FY

コンコーネ10番から練習を始めました。この音域内での声の扱いはとても良いと思います。
特に上向形の時に、声のチェンジ領域に入る場合に、喉を押さないように、軟口蓋を高くして丁寧に声を処理するよう気を付けてください。
低音は、無理にチェンジしないで、上の声のまま滑らかに歌う方法を身につけておくと良いでしょう。

イタリア古典から、O cessate di piagarmiで練習を始めました。
声のことよりも、ほとんどがイタリア語の発音と歌い方に終始しました。
Cinはチン、Cheはケ、Geはゲなど、基本的なところは抑えておいてください。
また、イタリア語には明快なアクセントがあることも大切です。歌った時に自然にアクセントに響きが乗ると、より効果的です。

Nel cor piu non mi sento 声も音程も声質も良い歌声です。イタリア語の発音の注意点と、最後のフレーズがブレスが長いため、
途中で切って母音で歌うというポイントを教えました。

全体に声の響きのポイントが良い所に来ているので、この状態を安定させて歌えるようにして行きましょう。
引き続きモーツアルトのアリアや、イタリア古典歌曲などを練習して行くと良いと思います。

AC

ベッリーニの歌曲Vaga lunaとVanne o rosa fortunataから始めました。
2曲とも良く歌えていますが、あとで歌ったミニョンと同じく、もう少し低音の響きの混ざった厚みのある声で歌っても良いと感じました。
ピッチだけを気にすると、響きが薄くなりますので、厚みを意識するために、少しポイントを深くしても良いでしょう。

アリア、特にミニヨンの「君よ知るや南の国」は、歌いこみが足りないので徹底して練習をしました。
この曲は明快にメゾソプラノの声のために書かれており、それは役柄としても必要です。
なぜいたいけない少女の役柄がメゾなのか?難しいですが、その方が彼女の生まれ育ちの背景や、フィリーヌと云うソプラノの恋敵との対比が出せるからでしょう。ということは、古典的で形式的だったそれまでのグランオペラの世界に、リアルな現実の描写力をトマは表現したかったのだと思います。

その意味で、この歌声はとても大事です。
低音のしっかりした響きを混ぜるように歌声を作ってもらいました。
それから、楽譜通りにダイナミックスを見れば、音楽の盛り上がりがどこにあるか判るはずです。
その盛り上がりの場所に、心をこめて歌ってください。
淡々と昔を思い出して語る所と、感情がこもるとことの2つの違いを見分けて、歌声にして表現することを練習して下さい。

MT
バッハ Benedictus、Ich habe genug
レハール Dein ist mein ganzes Heltz レハールFreunde, das Leben ist lebenswert 
クィルターNow sleeps the crimson petal
越谷達之助:初恋 山田耕筰「からたちの花」
音楽の陰影の良く感じられる素晴らしいプログラムでした。

ピアノを弾きながら、久しぶりに彼の歌を聞いた印象は、自然な声の響きを音楽的に扱う才能でした。
必要充分な声量、正しい音程、高音のメロディを綺麗に聞かせるセンス、などあいまって、音楽を自然に気持ちよく聞かせる才能を持っています。これで十分ではないか?と思いました。

あとは、声の表現上、本人が発意して必要と思うことや思ったように出来ないことがあれば、教えることはあるでしょう。
声楽的にこうあらねばならない、という意味をあまり感じられなかったのは事実です。
指摘出来たことは、譜面の読み込みの解釈や、テンポの設定です。
印象的だったのは「からたち」です。
よく歌えてますが、言葉のフレーズを前に流す傾向が強いため、やや感情的に過ぎる印象が出ることです。
In tempoで歌うことも、一つの表現になりますので、そこを基準に他のフレーズをどう動かすか?動かさないか?と考えてみると良いと思います。
次回、ピアノ伴奏がつけて、もう少し細かく見させてもらおうと思います。

WN

リディアから始めました。声が温まらないと中音域の響きが出て来ないようでした。
高音になるほど声の響きが出て来ますが、中音域をもう少し響かせるためには、喉をもう少し開ける方向を練習するべきだろうと思いました。
単に下顎を良く降ろすことや、喉奥を拡げるように母音発声することなどを、無理なく進めて行きます。

「夢のあとに」でも同じことが言えます。ちょっとしたことですが、出だしの1点Gの声のポジションの違いで、大きな違いがあります。
たとえば、バイオリンでもビオラでも良いですが、同じ低音を出すのでも、フレットを高く抑えたとしても、太い弦を使う方が響きに余裕があるはずですね。そういう声使いをイメージされて下さい。

Ici bas この曲が、発声の改善が最も上手く出来たと思います。
出だしのIの響きを求めました。喉を下げる状態でIを発音します。口を横に引くと出来ないでしょう。
Iを丸い唇で発音すると出来ると思います。
この出だしで柔らかく深みのある声が出れば成功です。後はその響き感を大切に発声して行くことです。

MM

発声練習では、2点Eからの換声が綺麗に決まって、喉に負担のない出し方が確実に出来るようになっています。
実際の歌の中では、歌詞発音の関係やフレーズの形のせいで、まだ力んでしまいますが、今回のベッリーニの
Vanne o rosa fortunataでは、前回注意したUの母音も改善されて、かなりピッチの良い軽やかな歌声が出るようになりました。
良い結果です。

Dernier valseも同じですが、細く小さくまとめてみてください。
顔面の上半分をエリアにして、その範囲だけで声を出すようにしてみるイメージ唱法でやってみると、
声を力まなくなります。

ドレッタの夢が、高音を駆使しますので一番難しいですが、恐らくこれも、喉を開き過ぎることが、逆に喉を上げる結果になるのでは?と疑っています。喉を開け過ぎるということは、息を吐き過ぎるということです。
息は極力細く、一点に集めて、一瞬で出すことです。
そのために、声を当てるエリアを明快にして、最低限のエネルギーで最大限の効果を得るイメージで高音を出してください。
力まないでも出せるポイントが見つかるでしょう。
せ~の!で出す限りは2点h以上は無理だと思います。