきちっと読むことを大切にすれば、大丈夫。
声にこだわるから、余計に声が出なくなる悪循環だと思う。

Romanceは、主にピアノとのアンサンブルと、後半の声の扱いについて。
前奏部は、基本テンポより少し早めに旋律を歌うように弾いてくれると気分だ。
それから、この出だしのL’ameのアの母音も充分響かせて。声の出だしは大切なので、音符だけを何となく歌うのでは駄目なのだ。
声の出だしで良く響かせて入ると、後のフレージングも良い声が続くのである。

それから、彼女の中低音の声はわざと喉を意識して、息で発声しようとしないで良い意味で喉で発声すると、ノンビブラートの
真っ直ぐな声になって、アンニュイな現代的な表現になるから、利用すると良い。
恐らくこのことは、今後の発声の課題にもつながるから、ぜひ利用してみて欲しい。

後半の音楽が変わってから、高音に上るフレーズは、高音に行く方を歌って欲しい。
そして柔らかいメッザヴォーチェにして、声を当てないように、息の良く混ざった響きで音程を大切に高音を当てて欲しい。

最後は、ピアノがクレッシェンドして、歌が一緒に入り、ピアノが先にディミニュエンド、声もディミニュエンドである。
最後のPaixは、なるべく伸ばして欲しいから、そのためのブレスを大切に。