TSS

曲は、ヘンデルのDank sei dir,Herr
音符を歌うということにおいては、クレッシェンドも良く効いているし、声質もよいと思います。
そろそろ音符を歌うことから離れて、言葉を歌うという面を大事にすること。

一般的に、みなさんが子音発音を苦手にする理由というのは、実は音符を音にしようという意識が強すぎることだと思います。
声をがんばりすぎないで、発音をもっと強調することに意を注ぐほうが、歌としては面白く、退屈しない歌になります。

そして、Rejoice greately
かなり速いテンポでもメリスマがついてこられますが、中音域の響きが通り難いです。
やはり、響きを高く意識してもらうと、通りのよい声になるようです。

そして、Il bacio
全体にバランスのよい歌声になりました。
歌声としては、これ以上無理しないでください。
後は、ピアノとのアンサンブルによって、面白くもつまらなくもなります。
以下にテンポの緩急をつけられるか?ということです。

最後に、モーツアルトの後宮よりの遁走よりコンスタンツェのアリア。
最高音よりも、3点Cの繰り返しの部分が重くなってしまいます。
早めのチェンジを意識して歌えるようになってください。
2点A~hあたりです。

GH

モーツアルトのフィガロの結婚より、アルマヴィーヴァ伯爵のアリア。
このアリアは、歌声のテンションが高くなり、イメージが良いです。
イタリア語で歌うわけですが、特にレシタティーヴォなどは、名人のまねをしないでご自身の感覚で言葉を理解して演技するようにしてください。
アリア部分は、良いイメージで歌えていると思いました。

ヴェルディ「椿姫」よりジェルモンのアリア「プロヴァンスの海と陸」
前のアルマヴィーヴァ伯爵を引きずってしまいました。
こちらは、もっと余裕のようなもの、ゆったりとした大らかさと、年老いたものの悲しみのような要素を意識して歌ってください。
高音に跳躍するフレーズの入りでは、喉が上がらないようにブレスのポジションに注意して、フレーズを出だすことに留意されてください。

最後に、山田耕筰の「からたちの花」
こちらは、全体に声のことだけに終わってしまう歌のイメージでした。
歌声を、構えない、力まない、という要素を大事にしてください。

その上で、歌詞の意味と楽譜に支持されている強弱との相関関係を紐解いてください。

この歌は、人に語りかけることが主眼ですが、いつの間にか自分の心の中の世界に入り込んでいくのだと思います。
語りかけながら、それは自身に語りかけているのではないでしょうか?

せっかくの日本語ですから、ぜひ日本語で語りかけて歌ってください。

SM

ドビュッシー「麦の花」「薄ら明かり」最後に「星の夜」

「麦の花」は、3部形式ですが、中間部はゆったりと、前後のテーマ部分は、軽やかに、比較的先に進むように歌うことにしました。
また、「星の夜」もテーマはかなりゆったりとさせますが、Animeは、かなり素早く歌ってください。
これも対比の美しさを出しましょう。
「薄ら明かり」は、2曲ほどではないですが、やはりテンポ設定の対比を大切にしてください。
伴奏形が3連符になってから、軽やかに前に進んで行く様に歌いますが、冒頭のテーマはかなりゆっくり歌うと効果的だと思います。

全体に頭声発声が使える歌になってきたこと、そのため音程が良いことやリズム感も丁寧に歌えていると思いました。
今後覚えてほしいのは、頭声と胸声、という2つに分かれてしまわないためには、鼻腔共鳴が必要だということ。
ハミングの練習はそのために行います。

例えば、今回Uの母音の発声を教えましたが、口先をほとんど開けないで発音しますが、響きが出るわけです。
この方法を応用することで、頭声のような音程感の良い声で、かつ胸声のような芯のある発声ができるわけです。
少なくとも1点F~2点Cの間は、この鼻腔共鳴を覚えると、中低音の発声が良く通る音程感のよい声になるでしょう。
また、そのことで、高音にもつながりやすくなると思います。

ST

イタリア古典よりIntorno all’idol mio.
チェンジ領域の発声の対処を覚えてきたようです。100点満点ではないが、技術の進歩を評価します。
この調子で進んでください。
余裕があるので、声のトレモロを覚えてください。

Se tu della mia morte
これも声量が増して良く歌えています。
今回は子音発声を教えました。
今は、理屈抜きでどの子音もはっきり出して歌えるようになることを目標にしてください。

最後にドナウディのCome l’allodoletta
最高音2点Gの声の響きが、前回教えてから飛躍的に良くなりました。
前半の最後のフレーズがやや整理整頓が悪いので、丁寧に対処してもらいました。

今回のレッスンでは、この3曲がとても忠実に、こちらの教えたとおりのことを再現しようとする真面目さ感じられ好感を持ちました。
発声法も、ようやく教えたことが理解して実行できるようになってきたことを実感しました。