YY

プーランク「偽りの婚約」
全体に歌声を頑張って出そうという意識が強めであるため、声質がやや締まり気味だった。
もう少しリラックスして柔らかく弾力のある声質も目指してほしい。
明るく良く通る声質と良い音程があるので、フォルテでも7割くらいの意識で歌うと声が絞まらないと思われた。

1曲目、歌声が気負っていたので、もっと歌詞の内容に寄り添って歌声を意識すること。楽譜の冒頭部分を見ればPと指示があると思う。
Pの声はどういう表情か?を歌詞内容と照らして考えること

2曲目、
こちらもPの弱声で始まるが、感情の変化が大きくFまで達する。かと思うと突然の弱声を指示される。
感情の変化、心の迷い、というものを良く歌詞を読んで感じて歌うこと。

3曲目テンポが速いのでどうしても安全運転になるが、そこで留まってしまわないように。
少しリスクがあっても速く歌い進むことが表現につながる部分を大切に。
それでも見事にフランス語歌詞をさばけていた。

4曲目、感情の変化と声のダイナミクスの変化が一致している点が2曲目と相似している。
声量の変化は、彼女の実力なら弱声をどう決めるか?を研究すると解決すると思う。

5曲目、弱気になっていた4曲目から一点して酔っ払って気が強くなった女性の持つ可愛らしさみたいな雰囲気が出せれば理想的である。

6曲目、心情の変化で言えばいろいろな悩みもあるが、そこからいったん抜け出た明るさはある。
だが、それは希望のある明るさではなく、諦念によるものであること。
静かで平和であるが、心底に癒されぬ悲しみを持っている。

日常のご自身の悩みや喜びを、この曲の女性主人公の感情変化に照らして歌うと、実在感のある歌になると思う。
元々のキャラクターが合っているので、自身の感情というものを良く思い出して歌うと良い結果になると思う。

林光「4つの夕暮れの歌」
高音発声で美しい弱声が発揮できている点もあるのだが、中音域のダイナミクスがややMF~F寄りが多く、音楽のニュアンスの変化に乏しい。
詩の内容に対する感情が、ほとんど強い方向にだけ集まっているせいであろう。
弱気になったり疑問に思ったり、というような立場の時、どのように物を言うか?良く想像してほしい。
そういう感情で歌声を

EK

発声練習の声は大変調子の良さがうかがえたので、やり過ぎたら高音が出なくなるので、ほどほどにとしたくらいであった。

伴奏付きのレッスンだったので、「椿姫」のアリア「過ぎた日々、花から花へ」を何度か通したり部分練習を行った。
まず冒頭のEstranoの個所は、伴奏もつかないし意味が意味なので、大きな声は要らないということ。
「ああそはかの人か..」の冒頭のレチタティーヴォの冒頭の伴奏は、あまり弾きかたに勢いがつくと歌いにくいだろう。

アリア部は高音域の声が大変調子が良かった。
以前は声が絞まっていた6点C以上が、かなり緩んできて聴きやすい声に変化しているのが良く判った。

声が良く出るようになったので、声が乗っていて盛り上がる個所は、ピアノもあまり遠慮せずに弾いてくれる方が、
ヴェルディのオペラアリアを楽しめると思った。

最後の最高音をどういうフレーズで出すか?ということで悩んだが、結局余計なフレーズは削除して一気に最高音に進む形にアレンジした。
長く伸ばせれば理想だが、ひっくり返りやすいので自分でその感覚を把握して、決して無理をしないことが成功の秘訣だ。

全体に良く歌えて気持ちも入っているので、あとは集中力を養い、喉を大事に過ごして本番を迎えてほしい。