TK

今日はいつもよりはほんの少しばかり声に元気がなかったが、ちょっとした体調の違いであろう。
地声の練習はせずに、低音から響きを上顎に響かせる練習をmimimiで発声練習から。
mimimiでピッチを正確に、あるいは細く、あるいは高く当てることを低音域で練習し、
その後開口母音でも同じ響き、ピッチを目標にする。
アの場合子音をヤにするとイの変化形の半母音なので上述の発声の応用が効きやすいだろう。

バッハのカンタータ、今日は10番から。
この曲、前回書いたように彼女の声のつぼにはまりやすいのだが、それだけに、音だけで歌ってしまうきらい、無きにしも非ず。
歌詞を歌うこと。そのために子音の扱いを大切にすること。
語頭もだが、語尾の子音もないがしろにしないように。語尾と、次の語頭でフランス語式になんとなくつないでしまうことも
あるが、それも注意が必要。
WとかVなどの唇を震わせる子音が苦手なので、そこも注意。

11番は中低音域の音程に注意。特に下降形で2点Cから下の領域に降りる際に注意である。
響きを落とさないように。
フレーズとして、音程と響きの質でフラット(平ら)であることが大切である。
後は、いつものように言葉の発音、特に子音の処理をはっきりと意識することをお願いしたい。

SM

低音からピッチの良い響きの練習。
今日は低音が深く重い声の傾向だった。これはこれで良い声なのだが、音程がフラットになりやすいのと、高音との整合性が難しくなる。

今日はドビュッシーの2つのロマンスから始めたが、1曲目、かなり細かくしつこく練習となった。
思い出してみると、何が?というほど悪いこともないのだが、どうも音楽的にしっくりこなかった。
出だしのフレーズ、L’ame evaporee et souffranteの低音のフレーズ感が出ない。
どう歌いたいか?語りたいか?という難しい話は置くとして、声が低いせいもありはっきりしないのである。

それは、彼女の発声には音域が低目であるために、声が不安定であることと、そのために音程感がはっきりしない事であった。
低音はピッチを大切にして、しかしテンポは速すぎず、まったりと、という具合だろうか。
ところがピッチを高く、となると声は未だ不安定で、多少深く意識しないと出し難そうな面もある。

語り口、という考えは止めにして、テンポを単に遅くして確実に歌ってもらうように変えた。
後は発声に留意して、ということである。
Les clocheも声としては同じである。
こちらは音域のこともあって、1曲目のような難しさはない。
強いて言えば3連符の正確な扱いと、3連符を含んだメロディを大きく歌うこと、であろう。

今日は新曲で同じくドビュッシーの麦の花を譜読みした。
易しくは無いが、難しすぎるということもないだろうか?
リズムとしては、Les clochesと同様に苦手な3連符がこの曲の大切な点。
理屈を教えたのだが、結論から言えば、3連符があることでこのメロディが成り立っている、そのことにこの曲、メロディの魅力がある
ことが感じられれば、恐らく難しくないはずである。

FT

高音というのは、やはり微妙な声帯のテンション(張力)で最高の響き、あるいは長時間歌えるだけの耐性を持つことが出来るのだろう。
彼にテノールの発声を教えていると、とても勉強になる。

舌根が下に引っ張られるのか、あるいは舌根自身が発音発声のせいで力んでしまうのか?
そのために、高音が出にくい、あるいは出し過ぎて喉が痛む、ということが起きるようである。

舌根の力みは概ね下顎の力みとも関係あるが、彼の場合は恐らく発音そのものが、舌根と関係があって、特に高音を出そうとすると出にくいのだがそれに気づかずに、思い切り喉を押すから出るには出るが、しまいに喉が疲れて出せなくなるのだ。

というようなことは、結局歌詞の発音と発声で、力むことが原因なのだが、それは力むこと自体よりも、力み方、ベクトルにあるのではないか?
どうしても腹に力を入れて重心を低くしようとするものだが、その方向が低い方に偏っている、と考えてみてはいかがだろうか?

大きく分けると、1点Fisを境目として、そこに至る中低音は高く前に、そしてそこから上、1点G~Asくらいから、初めて喉を開いて
重心を低く意識してみると、良いかもしれない。
ただし、高く前に響かせるといっても、C~1点Gの間は結構高い。そのままでは喉が上がるから、顎をよく引いておく姿勢が大切である。

今日のレッスン、後半でMusica prohibitaの最高音1点Aがどうしても腰砕けになるのは、ここでも声のチェンジが出来ていないまま
上がってしまうことに原因があるのではないか?と思われた。
1点Gから上では、喉を良く開く、イコール下顎を良く下げて、喉を良く開いた状態で息を太く吐き出すようにするのはどうだろう?
今日の練習では上手く行って、ほぼひっくり返らない発声になった。

恐らく抜けの悪い声なので不満は残るだろうが、ひっくりかえるよりは良い、と思う。
まずは声が「壊れない」で歌いとおせること、何曲か歌い続けられること、を目標にしてみたいのである。