MMH

発声練習の様子を見ていると、お腹の使い方は良さそうであった。
口を開ける時の下あごが、やや前に出るような感じがあったので、これを指摘。
あご関節を中心に回転する動きをイメージして、微妙に後ろにずらしながら降ろす感じ。
このことで、不要な低域の共鳴感や、声帯の開きみたいな声質が修正され、明るく張りのある声質になる。

後はさらに口を開けて行くことと、上あごを持ち上げるようにする開け方。
こちらは5点A以上の高音域で、喉に来ない頭声を導き出すため。

息の流れとお腹のサポートが一致するような感覚。
息を吐き過ぎずに、響きの定まった歌声をフレーズ出来るようになる感覚。
昔から息が流れるように歌う、というのはこのこと。

コンコーネは31番
基本的なリズム感としてピアノ伴奏と歌のメロディで3拍子感を良く感じて表現することが大切だろう。
第一ヴァリエーションは、3連符が一拍を正確に3連符で歌えるように、もちろん音程も正確に。
第二第三のヴァリエーションの16分音符での細かい音程は正確に出せるように。

換声点の通過が原因かもしれないが、ところどころ微妙な音程感に違和感があった。
レッスン前の会話に出て来た移動ドによる階名唱法は、このような古典的なメロディを歌声で表現するのに向いているだろう。

ベッリーニのTorna vezzosa Fillide
ドラマティックで長丁場の作品だが、ロマン的な詩情溢れる作品だ。
曲の情感を良くつかみ取って、情熱溢れる歌声になっていた。
5点Fは換声点で、喉を上げないように横隔膜を下げる意識と軟口蓋を上げない意識が大事だろう。
感情表現の内容いかんで、女性であってに男前な歌声になることも、西洋の歌声表現では良くあることである。

ドビュッシーのC’est l’extase langoureuse
ドビュッシーの汎神論的世界を歌声が自然に表現していた。
これからやることは、響きを更に意識して歌えること。リズム感を更につけること。
そしてフランス語の発音の特徴を得ることが、更に表現力を高めることにつながるであろう。