TNA

伴奏合せでした。
ドビュッシーの「美しい夕べ」伴奏音楽、小節線を意識しないリズム感によって、3連符が続くアルペジョを滑らかに、ゆったりした大河の流れや、夕べの静かさを表現してください。
普通に弾くと、ロマン派のドイツリートの伴奏形になってしまうところが、ドビュッシーの音楽スタイルです。
記譜やスタイルが古典的でありながら、リズムの感じ方の視点を変えることで、音楽の様相が一変するところが、ドビュッシーらしいところです。
歌は練習の成果が出ています。
先に進むところを、伴奏に乗っからないで自分で進んで行くこと、そのために息を積極的に吐き出すように歌い進むこと。
特に、サビの高音のフレーズは気をつけてください。
ブレスを気にし過ぎると表現が弱くなってしまいます。

ヘンデルのVadoro pupilleは、跳躍時に子音をしっかり発音することで、重心が上ずらないために、結果的に声が綺麗に当たって音程の良い響きが出る、という具合です。
特に5点Fは、換声点に当たるので、意識がないと不安定になります。
この音程跳躍の際には、ボールを地面に投げて、地面にぶつかることで高く跳ね上がる、という感覚に似ていると思ってください。
ぶつける勢いはお腹を直接意識するのではなく、子音発語を意識することで、舌が明解に動くことによります。
子音の勢いで、換声点の母音発声が上手く決まります。
これを覚えてください。

モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」のアリアは、E amore un ladroncello
リズム感のある躍動的で演劇的な歌なので、気持ちよく歌えていますが、全体にニュアンスに乏しく、すべてをMfの声で歌い通している印象です。
楽譜に書いてある強弱の指示や、歌詞の意味と音楽を照らし合わせて、軽く楽に歌える箇所と、声を張って元気よく歌うところの区別を明快にしておきましょう。

AC

フォーレの歌曲、特に今回の中期前半の作品群は、音符の並びを丁寧にきれいに歌わないと、フォーレ歌曲の品の良さが消えてしまいます。
このため、単母音も子音LをつけてLululuで練習しました。
単純に音符の形がきちっと出るように歌ってもらいます。
「あけぼの」では、この音符の端正な扱いが、この曲の美しさにイコールです。

「イスパーンのバラ」は、16分音符を丁寧に歌うことで、音符の並びの美しさが、自然にこの歌曲の美しさを表現します。
また、特に音程跳躍で高音側を押してしまわないで、スタッカートのように当てるだけで充分にレガートなフレーズになること、を指摘しました。

例えば、Ont un parfum moin frais ont une odeur moins douceのフレーズ、ont-unとont-uneの跳躍。いずれもTの子音を舌でしっかり発音して、高音側の音が当たったら、
伸ばさないですぐに次の音に移る、という具合です。

「祈りながら」この曲、伴奏の3連符に対して、メロディは割り切れるリズム構成です。特に8分音符の扱いを丁寧に歌うことです。
ともすると、3連符に流されてしまうので、注意してください。

OT

陽気な歌。「セレナーデ」
非常に良い声で歌えていました。
この曲は、卑猥な内容ですが、歌声は荘重な気分と雰囲気を大事に、真面目一筋に歌うことで良さが発揮できるでしょう。
真面目に歌う歌です。

サムソンとデリラのアリア「我が心汝が声にぞ花開く」にロンサールの詩をはめ、伴奏を編曲したものを練習しました。
フランス語のリエゾンをどのように音符に当てはめるか?という点が課題でした。
伴奏の音楽が個性的で、原曲の雰囲気をよりアンニュイで現代的にした感じになるところが、とても良いです。

TM

発声練習の声は、Mimiで始め、最終的に母音をAにしました。
Aの舌を力ませて、喉に潜り込んだ発声はだいぶ軽減されてきました。
更に、母音のEを意識するなどして、舌を丸く、あるいは喉を深くし過ぎないような中低音の声を目指してください。
これは、喉を悪い意味で脱力して、ふわふわの声で歌うという意味ではない事、注意した上でです。

フォーレのEn priereから
3連符の伴奏の上を割り切れる8分音符で歌うというリズム感を正確に表現すること。
この違いをきちっとすることが、フォーレの歌曲の端正な美しさにつながると思います。
アーンのTout deux
とても良く歌えていると思います。

L’heure exquise
Tout deuxもそうですが、弱声を発声的な視点だけにこだわらずに、音楽的な表現として、きがついたらそう歌っていた、という具合に歌声の自然さを求めたいところです。
もちろん、ベースになる発声がある程度出来ているからですが、その上で発声的に弱声を捉えてしまうと、面白みのない、雰囲気のない唄になってしまうところです。