2017年6月14日声楽レッスンノート

SA

デュポンのLe foyerと、山田耕筰の「この道」を練習しました。

前回に引き続き、デュポンのこの作品は、中低音を訥々と語るメロディが特徴的です。
これが彼女は苦手、というか、発声の課題が全面的に出てしまいます。

声がこもり発音が不明瞭になります。
響きは出ていますが、恐らく本人の感覚よりも前に出てこない感じです。
前に出てこないので、結果的に声量不足でピアノとのアンサンブルでもアンバランスになり勝ちだと思います。

以前からの懸案でしたが、今回は徹底して修正方法を探ろうと思い、トライしました。

側で見ていると、歌う際に、口の中でどこかに力を入れているのが良くわかります。
その原因が、声の響きを作るためだったり音程を意識していたりするのでしょう。
また場合によっては喉を避けて、高い場所に響きのゾーンを作ろうとしている場合もあるかも知れません。

これらの、恐らく本人が無意識で行っている発声を、意識して、どこに力を使っているか?を明快にしなければなりません。

私から見て想像できるのは、舌と軟口蓋ではないか?と思ってます。
あるいは、響きの場所を決めているのでしょうが、声質から推察すると、鼻根あたりかもしれません。
鼻根に声を集めるというのは、言葉だけを取り上げれば良さそうですが、やり方を間違えると逆効果です。

それから特徴的な癖は、母音のAで上記の問題が起きやすいこと、特にOでは口をすぼめて突き出すようにすること。
これも、現状では声を奥に引っ込めてしまう原因になります。

もう一つは、ブレスです、
歌うときに息をつめていないか?
つまり、息の流れを極端に抑えて、響きに集中することです。

というのも、以前からブレスが妙に長いのが、逆に気になっていたからです。
ブレスが長いということも、表面的には良さそうに思いますが、これも声楽的にみてどうか?
自然なビブラートが付いているか?音程感の良い声か?クレッシェンド・デクレッシェンドが自在に出来るか?
という要素も含めての総合的な問題になるからです。

今回、症状を浮き彫りにするために、あえて喉だけで歌ってみてと指示したり、舌先に意識を集中したり、意識して声を浅く出したり、という
少々乱暴な方法を取りました。

まず、ここから取り上げてほしいのは、喉(声帯)が健康的に振動している状態を見つけることです。
いわゆる「響き」という状態は、この後でやり方を構築していくことになります。

喉にまったく負担のない状態の声を大前提にして、発声をやり直すのは不可能だと思います。
ただ1時間程度のレッスン内でやることですから、怖がらずにトライしてください。
また、怖がってやっても意味がありません。
思い切ってやることも覚えてください。