TM

発声練習は低音からの上行形を中心に4点Gまでに留めた。
気になるのは、換声点を意識的に行うことである。
意識は必要だが、ポイントが早めであると感じたことと、換声の仕方が強すぎる感じだろうか。
飲み込み過ぎているように感じた。

歌声としての自然さという観点で言えば、基本的には開放的な歌声であることとか、明るいということだろうか。
本来的によほど重たい喉(高音が出にくい声)でない限りは、必要以上に換声を強く行う必要は感じないのだが。

特に今日は中低音が良い声だったので、そのまま高音に昇って行くととても官能的な男声になったと思ったからである。

歌声というのは聴いて気持ち良さを感じる、ということが大事だと思う。
自分のことはなかなか出来ないものだが、指導者としては、いつも生徒の歌声を聴いて気持ちの良い歌声、を目指すようにしている。

曲はプーランクのLes chemins de la mer
以前にも指摘した前半の楽節における音程跳躍のフレーズは、これも自然に開放的に歌うのが得策と感じた。
他は特に問題点を感じなかった。
曲の美点を感じて、気持ちよく歌えれば成功だと思う。

サティのJe te veuxも曲想に合った歌声で歌えており、気持ちの良い出来であった。

フォーレの「夢のあとに」
声のピッチについてを指導。
このCmollの主和音から導いた第5音の音程感を大事に歌い出すこと。
Molto legatoで歌うことと、2か所出てくるサビの部分での歌の爆発だけは表現すること。

「マンドリン」良く歌えていた。これはレガートよりも音楽に裏打ちされた発音の快活さを大切にすること。

「9月の森の中で」
これも大変良く歌えていた。気持ちの良い歌になった。作品に対する共感が良い形で歌声に表出された感じ。

「ネル」これも伴奏音楽の和音感と声のピッチの関係を丁寧に作ることが重要と感じた。
そのためには、むしろ難しい弱声の扱いは邪魔になるかもしれないと感じた。
まずはピアノ音楽との和音感のアンサンブルを創り上げることであろうか。