2017年6月4日声楽レッスンノート

TSS

コンコーネのOP15から新たに7番を練習しました。
歌いこみが足りないので、声のことに充分至りませんでした。
もう少し歌いこんでから声のことに及びますが、いずれにしても、後で歌ったラクメのアリアでの息のシミュレーションは必要でしょう。

連隊の娘の「さようなら」大変良く歌えています。
強いて言えば、前半の悲劇的な感じを出すために、滑らかにゆったりと歌うこと。
後半の高音、5点Aの声は締めないで良く開いた喉で出せるようになってください。

ラクメのアリアでは、やはり課題は超高音の発声でした。
今回は、息を吐く練習をすることで、喉を締めずに発声出来る感覚を養うことをやってみました。

つまり、発声時に無意識で声の響きだけを追ってしまうため、喉が締まるわけです。
息が流れる感覚の延長線上に、声の響が出来る、と考えれば、喉を締めない感覚での発声に結びつくのではないか?ということ。

息を軟口蓋に当てて呼気の音がしますが、実際の歌を歌う感覚で呼気を当ててみて、呼気の音の高さが高く変化すればシミュレーションは成功です。
呼気の音が弱く低いか、音高が変わらない場合は、軟口蓋の使い方が間違っていると思います。

SM

フォーレの「ある一日の詩」3曲を練習しました。
全体的に、発音は正確になり、安定して歌えていました。

そこで良い機会なので、長年にわたっての懸案である中低音の発声改善の練習をしました。

声を出す瞬間に息漏れが起きるため、響きが出ない発声になります。
と同時に、母音発声時に舌が奥に入りこんでしまうため、暗い声質になります。

彼女の場合は、発声を母音のIでやると、ほぼ問題なく響きが出ますが、Aになった途端に、非常に不安定でスカスカします。
これは、母音のAを歌うときに舌をかなり奥に落としてしまうことが原因です。
舌が落ちるために、喉の声帯の状態がかえって引っ張られて、低音発声で必要な状態に出来なくなってしまうのだと思います。

言い換えれば高音発声であれば響きが出せる状態で、中低音発声をしてしまう癖が頑強にあるのだと思います。
これは高音発声をするフォームを一つの型にはめた状態にしてしまうために起こる現象で、女性の発声にしばしばみられる傾向です。

以前からの練習方法として、母音のIEAを連続した同度で発声することで、母音Aのポジションをつかむこと。
と同時に、声の出し始めに息漏れを起こさない腹筋の使い方を覚えること。

息漏れが起きるのは、多分声の出し始めで漠然と声を当てているからだと思います。
かなり思い切ったやり方ですが、息を止めてしまった状態から声を出し始める、ということも取り入れると良いでしょう。

NK

とても良く勉強されていて感心しました。
特にこの数回で、高音の換声点辺りから上にかけての発声が伸びました。
喉の締りが軽減し、細くなってファルセット化していた高音発声が、太さがついて響き感が出てきました。

Vergin tutto amor,Se tu della mia morte,そしてCaro laccioの3曲を歌いました。

課題は、5点Cくらいで、息が流れない発声になり勝ちであること。
これは単に口腔内の動きが固定的になっていることが原因で、結果的に息がきれいに流れない発声になるからでしょう。
そして、息が流れることで自然にビブラートもついてくるはずです。

息が流れない発声になる原因は、声の響きを一定の場所に集めようと意識することに起因するようです。
集めるというい意識を持つことは間違ってはいませんが、そのために喉周辺に不要な力みが生じてしまうことが問題です。

鼻根に集めるという意味は、鼻腔発声のことになるので、喉を下げたり喉をつめてしまうことにはなりません。
いかに喉周辺を脱力しつつ、軟口蓋から声の響きを出し始めることが出来るか?という点の基礎訓練が必要です。

このために、ハミングの練習が必要になってきます。

今回は、この点は省いて音程上昇に伴って、軟口蓋を高く上げるようにという意識を持ってもらいました。
これだけで息が流れる発声に自然になります。

ST

Caro mio benとBel nume che adoroの2曲を練習しました。

数か月ぶりでしたが、教えた発声を忠実に再現出来ていました。
低音発声の地声ではないが息もれの無い声、そして高音の換声点の発声も上手く出来ていました。

強いて言えば、やはり中音域から舌で喉を下げ傾向にすることで、声がこもること。
特に換声点近辺で喉を下げようと意識することが、声をこもらせてしまう点に注意してもらいました。

まだ喉の上げ下げのバランスが不明瞭ですが、治せば高音発声が以前よりも明るく響くレベルになっています。
今後もこの点を中心に練習して行きましょう。

曲では、Caro mio benは、大分良く歌えていました。
ここでも、声を前に明るく出すことと、強弱を良く付けることを練習しました。

Bel nume che adoroは、3拍子のテンポ感と伴奏の3連符の連続がスタイルなので、歌のメロディラインのきちっとした拍節感を持って、
端正に歌うことが大事です。
流れないで、丁寧にリズムを表現するように歌ってください。