初めての方。
イタリア歌曲をよそで習っているが、フランス歌曲も習いたくて、ということで来た。
実際に歌ってもらうと、フランス語の発音に関するセンスがあり感心した。
ただ、大学時代の第二外国語でやっただけだ、とのことだが、それらしく一所懸命発音する。
発音に対してまじめ、というと変な言い方だがこれはちょっと上手く書けない。
何かきちんとしている、あるいは、う~んやはりセンスか!

それから育ち、成り立ちが歌とか芸術に向いている人と言えば良いだろうか。
気持ちが自然に顔に顕れてとても素直な気持ちの良いお嬢さんであった。

ただ、レッスンに行き出して1年とのことらしいが、技術的なことをあまり教えてもらっていないようで私から見ると残念である。
やりようで、もっと短期間で声は出るようになるのだが。

積極的にお腹を使ってみること、姿勢を正して声を当てる意識を持つこと。
今日の最後に来たやまださんもそうだが、2点F以上は間違いなく顎を出さないで指をくわえて発声練習をすると、喉の締まらないきれいな頭声が出る。
つくづく母音で発声をする難しさを感じる。

高音に行くほど首の後ろを縦に伸ばすように、ようするに身体検査で背を高くしようとして頭の天辺を上に伸ばすようにすると、驚くほど喉の締りがなく綺麗に高音に入れるようになる。
ポニーテールだったので、失礼ながらそのろばの尻尾に当たるものを斜め上に引っ張り上げるようにすると、丁度良いのであった。

また、さかぐちさんは中音部ではハミングを良く練習して、ピッチ(音程)の合った響きをまず確認し、そこから母音に変換して音程の良い響きを見つけることが大切である。
恐らく2~3ヶ月でかなり歌えるようになるだろう。

今日は早速マスネーの「エレジー」を練習した。
譜読みを何度か母音で行ってから、フランス語を読んでもらったが、驚くほどはきはきと綺麗に発音できていた。直したのはほんの少しだけである。
また、譜読みも早い。勘が良い。

2点C以上であれば、ちょっとした発声で声は響くが、中低音が少し弱いのでハミングから母音、そしてお腹を積極的に使って声を前に出す、というだけでかなり良い線に行きそうである。
何よりフランス語の読みが良いし、譜読みの勘が良いので進歩が早いだろう。
これからが楽しみなお嬢さんである。

さわださん

風邪を引いて咳をしていたが、案に相違して声は絶好調であった。
このところ、声の当たり所が確立してどうやっても良い声が出るようになってきた。
安定してきたのである。
特にイの母音は響きが良く、そのままびゅんびゅんと高音まで出るようになってきた。

ただ、中音部はやはり開口母音が苦手のようで、アなどはスカスカしがちである。
ハミングから母音に変換して徐々に温めていくと、ようやく響きが出てくるようだ。
ただ、そのことの意味が彼女が良く分かっているので、こちらも苦労せずに教えられる。
これも伊達に年数をやっているわけではないからだろう。

特に今日の発見は、久しぶりの彼女の高音域がとても素直で綺麗になっていたことだった。
それは偶然のことで、以前に課題で与えたフォーレの「漁夫の唄」オリジナルではあまりに低い、と思い高声用で歌ったもらったのだが、これが綺麗に響く。
譜読みが不完全なので、ちょっと締まる場合もあるが、無理がない。

Les roses d’Ispahn(中声用)も良く勉強してきていた。
高音と言うほどではないのだが、この曲の高音2点Fくらいか、とても綺麗に響いていた。
歌詞もきちんとノートに書き写して発音記号も付加して勉強しているのには感心した。
彼女は努力家なのである。
後は歌いこみでどんどん声は出てくるだろう。この曲に関しては何も心配がない。

後は、「漁夫の唄」が譜読みが進めばなかなか高音域の張りのある艶やかな彼女らしい声が
聴けるのが楽しみである。
フランス語の読みは、彼女の苦手な言葉捌きがあるので、時間をかける必要があるが時間さえかけてじっくりと取り組めばかなり良い歌唱が手に入るだろう。
「我らの愛」(中声用)そして「祈りながら」は中声用で良いだろう。
彼女の声に合わせて最適なキーで、なるべく彼女の美声を聞かせるようにしていきたい。

やまださん

発声をかなり練習した。
彼女もご多分に漏れず、顎が出てしまう。
身体つきがやや弱い感じで、真っ直ぐにしゃんと立てない。
歌おうとすると、顎が出てしまう。
特に高音になると、口を開いて喉を絞めて歌ってしまう。

彼女の場合、指をくわえて顎を引いて、と書くと勘違いされるので、頭全体を後ろにするようにして、絶対に顔が前にならないように。
彼女はポニーテールではないので、引っ張ることが出来なかったので、顎を直接押さえつけると、声がこれまた上手く響くポイントに入るのである。

後は中低音域が、すかすかして響きが落ちてしまう。
イの母音はとても上手く響くのだが、そこからアに応用するのがまだ難しい。
下顎を降ろしてしまい、喉が開きすぎてしまうのである。
そこで、響きを歯に当てるようにと言ってやってもらうと、大分中音域の声も当たるようになってきた。
この場合、Gaガ~という発声がやり易いようである。

彼女がどれくらいまとめてこちらに来てくれるか?どうもまだ未知数なのだが後の半年でなんとか発声のこつは教えてあげたい。
中音部の響かせ方と、高音域で喉を閉めないように歌う姿勢と口の使い方である。

今日は「オペラ座の怪人」からThink of meとAll i ask of you.
いずれもデュエットなので、私が弾き歌いで一緒に歌った。
ロマンティックで美しいメロディである。
若いお嬢さんとデュエットするのは楽しいものである。笑

Think of meの最後はオペラのカデンツの真似事で2点bだか出てくるから難しい。
しかし意外に良く歌えている。最後の2点bだけは喉が締まってしまうが一応出ているから、後はこつと積み重ねで行けるだろう。
All i ask of youは、音域的には問題ないので中音部の声をもう少し響かせたい。

しばらくは間を開けないで来られれば、かなり歌えるようになるので、頑張って欲しい!