KKさん

今日は初伴奏合わせ。
発声練習もなしで、合わせを始めた。
バッハの「コーヒーカンタータ」から。
ピアノの方が久しぶりのピアノということもあり、緊張していたのか、テンポがやや流れ気味なので、少し♪=104よりも遅く、小節単位でユックリと3拍子をカッチリと
弾きなおしてもらう。
また、声とのバランスも考えて、軽くソフトペダルを使ったりしてもらった。

結果的に程よいバランスで、実に良くなった。
さすがにベテランのピアニストである。
ソフトを軽く踏んでいるようでいて、ソフトのこもった響きはない。
リズム感もたちどころに良くなった。

歌のほうだが、最初は声の温まりが低かったせいもあるが、低音に押してしまい、やや喉っぽい発声になってしまっ
今日の2曲はいずれも完全にソプラノの音域であるし、全体に高めである。
上を開くこと、天井の高い発声ははっきりしているのだが、喉が開いていることも必要だろう。
でないと、支えが取れなくなる。
ただ、喉を開いているというのは、低音が鳴り易いという意味ではなく、単に開いていて呼気の支えが効いているという意味である。

ドイツ語の発音だが、中低音ははっきり響かなくても良いが、その分喉が開いた響きであり、平たく当てた浅い響きにならないように。
丸く深い響きである。
ただ、メゾのように鳴らすのではないことはすでに理解していると思う。

伴奏部は、コーヒーカンタータの特徴的な3連符を正確に(8分音符の平均さ)弾く事と、3拍子をきちっと出すことで、ノーブルなバッハの音楽になると思う。
くれぐれも流れないように。

カンタータ51番の方は、1回の通しでほぼ美しい姿に出来ていた。
声のほうも大分高く響くようになってきて、2回通せば、ほぼ理想に近いソプラノの高い響きに綺麗に決まるようになった。
細かいことは言わなかったが、伴奏のダイナミックの付け方で、音楽の立体感がかなり変わるので、その辺りは独自に開発してもらえれば、理想的である。

最後にもう一度コーヒーカンタータをやり直した。
低い音域のKoffeeのKoの響きを明るく出来たし、2点Fから上の響きも軽くピッチの良い明るい響きになった。

今日の合わせで一応安心できたので、後は合わせの練習を充分やっておけば、万全だろう。

NSさん

彼女も初合わせとなった。
発声練習を母音のイで始めて、2点Gまで。
次にJaで3度と5度のアルペジョ。
これで2点Aまで。

フォーレのLes berceauxから。

最初は低音が呼気の支えが取れず、苦しそうであった。
また、ブレスを胸で一杯していてアップアップという感じ。
それでも声はまとめているのだが、余りに苦しそうなので、ブレスが胸にならないように注意。

そのこと以前に、喉を開けることや、そのことと大きく関係のある声楽の腹式呼吸も再度確認。
フォーレの2曲は高声用といえども、ほぼメゾソプラノの音域だし、声質も要求されるので
喉を開いて低いブレスを教える。
これは、高音のアリアを歌うときでも基本的には同じなので、大切におさらいして欲しい。
高音は低いと出にくくなるが、少なくとも胸で吸ってしまうと上手く行かないだろう。
中を開いて自然に息が入るブレス、だけは大切にして欲しい。

特にこのブレスが上手く行くと、高音に入るTentent les horizons ..の入りが、喉が開いたまま入れるから
高音がとてもしっかりする。

Au bord de l’eauは声の問題はほとんどない。
テンポはゆったり目であり、改めてこのテンポの良さを確認できるくらいであった。
ただ、中間部に入るEntendre au pied du saule ou l’eau murmureのとこから、少し前に進む方が良いだろう。
フレーズ終わりで跳躍する最後の音は、良く喉を開けた綺麗な響きを確実に長く響かせて欲しいところ。

最後のPasserの長く引っ張るErの響きは、返さないで下の響きで綺麗に入って欲しい。

グノーのJe veux vivreは、途中の長いメリスマの区間だけが鬼門である。
ブレスの問題が、結局この期に及んで露呈してしまった感じ。
教えている身としても、今までどうしてもっときちっと教えて来なかったか、と残念であった。

今までも指摘していることは、ぐらぐらする顔のせいで、正確なブレスポイントが出ていないことが大きいだろう。

喉そのものは非常に良いし、健康的なのである。
その証拠に最後の節の高音はいずれも、きっちり綺麗に出せている。

とはいえ、本番まで時間がない。
ブレスが長くてどうにもならない、という場所ではないので、ブレスのタイミング、場所さえしっかり身体に入れば問題なく
対処できるはずである。
また、そこに至る少し前の節も、この点が顔をのぞかせかけているので、もう一度確認、練習をして欲しい。