2017年6月6日声楽レッスンノート

MYM

きょうは本人に任せた発声練習をしました。
全部を母音のAで行いました。

喉に余計な力みを出さないように工夫している点は評価できました。
換声点の通過も、おとがいの力みがすくななった点は良かったです。
5点Gも、だいぶ音程が合うようになって来ました。

ただ、下降する際に喉が変わってしまい、音程が♭になります。
おそらく下降時に脱力してしまっていると思います。

脱力と緊張、という2つの言葉の意味はとても広いので、一律的に理解しないように気を付けてください。
いつも言いますが、結果オーライという言葉は良い意味を含んでいると思います。
また、独学者の場合は問題も出ますが、指導者がついている場合は、本人が必要以上に気にしないほうが良いでしょう。

今日の発声の新たなトピックは、息を止めることとおなかの張りについて、です。
息を止めるときお腹を自然に張りますが、これが意味のある事なのです。

つまり、息を止めることで否が応でも声門を閉じることが、声の出し初めの余計な息もれを防ぐことにつながることです。

息を止めても、歌おうとすれば必要な分声門が開くわけで、そのバランスさえ気を付ければ、彼女のように声の出し初めで盛大に息もれを起こす発声を、矯正できるのではないか?
そして、歌いだしてからの腹筋の支えを保持できれば、これもフレーズを歌いとおす際のブレスの長さにつながるのではないか?
と考えました。

それからこの方法では、声が出だす方向を必ず頭の方向に向かう、と思って出してください。
イメージとしては、声帯のエッヂが鋭くなっていて、細くしっかり当たっている、というイメージです。
これは、少しでも迷うとうまく行きません。

迷わずに思い切ってしかし繊細に扱う、という2つの要素が重要になります。

結果としては、手前みそながら成功だと思います。
まだ声のあて具合はおずおずとしていますが、ブレスが長くなるのは本人も自覚があると思います。

信長貴富の「夕焼け」の独唱版を歌いましたが、換声点近辺の一番苦手なタイプのフレーズが、1ブレスで歌えるようになりました。
このことを自己評価してほしいのです。

歌う際の自分の体使いで、悪い状態であると自覚している力みとか問題点は、良い発声が出来ればすべてイコール解決するのではなく、
それらは、良い発声に変えていく過程で徐々に軽減していくもの、と考えてください。

この曲は低音域もかなりありますが、ここでも息もれを起こさない鼻腔の発声を意識することで、通りの良い声を得ることが出来ていました。

現時点の彼女の発声は、これまでの蓄積があるために、どのやり方でもかなりなレベルを保つのですが、後一歩の感があります。
これは、方法論ではなく、行為に対する本人の迷いがあるかないか?というイメージの問題ではないでしょうか?

どうか、迷わず思い切って試して行くことで、良い感触を得たら、それをしっかりつかみとって、自分のものとしてほしいと願っています。