MYM

今年は発声の改善に勤しんだ一年でした。
本来、自然で無理の無い発声できれいに歌える良い素質を持った方だったので、彼女の積極性に任せていました。

しかし数年前から、オペラアリアを歌いたいということで発声法の観点で指導を続けてきました。
これが、彼女の歌声が迷宮入りしてしまったきっかけと思います。
この点は指導者としての大きな反省点となりました。。。

しかしこの一年で、この発声の課題を解決する糸口がつかめました。
特にここ最近のレッスン2~3回で、糸口が急速に見えてきました。
今更ながらの発見は、当たり間のようですが発声練習を丹念に行うことが大事でした。

・まず発声練習を母音Aの口の形(口を開けた状態)でハミングで始めること。
・次に上向形の3度5度のアルペジオ(ドミソ)で練習。
この練習は、特に口奥の軟口蓋を良く上げるように、上向するにつれて、口を開けて行くようにして練習します。

この軟口蓋を上げていくようには、口を開けて行くことと同時に、表情筋を良く使うことも大事です。
頬を上げるように、とか上唇をめくれ上げるように、ということです。

これらの練習で上手く行かなくなる原因は、口を開けないで口の中だけで意識してやろうとすることです。
なぜ上手く行かないか?というと、彼女に特化したこととして舌根を押し下げる強い癖があるからです。
これを矯正するために、舌先を歯につけるように意識することや舌全体を山形にしておこうとすることは役立つでしょう。

喉を意識しないで口先だけ開ける方がよほど良いのです。
彼女の発声上の課題はひとえに「喉を開ける」という言葉に集約されているのです。

これが、舌根に不要な力みを与えて、高音発声が上手く行かなくなる大きな要因だからです。
喉を開けるとか喉を下げる、という意識は捨てる代わりに、下あごを良く降ろすわけです。

そして、その際に舌が奥に入り込まないように、舌先を必ず下歯の裏につけようと意識することが大事です。

このことで、彼女の癖である舌根を押し下げる癖を矯正できるのです。
このことが、換声点で音程のはまった声をだすためにとても重要なことなのです。

さて、発声練習でこの点を検証しながら30分も行えば、課題は改善されるようになりました。
後は愚直にこのことを積み重ねるのみです。

今回取り上げている「落葉松」では、ほとんどこの発声の課題は問題になりません。
PPの声の表現は、大事だと思います。
息漏れを出さないように、腹圧をかけて軟口蓋を良く上げて子音を明解に小さな声で歌うことです。

そして課題が出てくるのは、プーランクの「海へ続く小道」の歌の中で歌詞の発音と発声とのすり合わせを行う必要が出てきます。
それは特に換声点前後の音域5点D~Gにかけて注意が必要です。、

歌うときの発声の問題は、音程跳躍の時です。
特に跳躍先が、換声点直前の5点Esから換声点直後のF~Gにかけてに跳躍する際に、必ず舌根を押し下げてしまいます。

「落葉松」が上手く行くのは、音程上昇が少しずつですが「海への小径」は、跳躍幅が大きいからです。
意地悪く言えば前者はごまかせるが後者はごまかしがきかないのです。

具体的には、口を開けないで換声点を発声する鼻腔を意識した方法をフレーズの中で取り入れる方法と、
口を開けて響きを楽に通してやる方法の2つがあります。
いずれも、音程跳躍の際にのどを詰めないで発声するにはどうすれば良いのか?と言う発想があれば自然に行き着く方法になります。