歌詞原語のリズム節を意識すること、音楽のフレームと歌詞との関係。

今回は久しぶりにピアノ伴奏付きで、改めてじっくりと指導に専念出来た。

発声練習は低音から5度スケールでIで始めた。
そしてIとAを連続した5度スケールを練習し、最後にJaでオクターブのアルペジョを練習。

IとAを連続で行う意味は、I母音の密度のある響きをA母音に応用するためである。

気づいている人は解ると思うが、Jaという半母音的な発声は、IとAが複合したものになる。
このためシラブルとしてはA母音だが、ただA母音だけで行うよりも厚みと密度のある響きになりやすいのである。

曲はフォーレのAve verum corpusから。

今回の指導で最も大切なことは、言葉のリズム節のこと。
歌詞は一つの文章であり、文章を読む時に一括りで言わなければならない部分があること。
これはブレスを絶対にしないし、一括りで「言おう」という意志を持たなければならないこと。
この曲では、このリズム節は大体が2小節単位になっているため、このことを念頭に置いて歌うこと。

楽譜に書いてある音符やそのリズムというのは、音楽を形作るフレームである。

そして歌う音楽は、歌詞という中核になるものがあることで、音楽のスピリットが生まれる事に最も重要な意味があること。

例えば指揮者が指揮で拍節感を表現していても、歌う人が音符だけを追うような歌い方をすると、結果的に活き活きとした音楽が生まれない。
それは、歌詞という言葉を言葉として意識しないで、音符の音だけを歌ってしまうからではないだろうか?

たとえ外国語であろうとも、最低限の言葉としての構造を知ることで、魂のこもった演奏に近づくことが出来ると考えている。

ではフレームは適当で良いか?と言えばそれは違う。
フレームはフレームとして正確に作られなければならない。
それは音程であり基本的な拍節感覚である。
また作者の意図で指示されている強弱などの記号である。

合唱なら1パートの声の響きが揃っているか?
また正しい音程を歌うことでパート総合の和音感が綺麗に出来ているか?という部分。

フォーレのもう一曲、Maria mater gratiae

Gratiaeのtiはティと発音しないでツィと発音すること度々である。
慣れないことだが、これは覚えてほしい。
あとは、正しい音程を歌うことを中心に練習となった。
Mariaというとき、Mの子音発語時点で母音の音程が意識されているかどうか?
ソプラノの高音の5点F以上は上唇をかぶせるようにして、軟口蓋を上げない事。
アルトの特に4点Fから下の声は、いつもの通り相当にピッチを上げるように意識してほしい。