アトリエムジカC試演会2024年3月23日土曜日19:00開演
先月末の試演会に続いて今年2回目の試演会となりました。
開催間隔が短かったのは、本来私のコンサートを予定していたのを、急遽ムジカC生徒の試演会に振り替えたからです。
抗がん剤の副作用が予想外に厳しく、独りで夜の舞台を乗り切るのは無理と判断しました。
とはいえ、何とか少しでも練習した成果を発表したかったのです。
という訳で、午後3時開演でプーランクの歌曲による私のソロとピアノソロを1時間ほど行いました。
これについては、後日こちらのブログでで報告します。
そして夜の7時から8名のムジカCメンバーによる試演会となりました。
今回は夜の部の8名のメンバーについての私の感想です。
3名の音大出身者と経験豊富なメンバーのみでしたので、総じて安定した歌を聞かせてくれたと思います。
1時間ほどとはいえ、自分のコンサートに続いて8名の試演会を半日行うための体力はあるのか?
正直不安でしたが、終って見ればいつも通りの感動に満ちた終わり方でした。
いつも試演会や発表会終了後に話すことですが、歌とか演奏には嘘偽りがありません。
そういうパフォーマンスが、癒しを与えてくれます。
上手い下手も大事ですが、それだけにこだわるとハッピーから離れてしまうのではないか?
そんなことを想った今回の試演会でした。
出演者(イニシャルによるリンク)SKM ON ST GH HA MKA SKJ 各自のイニシャル横に、プレイボタンがありますので、そこから動画にリンクされています。
アーン「クロリスに」サン・サーンス オペラ「サムソンとデリラ」より「あなたの声に私の心は開く」
「クロリスに」は過去の本番の経験もあり、表現を考えられた良い演奏になりました。
サムソンとデリラのアリアも、好きで選んだ歌ということもあり熱唱でした。
譜面は観ても良いのですが、もう少し高く持って顔を上げた歌い方になると良かったと思いました。
これまでのステージに比べると高音の難しさを感じない選曲と思いました。
レッスン時に指摘した中高音の声の入りのピッチなど、注意して歌っていた点を評価します。
そのせいもあってなのか?少し声が不安定な一面がありました。
声の温まりのせいだと思います。
また、新たに発声を覚える時に一時的に調子が崩れますが、それを避けないで覚えた発声を大切に歌い続けてください。
ルネサンス期のマドリガーレより「愛らしい瞳」「愛の神よ何を?」「翼を持つ愛の神よ」「美しい赤い扉」
今回は発声訓練の成果が実った好演となりました。
彼女の場合は高音への換声点の発声で長年苦労しましたが、ようやく会得したことが判った演奏となりました。
そのため、今回の本番の緊張による不安定は気にする必要はないです。
今後も手に入れた発声法を大事に歌える選曲を探すことが大事だと思います。
これまでバリトン発声の訓練に苦労しましたが、ようやく苦労が実った結果が出たと思います。
トスティは作品の持つ美点や表情が良く表現されていて感動させられました。
シューベルトは難しいドイツ語の有節歌曲を良く暗譜して、滑らかに歌えていました。
ドイツ語のアクセントと音楽的なリズムの関係をより掘り下げられると良かったです。
いつものように華やかなステージを披露してくれました。
換声点を過ぎた声も大変きれいに出来上がって、これまでの精進の結果を証明してくれました。
歌う表現や姿の見せ方などよく考えていることが判るステージでした。
発声については、換声点前の中音域の発声を課題にすると、より表現力豊かな歌声になるでしょう。
今後も発声を大切にして歌い続けてください。
フォーレ 歌曲集「ヴェネツィアの5つの歌曲」より「マンドリン」ドリーブ「こんにちはシュゾン」
オッフェンバック オペレッタ「ロビンソン・クルーソー」より「大好きな彼のもとへ連れて行って」
楽しそうに歌う姿に好感を持てたステージになりました。
マンドリンは歌詞の情景が良く判る表現になりました。
ドリーブの歌曲とオッフェンバックのオペレッタはフランスらしい小粋なエスプリが出ていました。
声を出しやすい音域の発声を改善すると、高音域ももっと楽に出せるようになると思います。
まだまだ伸び代がありますから、今後の発声の精進を期待しています。
モーツァルト 「寂しい森の中で」「鳥よ、年ごとに」
プーランク ルイーズドヴィルモランの3つの詩「リエージュの若者」「彼方」「白衣の守護天使たちに」
伸び伸びと思い通りの演奏が出来た、と聴く者として感じられた舞台でした。
この数か月はプライベートでご苦労のある状況だったにも関わらず、良く歌い通せました。
良い歌声の素質を持っていますから、今後も少しずつ発声を研究して確実に声楽を続けていただきたいと思います。