AC

発声練習を聴いていると、低音から換声点通過までバランスよくきれいに声が整えられるようになった、と実感できた。
これが、実際の曲の中でどう応用できるか?という点が、難しいが課題になるだろう。
それはブレスという音楽的なタイミングでの息の入れ方と、歌詞の発音ということに気を配ることが大事であることになる。
今回のレッスンで実感したことである。

アポリネールの4つの詩。
ピアノ伴奏をつけてのレッスンだった。

1曲目「うなぎ」
最後のレッスンだったが改めて楽譜を子細に見れば、マルカートが付いているところや一つの音符・シラブルに小さなクレッシェンドがついていたり、と結構細かい指示が多いことが判る。
それらをなるべく確かめてやってみた。
彼女に限らずだが、中低音~低音は、強く出そうとするともろに地声になるため強声を避けてしまうのだが、
喉と軟口蓋をしっかり支えておけば、地声に変換しなくてもしっかりした声は出せるようになる。
この場合声は声帯で合わさる感じではなく、頭部から出る感じであるが、喉はしっかり下がって開いている感じになるはず。

2曲目「絵葉書」
ピアノ伴奏のテンポを指示通りに早めてダンパーペダルをあまり使わない乾いたニュアンスを出してもらった。
後奏は突然ロマンティックになって終わるとぴたり来る。

3曲目「シネマの前に」
作り声で薄っぺらく歌うこと。ただお腹を使わないと声が出ないので、ブレスでお腹をしっかり支えることは忘れずに。
また、作り声とはいえ喉を開けた方が喉を傷めないから注意を。

4曲目「1904」
これは大きな声で速いテンポのため難しいのがブレスと喉を開く、という作業。なるべく意識してほしい。

結局、基礎の徹底ということになる。腹式呼吸の徹底と喉の開きを保って歌うということになる。
恐らく一番難しいのが、喉を開けた状態で歌詞発音して歌うという部分だろう。
今後はゆっくりの歌で、この点を確立していければ良いと考える。

TM

発声練習は下降形スケールと上行形スケールで始めた。
高音は5点Aくらいまでだったか?に止めたが、換声点の通過は上手になったと感じた。
また中低音も安定してかなりな低音まで出せるようになった。
4点Cくらいから良い共鳴がついているが、これ以下の音域も共鳴を利用した発声を得ることで、より良い声に近づけるだろう
今回のレッスンはその点が中心となった。

フォーレの歌曲集「幻影」全4曲を順番に練習した。
それぞれの曲の細かいことについては省くが、練習したことのほとんどは発声であった。

細かいことは省くが、以下簡単にまとめてみた。

弱声発声時に喉を脱力しようとしても、喉の発声機能そのものまで緩んでしまうので、脱力という発想はしない方が良いこと。
この発声を一言で表せば、ブレス時にあくび状態を作って、その状態のまま発声すること。
また音程移動でも、このあくび状態を変えないで発声し続けること。
このことで、中高音~低音という往き来でも、声質を変えないで、つまり抜けない発声が行える。

この音程移動時に声が抜けてしまう現象を悪く取れば、声が抜けそうになるから、無意識で声帯を合わせようとして胸声発声になりやすいのである。

私も経験があるが、軟口蓋が高くかつ喉が開いた発声による中低音の良い声の響きは声帯がしっかり合わさって鳴るという感じよりも、声の響きの反響が出ている感覚と思った方が良いだろう。
これを維持、持続して歌うためにこそ、発音時の口内の状態の維持が強く求められるわけである。

そしてこの発声を根本で担保する機能が、腹式呼吸である。
つまり横隔膜のしっかりした収縮があるからこそ、喉の状態は維持される傾向にあるからである。
ブレス時にあくびとセットで横隔膜がうまく収縮する呼吸が出来ていれば、あとはお腹は自然に声をサポートしてくれるはずである。
このことは、当然音程が跳躍したりあるいは下降して歌う際に、どうするのか?という答えと結びついているであろう。

まとめると、一番大事なことはイメージだけで声を作らない事。

発声法は、楽器を扱う大事な基本のことであり、これを無視して声楽の良い歌声の表現はあり得ない事。
歌詞の内容理解やイメージだけで自然に良い声は出ないということは、間違いないだろう。
イメージは大事なのだが、その前に楽器として成立させているべきであること。