3月6日

EH

少しずつ声が滑らかになりつつあることを実感できるようになった。
特徴的だった中低音域の気息的な声質に艶が出てきたと思う。
コンコーネ13番。ブレスのタイミングと吸気能力の力は意識した方が良いだろう。
歌はフォーレのトスカーナのセレナーデ。
跳躍が特徴的なモチーフだが、跳躍で飛び出し過ぎないように注意。
後はフランス語の発音修正。

SKM

発声練習は今回も2オクターブを確保することを目的とした。
高音発声が意外に楽なのは、ファルセットが使えているせいだろう。
それは合唱をやってきたことと関係があるだろう。
彼女をソプラノに推すのは、喉の素質もあるが、重たい声、中低音を確定しつつそのまま高音発声に持って行くことの難しさにある。
特にアリアを学ぶために最初からメゾやアルトをレパートリーにするのは喉を傷めるだろうと思う。
軽いソプラノで音域を確保してから、徐々に中低音を重くした発声を教えるという方法が良いのではないか?

3月8日

ST

発声練習で換声点になると音程がはまらない原因を考えてもらった。

Qui la voceの練習に終始した。
前回の結果を受けて練習した成果はあったと思う。
口を開けて喉を楽にせず、むしろ開けないことによって喉を上げずに換声点を対処してみた。
口を開けて喉を下げるよりも、口を開けない発声(閉じるのではない)で、口奥をあくび状態にするのが一番良い方法である。
ヘンデル Un cenno leggiadretto
これも口を開けて発音するよりも、口の開度をある程度固定して対処する方が音程感の良い換声点近辺の発声になると感じた。

YH

発声練習では2オクターブほどの音域は軽やかで力みがなく、レッジェロな女性らしい歌声に好感が持てた。
6点C以上も伸びる声質を感じたが、本人の弁では伸びないとのこと。
高音域の声の使い方は次回に持ち越したい。

ネルのフランス語の発音を中心にレッスンし、サティのあなたが欲しいも発音を練習。
半母音の話題になった。
半母音は、母音と子音の中間的な存在という意味であり、発音記号は子音と認識されるが、実際に発音されたときに母音的な響きになる。
Jなどはその典型。

竹とんぼは、自然な歌い方が良い。
声の響きだけを追わないで、音楽が表現している淡々とした優しい気持ち、そして急に湧き上がる情熱という面をくみ取った歌声を目指してほしい。

3月9日

KR
発声練習は、ほぼ何も指摘せずに10分ほど行って2オクターブの音域を無理なく発声できるレベルにまで成長したと思う。
高音の声区は細くファルセット気味だが、クラシックではないしミックスした声質になっているので、今後を見極めたい。
コンコーネ18番、ピアノ伴奏に引きずられて音程を間違いやすい。
階名唱法で音程関係をつかむことを教えた。
アマリッリは、最後の細かい音符の間違いを修正。

3月10日

TH

発声練習の声、高音域の声が軽やかに伸びてきたのを実感。
以前にくらべて、力まない発声になりつつある。
チレアのアドリアーナ・ルクヴルールの2曲、とてもよく歌えている。
ディミニュエンドやPPの時に、テンポも含めた対応を考えると、より表現力が増す演奏になる。
プッチーニ「つばめ」「ドレッタの夢」は、特に狭母音では口を開けるように準備して発声する方が喉が上がらないし、疲れないだろう。
一発勝負的に歌うのであれば良いが、現状だと連続する高音発声で、最後の5点hで喉が上がって歌えなくなる危険性がある。
特にI母音での換声点以降は、口を開いて舌をしっかり丸めてポジションする方法を教えた。
この方が喉が上がらずに対処できるようである。

3月11日

KGN

発声練習は地声領域まで降ろすことで、自然に重心を低くすることで喉をリラックスさせる方法で始め、徐々に高音まで練習して行った。
ヘンデルVadoro pupilleは、換声点の5点Fで喉が上がる点を修正。発音のために下あごを下げないように対処。
メサイヤのRejoice greatelyは、長いフレーズを息を入れずに歌えるように、息の配分を考えた。
いずれも大変良く歌えている。
換声点の発声は気息的にならないように注意を。
最後にPiangero la sorte miaを練習した。
これも彼女の歌声には相応しいと感じた。
バロック作品はレパートリーとして相応しいのだろう。

SK

中低音域の声の改善が著しい。
母音IからAにしても、抜けがなくなってきた。
また低音の地声発声から始めてもチェンジによる不具合が出ない。

シューベルトの「若い尼」
低音域で声がこもらないように。
また5点C以上F以下で声がチェンジしないように。
「糸を紡ぐグレートヒェンン」も同じ中低音の声がこもらないように明快に。
そしてヴェルディのリゴレットから「愛しい人の名は」
歌の内容のイメージの前に劇場音楽の演奏としての歌声と言う面をまず身に着けること。
中低音では、明快にはっきり歌声が聞こえて語るように、という技術的なことを大切に練習してほしい。