YY

伴奏付の声楽レッスンでした。
これまでレッスンした、フォーレの5つのヴェニスの歌曲を通してもらいました。

1曲目は、まず声がポジションが高すぎて、喉の緊張した声になっており、5線の中の声の声質がいましたので、直ぐに修正してもらいました。
声の出し始めで横隔膜近辺を意識することと、特に跳躍時に横隔膜を少し押し下げるような感覚で歌ってもらいました。
実際、喉と横隔膜はリンクしている面がありますので、喉のリラックスには意味があるでしょう。

喉はリラックスしたほうが、ふくよかな豊かな響きになります。
全5曲を通して、この発声は意識してください。

その上で「マンドリン」は、最初に出てくるChanteuseのメリスマの音程に気を付けてください。
中間部のPで始まるTourbilloneからです。
最後のChanteuseは、かなりしっかりディミニュエンドして終わるべきでしょう。
救急車のサイレンが遠くに去って行くイメージです。

2曲目は、伴奏を急ぎ過ぎないことがコツです。
どの曲もですが、子音のDが弱いです。Dans Demi De ton coeur endormi Dessin Doux Desespoir 等々、後は指摘すると直ぐに出来ます。また、鼻母音もきれいに胸に響かせてください。

「グリーン」は、テンポが遅かったです。急いで彼女の元に走って来て、胸の動悸がまだ速い感じです。楽譜指示通りでよいと思います。
歌も、そういう感じで始まってください。
VoiciのVの子音をしっかり言うことで、お腹のついた声になります。
その上で、軽く出せると理想です。

この曲は(も)、ですが、ピアノ伴奏と共に、音楽のディナミークの強弱をよく見て、感情の高揚と鎮静の違いがテンポの緩急に表われるのが理想的と思います。
詳細は、レッスンで教えたとおりです。

このことは、特に4曲目の「クリメーヌに」では必要なことで、これがないと、良くわからない音楽になるのではないでしょうか?

テンポの変化を指定してある箇所はもちろんのこととして、音楽の変化に敏感にテンポの緩急を明快につけると、音楽全体がレリーフのように立体的になります。

中間部の音楽が頂点を目指す箇所、一端テンポが落ちるのが、Nimbe d’anges defuntsです。その後一気にTons et parfumに向けて速度を速めてクレッシェンドしてください。
そして、その後はコーダに向けてどんどん緩めてください。
この曲は、全体に語尾が男性韻で、Defunts Parfums など、鼻母音のENの発音に気を付けてください。エンと言わないで平たいアンです。

ピアノ伴奏も、前奏は大きな風景をイメージして、拍節に絡め取られずに右手のフルートを思わせるメロディを大きくフレージングするように弾くと良いと思います。
そして、左手の休拍を数えないで自然な間合いに出来ると、より良いです。

「それは恍惚とした心地」では、特に出だしのC’estの声のポジションを大切にしてください。
高めの音域から出ますが、これも冒頭の「マンドリン」でやったように、その音の含まれる和音内の下位の音程で発声してみれ、その喉の状態を覚えて、そのままで目的音を発声すると、落ち着いた声の響きになるでしょう。
あとは、やはりディナミークとテンポの緩急が自在になれば、理想的と思います。
ピアノの前奏は、右手の鐘の音をよく響かせて、そのテンポ感で、音楽を作っていくと良いです。

TH

今回から初めてとなる声楽レッスンとなります。
発声に30分くらいかけました。
テーマとしては低音発声の安定と、高音発声の換声に関連することが主になりました。
そのため、低音は地声に変換することも練習しました。

無理にすることはないのですが、低音で息漏れのない声を目指すことと、メゾが歌う曲にも対応できるためには、地声の対応も必要と思いました。
ただ、地声といっても、彼女の場合は発声の基礎が出来ているので、無理なことはないし、綺麗に出せています。

また、高音発声は5点Aからの換声を意識してもらいました。
ただ高音まで到達するフレーズでも、お腹から出だすことは忘れない方よいです。
その上で、換声点から声帯を開いた発声にするために、上あごだけから上で響かせる方法を取ると、高音の音程感も良いし、上に伸びやすいでしょう。

曲はイタリア古典歌曲集から、Caro mio ben
とても良い声で、彼女の持っている個性、美点が出る歌声でした。
ブレスも伸びているし、声量も程よくある。そして声質は、少し暗めだけれどそれが彼女の個性として成り立つものになっていました。

ロッシーニのUna voce
先ほどのCaro mio benの声質の良さが、そのままこの曲のメゾソプラノバージョンにぴたり、と合っていると思いました。
ただ、中低音の響きは、やはりピッチのことや通る声である必要はあるので、母音のIでまず練習をし、響きを高く前に集めるようにする感覚を覚えてもらい、その上で歌詞にしても同じような響きで歌えるようにしてもらいました。

彼女の発声の癖として、顔を上に上げる傾向がありますが、これが中低音の声質に関係しますので、顔を真っ直ぐ前に向けて、あごが出ない姿勢を取ってもらいました。
そのことで、結果的に中低音の響きが高く前に行きます。
顔を上に上げる方が、中低音は声質が太く暗くなります。

これはこれで、歌声の個性としての良さもありますが、ロッシーニのUna voceのような、中低音の語り口の素早さと明解さが必要な場合には、声のテクニックで足りない点を補うという考え方をするためにも、テクニックを覚えることが役立つでしょう。
最後の最高音、5点hは、換声した方が良いと思います。
最初から上手く行かないですが、やり方をしっかり覚えておくことで、仮に換声しなくても自然にミックスして良い声の響きになる可能性もあるので、テクニックとして覚えておいてください。