ST

発声は、母音とハミングの両方行いました。
高音は、綺麗に高音区に入れる声になって来ました。
もう少し現在の声の響きで高音発声に慣れてから、少しずつ響きに芯を付けて行きたいと思っています。

声楽は喉を楽器にする、ということですが、物ではなく人間の肉体なので、フレキシブルに扱わないと上手く機能しないことを教えました。
例えば、喉のこと。
低音は響きを高く高音になってきたら響きを深く、と云う発想で、1つのフレーズと云う音高が変化する旋律を歌う時の意識を教えました。
要するに自分が出す声の響きに対して、調整する意識を持つことです。

コンコーネの9番から始めました。
9/8のリズムがまだ完全につかめていないようでした。
9/8拍子は、1小節内に8分音符が9つです。8分音符が3つ×3になるわけですから、8分音符3つ分を3/4拍子の1拍分と捉える事が出来ます。
そう考えて、縦線を譜面に書くと、3拍子の拍が判り易くなるでしょう。

楽譜に(v)のように、カンニングブレスがありますが、これはなるべく入れない方が良いです。
それから、彼女の場合は、楽譜のクレッシェンド・ディミニュエンドの記号は尊重しない方が良いです。
音の強弱を気にする以前に、声の基本的なフォームを先ず徹底して確立することに意を注いでください。
そのためには、声をしっかり出すことだけに集中しましょう。
特に上昇フレーズは、上に昇るほど響きを拡げて行くように意識して下さい。

モーツアルトの「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・アンナのアリアを練習しました。
レシタティーヴォとアリア、全部を一度通して、レシタティーヴォのリズム読みの徹底と、歌詞を付けました。
これも、何拍子か?ということを、譜面を見て直ぐに判るように、縦線を拍節毎に入れておくと、判り易いです。
歌わないで、歌詞朗読で音符のリズムに合わせた読みをしてから、実際に歌う、という順番を守ると声のためにも良いと思います。

HA

11月18日のコンサートの合わせとなりました。
順番通りで行きました。

「四十雀」は、とても丁寧に歌えていて良かったです。
高音の発声が丁寧で、美しいコロラトゥーラらしさが良く表現出来ていると思いました。

「オランピアのシャンソン」は、テンポがややゆっくりで、安定し過ぎているのがもう一つでした。
少し速めに軽やかな方が、聞いている者が音楽に入り易いと思います。

「トスカ」のVissi d’arteは、高音が非常に綺麗ですが、Sempre 中低音の語りが不足していること、またこの中低音での
カンタービレが弱いです。

フォーレの「リディア」は、前回に比べて音楽が安定しましたが、声のポジションが高すぎると感じました。
お腹のみぞおち辺りから出だすようにすると、声の響きが安定して、良い意味で太くなり、落ち着いた感じの声になります。
「ファントム」の「私の真の愛」は、前回同様にテンポを

日本歌曲「霧と話した」言葉が明快に理解できて良い歌が歌えています。
もし余裕があるなら、ピアノのテンポ感よりも、少し遅く歌う部分を持ってみたり、あるいは速くして見たり、ということを歌詞の内容表現に応じて、少し音楽を揺らして見ても良いかもしれません。

「くちなし」は、テンポ感と歌いこみが進んで良くなりました。
ある種のシンプルな美しさが感じられるまでになりました。
素朴な日本語の美しさと、音楽が交り合った美しさは、日本語だけでしか表現出来ないものだ、という印象がありました。

MT

バッハロ短調ミサのテノールのアリア「ベネディクトゥス」は、全体に悲しい気分が過ぎている感がありました。
そのせいなのか?バッハのアリアだからなのか?声を抑制し過ぎているようにも感じました。
弱声を使う姿勢は良いですが、声をもう少し器楽的に扱ってニュートラルな表現になる方が良いと感じました。

もう一つのバッハのカンタータBWV82a レチタティーヴォとアリアは、レチタティーヴォが歌い過ぎる感じがあるので、少し速めにして、語りを強調するようにすると良いと思いました。
その分を、アリア部分で少しゆったり目に、淡々と歌うことで、対比が出来ると印象が良いでしょう。

レハールのオペレッタ2題「微笑みの国」より「君こそ、わが全て」
最初のテンポが速すぎて、中間部細かい音符が難しかったのでテンポをゆったり目にしました。
「ジュディッタ」より「恋人よ、人生は生きる価値がある」ドイツ語の印象が良かったです。
いずれも、テノールらしい華やかさが映える演奏ぶりでした。

クィルター「真紅の花弁は今や白くなった」
テンポの調整で、少しゆったり目が良いと感じました。
それは、全体にPPで美しく歌うためです。ピアノも音が大過ぎずにPPの表現に最大限注意を払って弾いてください。

日本歌曲から「初恋」こちらは、ナイーブに過ぎる感じで、これもニュートラルな表現を考えたほうがよいでしょう。
彼の場合であれば、普通に男らしく、さっぱりと歌う方が、かえってこの曲の良さを感じるように思いました。

「からたち」は、彼のナイーブさがぴたりと合った感じがしました。まさに少年時代に戻ったかのような歌声でした。
「日々草」は、これも彼の素の良さが、歌のメロディと詩の内容に合っていて、歌として完成されたものでした。

YC

発声の声は、以前にも増して中音域の声が響くようになったと感じました。

今回、初伴奏合わせだったのですが、ヴェルディ「そは彼の人か~花から花へ」は、ピアノの譜読みの読み込みがもう一つでした。
急がないこと、ゆったりと構えること、フォルテを出し過ぎないで、7割くらいのエネルギーでちょうど良いことなどの指摘に及びました。
これは全ての曲に云えることです。

グノー「ロメオトジュリエット」より「私は生きたいの」
これは、伴奏も読み込みが浅いことと、歌は冒頭の笑い声から半音階で降りるフレーズが、未熟だったので練習になりました。
冒頭のマルカートで下降する笑い声のフレーズが、レガートになってしまうので、Hを混ぜるような声にしてもらいました。
次の半音階のフレーズは、音程よりも音符の数を明快に覚えておけば心配はないでしょう。

ピアノは3拍子の伴奏を、これも急がないでゆったり目に感じる方が良い3拍子になるようです。
決して遅い曲ではないですが、せかないこと、です。

トスティ「祈り」ドナウディ「限り無く麗しい絵姿」
この2曲は、彼女の声にはやや低めです。
そのため、声量で聞かせられないので、テンポを落として、滑らかに丁寧に歌う方向を決めました。
ピアノも音量に気を付けて、全体に静かな音楽を目指して下さい。
ドナウディの最後の高音は、細いメッザヴォーチェが出来れば理想ですが、かすれてしまう可能性があれば、
しっかり出した方良いです。

大中寅二「椰子の実」ゆったりと大きな音楽です。最後の「いずれの日にか」を伸ばして終わります。
明るく朗々として良い歌に仕上がりました。
團伊久磨「花の街」3番は、少し遅く、また全体に抑えたトーンで、悲しく終わります。
3番をこのように歌のは、一種の外しですが、本番は自身のその時の感覚で自由に歌って良いと思います。
GPで調整して見ましょう。