YYさんの歌う姿

YY

発声練習はO母音を中心に主に低音~中高音域を限定して行った。
O母音にしたのは、喉を高くしないこと、それは喉に緊張を与えないという意味である。
子音Lを付けて行った。
要点は、口が横開きにならずに縦に下顎を脱力するように降ろせていること。

5点C~D辺りで喉の変化が起きるころには、下あごと共に口を中にすぼめるように使えること。
これらの歌いながら口を使って口奥の共鳴を誘うことや、喉を高くしない発声を使えること。
声楽発声でも特にフランス歌曲の場合には、ノーブルな歌声に寄与するのでしっかり覚えて頂きたい。

練習を見ていると、5点D辺りから上ではまだ声が出過ぎと言おうか力むという印象がある。
喉の感覚なのだが、呼気圧と声帯との関係なので息も強すぎては駄目だ。
声帯も締め過ぎない緩め過ぎないという頃合いを探って響きを出せるように探すこと。

フォーレ「秘密」

今回も発声練習からの続き的に、母音の響きを追求した。
喉を上げない発声=締めない発声という解釈である。
eのあいまい母音は特に狭母音であっても、口奥の空間を作って共鳴を覚えるように。
I母音も同様である。
それから、eのあいまい母音やIなどの狭母音系と別に、MatinのAやEの鼻母音など明るく広い母音はきっちりその区別をつけるべき
このように、フランス歌曲ではフランス語の持つ語感の特徴を、歌声として発音に気を配って歌っていただきたい。

フォーレ「バラ」

これも「秘密」と同じである。
特には音域が換声点に近いところが多用される点が難しさ。
ここは声を強く当てないために、喉奥を拡げるように。
響きは高いからと言って鋭く細く当てようとすると、かえって共鳴が出ない。

軽く声を胸に当てるつもりで、しかしピッチは高く、である。
ピッチと共に共鳴を付けるために、軟口蓋を上げる。
この両者のバランスを取るために、口を上下に開けるのだが、上唇を前に反らすと喉が上がる。
上げないために、上唇を上歯にかぶせるように。
そして下あごは、自然に喉が開ける(喉奥を拡げる)事のために下げる。

これらのことは鏡を見ながら練習を積み重ねないと、一朝一夕では出来ない。

グノー「ロミオとジュリエット」から「私は生きたいの」

難関の高音発声についての練習となった。
全体を聴き通してみると、こちらが感じる以上に喉を押した発声になっているようである。
恐らく声を良く響かせ前に出す、という漠然としたイメージで歌っているのではないか?

入口的にスタッカートの練習もしてみたが、スタッカートの練習に慣れてないようであった。
難しい高音発声は、歌う中での力の配分、息の入れ具合などの点検が大事。
それとは別に課題別に発声練習でいかに高音を出すか?出せるか?の点検を日々行わなうべきである。
これらの2つの要素を毎日積み重ねて行って、ようやく音楽として使えるようになるだろう。

次回は個別の練習方法を試したい。