TH

発声練習

特にトピックを持たず、5度スケール、5度と8度のアルペジオを練習した。

ロッシーニ「アルプスの羊飼いの娘」

リズム感も音程感も良く歌えているが、中低音域の声が暗く潜ってしまう傾向がある。
この典型的なイタリア民謡風の歌声は、はっきりと明るくシャキシャキとした口調で歌うべきだが、中低音の声が意外と響かない。

そのため母音で歌う練習をした。
母音はE母音を使うことで、舌が高くなるような方法を誘導することになった。
このやり方は、舌や喉の不要な力みを取って明るく高く当たった声を作るのに良い方法である。

ベッリーニ「夢遊病の女」より「ああ、信じられない」

このアリアは、全体を通して非常に良く歌えていると思う。
ほぼ言うことが無いのだが、あえて細部を考えた上でいくつか提案した。

アリアの冒頭の歌い出し方は、弱声にならずに朗々とはっきり歌った方が、オペラ的にステージ映えするだろう。
逆に中間部は弱声でのレガートに撤することで、このアリアの悲しみの部分が劇的に表現されるであろう。
あまり言葉を明快に歌うのではなく、弱声の美しい声の響きを徹底してみることに挑戦してほしい。

カデンツのメリスマは、最高音に続けて♭になる声は弱声で共鳴を良く効かした声を探してほしい。
口をあまり開けず、声を後ろに引き込むように、あるいは声を吸い込むような気持で歌ってみるときっかけが掴めるだろう。
喉に力が入ると難しい。

チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」「私はおとなしい下僕」

これも大変良く歌えている。
更に伸展するためには、声の強弱によるドラマの表現である。
発声的に言うと、強弱という考え方より声質の違いで考えると良い。
鋭く強くは喉下の鎖骨のくぼみ、柔らかくくぐもった声は後頭部、という声の当て所の違いが実現できる事でニュアンスの違いが良く出せるだろう。

 

MO

発声練習

I母音で低音から始めた。
高音は4点Fまでにしたが、高音発声も安定してきていると感じた。
同度によるIEAOUの練習によって、I母音の響きをA母音に応用する練習。
大事にしたのは、声の出し始めを良く響かせる意識。

トスティ ソルフェッヂ22番

歌い込みが浅かったため、何度か通しながらの練習となった。
3点bの声の出し始めを決めることと、フレーズにおける跳躍音の高音側で重心を低くすること。
特に4点Eの声は声が薄くかすれない注意を。

イタリア古典歌曲集 Dimmi amor

高音発声は課題であったが、今回の結果で合格とした。
完全ではないが、全体として音楽的にまとまったと思ったからである。
特に冒頭の旋律の歌い出しは、実に美しく処理されていて感心した。
高音発声は様々な方法を教えているので、今後は今回の状態で歌い込むことをして行けば良いだろう。

小林秀雄「落葉松」

とても良く歌えている。
彼が響きを気にした最後のPPPだが、発声の技術ではなく演技としての歌詞のイメージを明快に持つこと、と教えた。
これはPPPに限らず、曲全体にわたって大事なことである。

越谷達之助「初恋」

これも懸案の高音の声や途切れの問題はほぼクリア出来たと思う。
冒頭のメロディは彼の歌声に実に合っている。
後半の弱声のメリスマは、特に4点Fが難しいので、弱声を無視して歌うようにしたもらった。
声の強弱は腹筋を固定して、喉で呼気を調節するということが体感できると良いのだが。