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久しぶりのレッスンであった。
林光の「4つの夕暮れの歌」

改めて、林光の才能を強く感じさせる作品と感じた。
詩の持っている語感とニュアンスを、単純にしかし明快なドラマを以て表現している。
単純にというのは、歌と伴奏の関係あるいは伴奏形の単純さという点においても評価出来る。
音楽を単純に表現するのは、とても難しいことだと思う。

彼女の歌唱は、全体的にそつなく綺麗にまとめられていた。
声量も充分だし音程感も良く、声も明るい。
大過なく演奏できているが、それだけに現代的な詩風の音楽性がもう一歩表出されない点は否めなかった。

それは声の強弱とリズムの緩急、転調時のピッチの取り方、リズム表現の仕方などのディーテールにおいてである。

それらを表現する根拠になるのは楽譜に書かれた指示と、歌詞が表現している世界との一致を考えることにあるだろう。
一致していることに納得が行けば良いのだが、納得が行かなければ自分の好きにやってみて、違いを良く感じてみることも大事である。

あと歌詞を朗読することは大事だが、その時も楽譜に指示されている強弱やテンポ変化を勘案して、朗読することは大切である。

結局、楽譜を基に歌うということは、作曲家の意図を汲んで表現するわけだから、自分が歌詞に感じたイメージだけで処理するのは無理があることになる。
その意味で、楽譜の指示を基にして歌詞の朗読を理解して実行できることを根拠にして、最終的に歌の表現を目指すことが理想になるのだと思う。

声については、更に踏み込んだ弱声のテクニックを開発してほしい。
弱声で歌えば歌うほど、レガートな歌唱が生えるし、またレガートに歌うことの難しさを感じるはずである。
つまり弱声で歌う意味は、よりレガートな歌唱として表現されるべき。
それは、それだけ息のコントロールを徹底的に実行することが課題となるだろう。

ピアノ伴奏とのアンサンブルが意外と難しいのは、ピアノの音楽の間合いの取り方や、割り切れ居ないリズムの時にピアノと歌で綺麗にアンサンブル出来ているかどうか?という点。
ピアノの間合いの取り方というのは、性格に拍節を数えて弾くべき個所と、数えないで相対的な長短の違いで弾くべき個所の違いを理解して実行できるかどうかという点である。