WH

発声練習は念入りにやった。特に最後にやったハミングの練習は、実は今まであまりやって来なかった。
母音だけで、力の抜けた良い声が出せる喉を持っているのだが、ハミング発声にも馴れることで、発声を研究するための、何がしかきっかけになると思う。

曲はイタリア古典のTu ch’hai le penne,Amore
ルネサンスらしい、カッチーニの美しいマドリガーレ作品だ。

イタリア風に、矜持の高さを見せるスタイルで良く歌えているのだが、強いて取り上げるなら、中高音のピッチが時として上ずるのと、全体にテンポが忙しくAllegroという感じであった。
なぜそうなるのか?という理由は良く判らなかったが、この曲を歌うなら、楽譜記載の指示4分音符=92を守ったほうが、この曲を表現するための声の練習になるのではないだろうか。そしてゆったり歌うことで、発声、特に共鳴を出す美しい響きを追及しやすいであろう。
音楽の勢いで歌うのではなく、母音の響きの美しさを出す歌い方、である。

結局、彼女が納得が行かず、この曲だけを念入りに練習することになったが、この曲で練習して欲しいのは、やはり母音の共鳴のある響きである。
声を当てる、という考え方を取るのであれば、それは、おでこだろうか。絶対ではないと思うが。

強声の練習より、むしろ絶対に喉を締めない響き、を追求するのに良いと思う。母音、特に狭母音Uなどで、響きを追求して、それを歌詞で歌っても、なるべく再現出来る様になると、このマドリガーレの切なく美しいメロディが活きると思う。

MM

発声練習で、注意したことは、口、特に下顎を降ろさないように発声することで、軟口蓋から上を開けることに留意して欲しいことである。
曲は、前回と同じく、パーセルのEvening hymnから。
2回ほど通して、どうも気になったのは、喉が微妙に高くて、聴きづらい響きであったこと。
今までも、この点は迷ったのだが、やはりこの点に戻ったか?という感じ。
低い喉は、オクターブ下の声の響き、喉の状態を覚えておいて、オクターブ上に上がる、という練習方法で、掴んでもらった。

この方法に戻った一番のきっかけは、やはり裏声である。
原因はどうしても、喉の保持が不完全な発声であるということだろうか。
特に上から下に降りる際に、5線の中間以下の声域は、しっかり深く響かせること、また2点C~の領域も、喉が上がらないよう注意して欲しい。

そうなると、音楽のつくりが変わるのは、モーツアルトのDans un bois solitaireである。ソプラノというより、メゾ系の声で、落ち着いた
エレガントな歌を、ということで、テンポを落とすと、しっくり来る。中間部のFな表現は強すぎないで、歌う方が、この発声が活きるだろう。

グノーのO Divin redempteurは、本来、この発声による表現が良く出るはずである。高音が頻繁に出てくるから、こちらは、上を開けることも大切に。
子音もきっかけになるであろう。