HIM
発声練習は低音から上行5度のアルペジオから始めた。
全体に声が慣れてきている傾向だが、段差部分でのひっかかりは生じている。
またA母音で練習しているが、ペタッとした響きになるのは、それを指定したせいでもある。
声を合わせるためであろう。
今日はそのやり方をすこし変えてみようと考えた。
5点Dの声がバランスの良いミックスボイスになっているので、これをきっかけにした。
下降形で降りてみると、その下の第一換声点がひっかからずに、きれいに通過、下降出来ている。
声の響きも良い。
低音の4点Eになるとさすがに声の合わさりは悪くなるが、常識的な範囲である。
同じ声質で上行形を練習してみたが、低音の地声の対処が上手く逃げられれば、第一換声点は問題なく通過できる。
彼女も良く自宅で練習してくれたようで、声の合わさりや段差の問題など、かなり短期間で対処のこつが身に付いてきたようである。
今回はさらに一段声楽らしい声に仕立てていくことに注力した。
それぞれの曲の中で発声を見て行った。
コンコーネOP9よりNo11
確か、最初の通しを聴くと声区の個所で声が引っかかる傾向がみられた。
そのため、一番良いミックスの声が出る、5点Dの声質を基準に下降形で練習して、歌ってもらった。
低音は地声成分がほぼない状態なので、響きは出ないが声区のひっかかりはなくなるようであった。
つまり4点G以上はほぼミックスが上手く行ってると考えられる。
4点F以下で声が出ないのが気持ち悪ければ、少し意識して声を変えて低音の声を意識しても良いと思う。
曲の表現次第ではあるが。
イタリア古典歌曲集から「アマリッリ」
曲を歌うとなると、やはり歌詞の影響が大きく母音発声に影響を与えている。
大事なことは喉を上げないで安定して歌えるかどうか?ということのために、いろいろな方法論が必要になる。
まず姿勢。
見ているとブレスの度に顎を上げて口を開けてブレスするが、これがいわゆる腹のつかない声になる原因である。
また、喉に頼ってしまう声になる。
顎を上げた顔の姿勢は、一見声が前に出るが、喉に負担になる発声になるだろう。
またこれはブレス自体の方法で変わってくるので、次に書くことが出来ていればという条件付きで顎を上げてもOKではある。
ブレス時にお腹を使うこと。
結論を書くと、腹式呼吸が必要な真の意味は、ブレス時に昔から「あくびの状態」と言われてきた方法を得ることにある。
これは、腹式呼吸が正確に出来ると胸郭内が負圧の状態になる。
胸郭内が負圧になるから正圧である大気から胸郭内に自動的に空気が入る。
ここから先は私の仮説だが、この負圧状態があることが声帯の歌声のための準備と密接な関係にある、と思われる。
そしてブレス時のあくびによって、声帯上部にもこの負圧に近い状態が生まれて歌声のための準備が起きやすいと考えられる。
またあくびの副次的効果として、軟口蓋の閉鎖が生じると口腔内の共鳴が生まれやすくなる。
これによっても、声の響きの倍加と倍音の発生が生じやすくなる原因となるのではないか?
長々と書いたが、要は
腹式呼吸とあくびのセットは発声法の会得初期における大事な方法論であること。
この方法だけだと声が一見暗くなるが、明るくするのはまた別の方法が出来る。
難しく基本的なことを先に覚えておく、という意味で大事な事であろう。




