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伴奏合わせで、信時の「沙羅」から、「鴉」「行々子」「占ふと」「ゆめ」の4曲を通した。
シンプルで深みのある、フォーレのようなシューマンのような渋い魅力のある世界が湧出されたと感じた。
素晴らしい。

「鴉」は前奏から、年老いた鴉のよろよろした、滑稽で哀れを誘うようなリズム感を。
唄は指示にあるように、狂言を思わせる、語り口を良く出すように。

「行々子」は予想外にゆったりしていたが、逆に良い、と思えた。
突き抜ける明るさよりも、回想的な懐かしさ、美しさが強調されるだろう。
現実の風景のただなかにいるのではなく、回顧的な視点である。
何よりも言葉を大切に。
てにをはをはっきりと。

「占ふと」最後のページ「ああ、まこと。わが恋の、さだめにもにて」のさびの部分が、高音に昇るので
歌詞が不明瞭になる。「ああ、まこと・・」は低音なので、綺麗に歌うよりも、声が多少かすっても良いから感情のこもった表現を大切にしてほしい。
最後の「ひたすらに・・」は、感情の高まりを過ぎた虚脱感を、大きく出そう。小さくなると、かえって不明瞭になる。

「ゆめ」テンポが流れていて良かった。ほとんど言うことはなかった。最後の「しらじらと、ただひろく」は、すこしゆったりして広々と歌ってほしい。

低音の声区と中低音の声区がうまく融合出来ていて、なかなかメローな中低音で良かった。
くれぐれも歌詞の明瞭さを大切にしてほしい。
特に「あ」を、こもらせないように、横開きの形を大切に。
また「てにをは」も明快にお願いしたい。