2025年6月1日試演会終了後の集合写真

2025年6月1日の試演会報告

私自身が、実は4月30日から重度の肺炎治療のため1か月入院していました。
日曜日は6月1日が本番、5月29日木曜日が退院日!で病状も考えましたがどうしてもみんなの演奏を聞きたかったのです。
そこで、リハと本番のマネージメントは妻に任せ、本番だけを聞きに行かせてもらいました。

まずこのホールは初めてでした。
みなさんの演奏を聴き、改めてアトリエムジカCのレッスンに通う人たちに向いていると思いました。
小さなサロンホールですが天井高があるため、十分な反響によって歌いやすいため緊張しても力まず歌えるようでした。

不在による1か月間のレッスンや伴奏合わせをせず独学で練習してくれたのですが、驚くほどの完成された演奏が軒並み現出して驚きの連続でした。
そして音楽の力というのか、みなさんの音楽の歌声が持つエスプリに私自身が驚く程力をもらうことが出来ました。
入院中はネガティブになり退院出来てももうこの仕事は止めよう、歌も歌えないだろうと思うばかりでしたからこの喜びはひとしおなのです。

6名全員にブラヴォーを叫びたい気持ちになった試演会でした。
おめでとうございました。そして出演者全員に心からの感謝の気持ちを送ります。

TNK

シューベルト「野ばら」
声が若々しくテンポ感も軽やかで曲想が良く出せていました。
強いて言えば、3節の違いを汲み取って歌声に出来れば完璧でした。

シューベルト「菩提樹」
「野ばら」の音域由来による声の若さに反して低音の声がどうか?と危惧しましたが、とても音楽的に朗々と歌えていました。
「菩提樹」のイメージが充分出せていました。

武満徹「歌うだけ」
ほぼジャズ・ブルースのジャンルの曲ですが、品良くしかし歌詞の意味をしっかり伝える歌になっていました。

MMH

ベッリーニ「夢遊病の女」から「ああ、信じられない」
ほぼ教えた通りのことが出来た出来でした。
小ホールとピアノ伴奏によるオペラアリアとしての紹介にぴったりな演奏になりました。
声量が実にちょうど良い感じということです。高音も綺麗で音程感も良かった。

ドビュッシー「ビリティスの3つの歌」「髪」
これもほぼ私が教えた範囲内通りで完璧。
難しい曲を詩の意味と音楽を充分に理解した演奏であったということです。
フランス語もほぼ正確に歌えました。

山田耕作「からたちの花」
この曲想の良さが充分伝わる演奏でした。
日本語のせいもありますが、一番難しかったでしょう。
拍節のリズム感と日本語の文節の流れをどう突き合わせるか?課題になると思います。

ST

モーツアルト「モテット」「歌いなさい喜びなさい」より
レチタティーヴォ「幸先よく陽は輝き」
勢いのある声でしっかり語る様子が表現出来ており、表現にかなっていました。これは良かった。

アリア「純潔の王冠であるあなた」
聞いていてモーツアルトらしい優雅さを感じられる歌になりました。
本人は緊張していたかもしれませんが、問題ないと思ってください。
しかし易しい曲ではありませんので、好きな曲であれば何度も勉強してください。

「アレルヤ」
曲想に合った軽やかな歌声で通すことが出来ました。
メリスマもほぼテンポで滑ることなく出来ていて合格だと思います。
特に最高音は綺麗に出せていましたね。
課題はやはり換声点の声でしょうか?これは全曲通してです。
この辺りの迷いがなくなれば完ぺきです。

SKM

ヘンデル オペラ「セルセ」よりル「懐かしい木陰よ」
レッスンで聴いていた声より更にまろやかになり、とても良いこの名曲歌唱となりました。
曲想が充分に出せていたと思います。

フォーレ「夢の後に」
このメロディが持つキャラクターが十二分に活かされた歌になっており、改めてこの曲の良さを実感出来ました。
フランス語も丁寧に発音出来ていました。

アーン「牢獄」
これも曲想にぴったりな表現でお見事でした。
なにか自分に合った曲を選ぶセンスのようなものを持っている、という点が評価される結果だったと思います。

SM

ラヴェル「聖女」
良く勉強されましたね。この曲の美点がきれいに出せた秀逸な演奏になりました。
声の柔らかさとか宗教性でしょうか。

歌声は全曲優しさと柔らかさに包まれた個性を放っていました。

ラヴェル「クレマン・マロの2つのエピグラム」
1、「雪を投げたアンヌ」
メロディを気持ちよく音楽に添って綺麗に歌えていたこと、フランス語の発音も明快になったことが良かった。
メロディが気持ちに添っていたという点に心が共感を感じたのだと思います。

2、「スピネットを弾くアンヌ」
前曲も譜面を見ながら歌いましたが、こちらはやや譜面に頼り過ぎる点が惜しい点でした。
1曲目と同じように、拍節ではなく大きなフレーズを歌えていれば完璧でした。

AC

信時潔「我が手の花」
曲想の良さと歌詞の秀逸さが良く判る素晴らしい歌唱でした。
反響が大きいホールなので、歌詞発音を少しくどいくらい明快に歌えれば更に良いと思います。

ラヴェル5つのギリシャ民謡
1曲目は歌声も音楽も充分でしたが、歌詞の内容と声の抑制を更に引き出せれば完璧でした。
2曲目綺麗に通る声が山の空気に染みわたる感じが出せて素晴らしい。
3歌詞の意味を良く理解して歌おうという意欲が感じられました。
4曲目は日本の民謡のような長く引っ張る声とリズム感を表現するのが難しい作品ですが、すべてクリア出来ていました。
5曲目ほぼ完ぺきな出来栄えでした。惜しいのが変拍子の長さが1箇所短くなってしまったこと。
全体に本人の音楽への良い理解力によって好感が持てる声楽演奏になりました。
今後は、日本語と同様に歌詞をくどいくらいに明快に語る歌声を更に磨いてほしいと思いました。