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今日は伴奏合わせだった。
コンサート用の曲目選択ということで、フォーレの歌曲ばかり6曲を歌ってもらった。

最初に、En priereから。
ピアノのテンポ設定で、音楽がほぼ決まるので、3連符の伴奏の正確な拍を大切にしてもらった。
そうでないと、3連符の伴奏上を8分音符のレギュラー形できちんと歌えなくなる。
そうして、テンポが決まると、それだけで驚くほど音楽の形が見えてくる。

声は、温まっていないせいもあったが、中低音の声が重心が高かったので、上半身をリラックスして重心を低くした方が、良い結果につながった。恐らく声を抑えているかどうか?ということも関係あるかもしれない。
声はニュアンスの問題を歌詞と音楽から感じ取ったら、自然になること、と思っておくことにして、基本的には抑制しないほうが
良い結果に繋がると思う。

他の曲も全部そうだが、Uの母音は声の調音点は同じだが、深くおおわれた感じの声を目指して欲しい。
イも、丸く深い。

Notre amourは、拍が正確になったが、テンポが遅くなってしまった。
テンポを速めて、全体にOK。
歌は細かいことはなかった、というか気にならなかった。
コーダ部もブレスは良く持っていたし、最後の高音の響きも、表現に合った良いバランスの声だった。

次に珍しいNoelを。
彼女の声にはやや低いが、曲が持つオリジナリティが良く感じられた。
歌いこなすことは充分出来る範囲であろう。
その分、ピアノの音はクオリティが要求される。深みのあるたっぷりした音だ。

最後にPoem d’un jour3曲を。
細かいこと、たとえば発音とか、歌いこみの少なさは残るが、基本的にこの曲の良さを充分出せた歌になっていた。
フォーレ歌曲の美点が充分発揮されたものだった。
中音域の声はとても滑らかで厚みもあって、フォーレらしいいぶし銀のトーンを出している。
また、基本的にこの音楽が彼女の感性に合っているのではないか?と思った。

それぞれのテンポ設定、発音、特にウの母音などは、当然ながら充分注意して扱って欲しい。
1曲目はもったりしないように。2曲目はベースの旋律で2つ振りで歌うように。
ということは、かなりテンポは早い。
ピアノの問題だが、ピアノはダイナミックの変化に充分注意して欲しい。
すなわち、前奏の劇的な響きから、歌が入って、音量を下げることとか、Mais n’esperer pas que mon ameに入るSubitoなPへの変化など。

3曲目はとても哀し過ぎるくらいの歌になっていた。哀しいが故に、とても良かった。
だが、最後は哀しく終わらない方が良いと思う。