TK

バッハのカンターター。6番と8番を中心に練習した。
このところの発声練習の効果があるのか、中低音が思いのほか出てきた印象。
ただ、1点Fを下がると急速に出ない。
その直後が、良く響くようになっている。

疲れていたようで、声が出てくるまで少し時間がかかったが、1曲歌い終わる頃には、いつもの良い声に戻っていた。
子音をきちんと処理すること、母音の処理としてはウを深く。そしてアの母音の下顎の使い方には注意。
という具合にいつものことを中心にして、歌いながら勉強した。
8番は難しい曲だが、ピアノ伴奏がきちんと弾ければ、ほぼ問題なく歌えるレベルだろう。

彼女はリズム感や読譜力が良いので、歌えるようになるのは他人と比較してもかなり早いほうである。
他人よりも秀でた、その分を発音とか母音の響き方へのこだわりを更に強く持って、歌を扱えるようになってもらいたいものである。

そのための発声のポイントしては、下顎を良く使うことで、口の中奥を広く大きくさせて、発声する方法である。
そのことで、鼻腔だけの響きに陥りがちな傾向が、改善されると思う。
また、中低音の響きも更に豊かになるだろう。

NS

歌声は、ほとんど言うことが無かった。明るく安定した歌声で、良く前に出ている。
一番、練習したのは、ドビュッシーのBeau soirだろう。
なにしろ、ピアノの3連符と歌との関係が大きい。
どうも、ピアノが1ビートずつ聞こえてしまうために、歌の旋律、横線が流れないで、歌い難そうであった。
ピアノはなるべくフレーズで進んで、横のラインの流れを大切に弾いて欲しい。
音楽は縦のラインだけでなく、横の流れも同じくらい大切であることを知って欲しい。

ドビュッシーNuit d’etoileは、良かった。伴奏と歌との関係も良い。
歌声も、散々練習したせいか、出だしのフレーズがどうもピンと来なかった表現が、今ではぴったり、良いところに落ち着いている。
最後の収め方は、もう少しゆったりとしたほうが、良いだろう。

フォーレLe papillon et la fleurは、彼女のお望みのテンポ、が良かった。
少しゆっくり目で、アンニュイだがはっきりした声が、なかなか水っぽさを出していて、この曲の裏にある雰囲気が良く出せる。
3番ははっきり速くしたほうが良いと思う。

Maiは、ピアノが流れないために、妙に真面目な表現になっていた。
真面目なのではなく、シリアスなのである。
ただ、その意味は明るい5月を喜ぶ曲なのであって、哀しい曲ではない、というようなことを話しただろうか。

ピアノの8分音符のアルペジョをもっと横に流して、横の線でピアノ伴奏を持って行って欲しいと思った。

TT

シュトラウスの歌曲Als mir dein lied erklangenから。
ピアノ伴奏とのアンサンブルが中心の練習となった。
アンサンブルが不安定なので、基本的なテンポを少し落とした。
そうしないと、縦のリズムがはっきりせず、聴いていて安定感がないからである。

何となく、横糸の旋律を歌っているだけだと、ピアノ音楽につられて、きちんとしたブレスも
出来ずじまいで、歌いとおしてしまう。
テンポを少し落としてそれは解決した。

後は、テンポをRitするところ、戻す所をはっきり表現したいが、作品表現の難しさがあって、容易ではない。
単に古典的な音楽的処理以上の、言葉の語感の問題がありそうなので、あまり無理はしたくない。
合わせも回数が少ないため、これ以上は無理と判断。
やらないか、やるか、程度のはっきりした違い以上の表現には立ち入らない方が無難であると判断して、決め事程度に練習。

声はとても良い声が出ているし、高音も魅力的な声が出ているから心配はない。
後は声の温まり具合だろう。
本番この2曲で、これを1番に歌うのは厳しいが、本番前の準備、集中力で持ち応えて欲しい。

ベッリーニの「清教徒」からアリア、Qui la voce
安定した歌唱で、特に問題はないが、強いて言えば前半部分。
中音域のエの母音が、時々響きが浅くなるのが所々気になった。
母音の違いによる響きの違いには常々敏感になって欲しい。

特に高音は出したらそれしかない、というものだが、中音域というのは、ちょっとしたことで響きが変わるからである。
基本的に、口の使い方と舌の使い方である。
とにかく、なるべく母音の違いで響きが変わらないように、処理すことが肝要である。

後半の早い楽節は、まったく問題なし。
最後の最高音も、恥ずかしがらずに思い切って伸ばして欲しい。
声のことと、表現のこととがあるが、声のことを気にしすぎると、かえって良くない結果になる可能性が大きい。
余ほど調子が悪いと思わない限りは、思い切って出して伸ばして欲しい。

WH

ベッリーニSon vergin vezzosaをかなり細かく練習した。
大体大雑把な譜読みは出来たので、フレーズ毎に歌い方などを練習。
特に変わったことではなく、楽譜を仔細に調べればほとんどが、書いてあることだけである。

マルカートやレガート、勿論RitもA tempoも、どれもきっちり見直して、それを守って欲しいのである。
そこから、発声を勉強することがたくさん出てくるし、そういうことが出来るレベルになってきた、と思うからである。

一番覚えて欲しいと思ったのは、1ページ目の最後にある、Cui cinzsr tue roseのRoseで伸ばす音のクレッシェンド、デクレッシェンドである。クレッシェンドをかける音は、最初に一段軽く出しておかないと、クレッシェンドがかけられない、或はかけているように聞こえないということ。Rの子音はきちんと出すことで、喉を開いた発声でアタックすれば、少し声が抜けるが、そのまま息を吐いて行けば自然にクレッシェンドするだろう。

次のブレスポイントもここには書かないが、レッスンで決めたポイントを確実に守って欲しい。
そのことで、次のスタッカートが活きて来るからである。
ブレスと言うのは、ただ息を吸う意味だけではなく、次の声のアタックに関係してくる良い例である。

後は、後半に出てくるSe il padre s’adira, io volo a mia stanzaのメリスマに入るまでの、繰り返し音形。
ここは、ブレスを入れないことで、クレッシェンドが効いて来るだろう。
あるいは馴れたらAcceleしても良いくらいである。
その後の半音階の昇り降りのメリスマは、しっかりした声でだが、決してがならないこと、そうしないと綺麗な半音階が出てこないだろう。
以上の音形は、もう一度繰り返されるが、処理は同じことである。

この曲、かなり良い線行けそうなので、いずれ本番に出して欲しい。
このアリアは、歌えれば良いという曲ではなく、声や歌手のキャラクターがはっきり要求される。
そういう意味でも彼女に合っていると思うので、勉強して、完成させて欲しいものである。
最後にシャモニーのリンダからリンダのアリアO luce di quest’anima!をざっと通して終わりにした。
いずれもキャラクターがピッタリで、先々楽しみである。