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伴奏合わせでした。
イタリアの戦後のカンツォーネ作品3曲を取り上げています。

何度もレッスンしたはずですが、ピアノ伴奏付で改めて聴いてみると、Non ho l’etaは、歌詞発音が良くわからないのと、
中低音が良く響かないようでした。

今更ですが、地声の練習をと思っても、地声は難しくなっていました。
これも時間がかかるので、まずは口奥を良く開けるように発音するという点を、課題にしました。
口先ではなく口奥です。

このためには、舌先を柔軟に良く使うことと、ハミングで軟口蓋を使う意識を、思い出してください。
これだけで、中低音の声が通りが良くなります。

この曲のように低音の4点Cくらいは、何となく出すとほとんど聞こえない声になるので、十分に発声に留意してください。

他の3曲もまったく同じ点が課題ですが、3曲目La pioggiaは、リズム感のある明るい曲なので、ほぼ問題なしです。
良いリズム感で好感を以て迎えられそうです。

2曲目のGrazie dei fioriは、ピアノ伴奏とのアンサンブルでした。
この曲は、郷愁に満ちた作者の語り口が命の曲です。
譜面に書いてある通り演奏しても、何の味わいも出てきません。
歌う者の語り口と、伴奏者の共感が良い演奏を生みます。

具体的には、伴奏はテンポ感を出さないこと。つまり、シンコペーションの伴奏をリズムに乗って先へ先へと進んで行こうとしないことです。
歌手は、長い音符を良く強調して急がないで歌うこと。
特に出だし1ページはレシタティーヴォと思って、じっくりと語ってください。

このことだけで、たちどころに良い演奏になりました。
聴く者にとって、イタリア語の意味が解らなくても、演奏する者の「ただならぬ」様子に集中するように出来れば、成功ではないでしょうか?