TNA

発声は、柔らかく軽く始まった声に、少しずつ芯を付けることを教えました。
全体に声を高く、また喉に負担なく出そうとするため、ポイントが高くなるようです。
もう一点は、丁寧に声を扱おうとするためもあるでしょう。
特に母音をAで練習すると、誰でもそうですが声帯が開き易いため、気息的な響きになるのです。

そこで、母音をEにして、発声練習をしました。
これで自然に声が当って、芯のある響きになります。

全体に口が開かない傾向があり、それが彼女の場合は声を前に出せなくする原因になっています。
もう少し口を開ける癖を付けて下さい。
単に下顎の降ろし具合をもう少し降ろすのですが、舌を脱力させることも大切です。

歌は、Lascia ch’io piangaから始めました。
レシタティーヴォも一緒に歌ってもらいましたが、発声の細かいこと以前に、声を扱う姿勢、
メロディを歌う集中力の中に、耳を良く使って丁寧に処理していることに好印象を持ちました。
ヴァイオリンを10年もやっていたとのこと。納得でした。

歌い方として、レシタティーヴォ冒頭のArmidaのAは、音符通りではなく、良く響かせる意識は持った方が良いでしょう。
アリアへの入りは、レシタティーヴォの最後の音と同じなので、覚えておけばよいでしょう。
アリアは、安定して歌えています。最高音はまだ詰まる傾向があるにはありますが、あまり気にしないで良い程度です。
歌い慣れれば、力みが抜けて来ると思います。

この2点Fから上は、換声になりますが、今は発声を意識し過ぎないで良いでしょう。
そこまでの中音域の声の出し方を中心に覚えながら、自然に換声することを覚えると思います。

ベッリーニのVaga lunaは、これも母音のAが気息的にならないように、Eを使って声の響きを確認して歌えば、
ほぼ想定内の響きになります。

Vedrai carino
かなり頑張ってますね。現状の発声としては良く歌えています。
ここまで練習した母音の響きを前に出すことが、実現できていますし、高音発声も何とか対処出来て来ています。
方向性は良いと思いますので、あとは、どれだけ力まないで出来るか?あるいはもう少し声量を抑制しても、
同様に声を前に軽く出すようにして歌えるかどうか?が課題です。

AS

今日のトピックは、高音の換声点の発声になりました。
この通過点の発声が未解決のため、高音はほとんどファルセットの声になります。
ファルセットが一概に悪いのではないですが、クラシックの場合はこの高音の発声の響きで音楽的なスタイルが出来てしまいますし、
実際に歌っていても、

ここで急速に開いてしまう声帯を少しでも開かないようにすることです。
簡単にいえば、喉が上がらないことなんですが、喉を下げようとしても喉と云うのは思った瞬間では遅いのです。

高音発声の換声点近辺から上の領域で、独特の癖があって、息を当てて裏声に勢いをつけるような歌い出し方です。
これは、恐らく合唱で必然的に覚えたのだと思いますが、これがソロ発声では不利になります。
一番大きいのは、声質が下の声区と合わないことと、息漏れが大きいため、ブレスが持たなくなること。
もっと高音になると、出しにくくなることです。

これを治すためには、怖がらないで喉を使う意識を育てることだと思います。
まず、息を使ってぶつけるように声のアタックをする癖を徹底的に排除すること。
そのためには、歌詞で子音があるなら子音を利用すること。

子音発音を丁寧にやれば、必然的に息をぶつけないはず、ですが、癖が直ぐに頭をもたげます。
言葉を飛ばさないで、自分の身から離さないこと。

このためには、大きい声を出さないこと。
喉の更に下を狙って、瞬間的に対処すること。
この2つ目は、特に歌い出しの瞬間で、喉が上がらない対処にはとても重要な方法です。

最後にサティの「3つの歌曲」から2曲を譜読みしました。「ブロンズの銅像」「帽子屋」です。
いずれも、低音から高音の換声点をはるかに超える広い音域が要求されます。
特に換声のテクニックを課題として、練習をされてください。

SM

発声練習でのトピックは、中低音域で声が奥に入る傾向を矯正しました。
喉奥を開けて気道で共鳴する感じになりがちなため、声がこもること、結果的に音程が♭に聞こえやすいことです。
母音をEにして練習し、その時の舌の感覚をそのまま残してAで練習すると、Aの時に以下に舌が奥に入り込むか?が判ると思います。
中低音は、思っているより喉をや響き自体を浅く感じて出す方が、結果的に声帯が閉じた、当った響きが作りやすいでしょう。
その方が結果的にピッチも高くし易いと感じるはずです。

Porgi amorは、かなりまとまっていますが、細かい声のアタックの丁寧さが大切だと感じました。
たとえば、最初の出だし。
Porgi amorの最初の声の出し方に、相当こだわる必要があります。
他のフレーズもすべて、同じです。

Dove sonoは、特にレシタティーヴォの練習になりました。
改めて、譜面のリズム通りにまず処理すること。
素早いリズムに対応する発音をきっちりと決めること。
この2点です。
フレーズとしては、徹底したレガートな歌い廻しを大切にしてください。
そのため、高音だからといって力任せに頑張らないこと、です。
綺麗に丁寧に、中音域で歌うように、楽に歌い廻すように処理することを目標にしてください。

全体には、細かく書くべきこともないほど、良く歌えていますが、リズムの正確さと発音の正確さ、この2点だけ、じっくり対処できれば、第一目標は合格です。、