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フォーレの「あけぼの」とはいっても、最近新たに出て来た曲の方です。
有名なAuroreではなくL’auroreという具合、定冠詞がついてる方。
詩人も前者はD’armend sylvestreで1884年作ですが、後者はVictor Hugoで1870年作です。
要するに、フォーレがなんと25歳の時の作品というわけです。
すでにこの時点でフォーレの核になる者が出来ていた、という印象を持ちました。

特にこの曲に限ったわけではなく、次のNellでもまったく同じ課題ですが、発声に課題があります。
彼女の場合は、やはり音程を高い場所に当てに行くために、声の響きに独特な締まり感が出たり音程が上ずる原因になるようです。

徹頭徹尾、喉を開ける方向で練習しました。
そのためには、今の彼女の場合は下あごを降ろすように発声する方が、自然に喉が開きます。
喉が開いた声は、甲高い響きではなく落ち着いた響きです。
特に、換声点前後の音域で顕著です。

中低音の発声では、舌が奥に引っ込み過ぎないように注意してください。
舌を力ませないで舌先を前歯の下に軽く付けておいて舌の奥を潜り込ませないように母音発声を意識すると、声が明るく前に出て来るでしょう。
感覚的に、喉を深くしない事が大事です。

Nellでは、音程跳躍の際の母音発声時、下あごを降ろして喉を上げないようにしました。
Oh Juin のINとか、Monte とか、Chante au boisのBoisとか、O mon coeurのCOEURとか。
中間部のPPで歌うQue ta perleなどは、喉を良く開けておいて息だけで歌う感じです。
再現部のTerraのAとか、最後のNe fleurisseの母音Iなどなど、高音に跳躍する際に、下あごを利用して喉を上げない=開けるです。

逆に見ると、こういうケースで口を開けない鼻根に当てるために喉が締まるわけです。
喉を締めないために、鼻根を意識しないで下あごを下げて口を開ける発声をするわけです。