今回2回目。
今日は普通に母音アの5度上向形で発声練習を2点Gくらいまで上がり下がりして様子を見た。
素直な喉で、声も思ったよりは良く出るほうである。

素直な声だが高音がもう少し出ないかなと思って、高音を最初に練習した。
高音といっても2点Fから先のところ。
母音をアにすると喉が締まり易いので、指をかんで練習。
姿勢は大切で、声を出す時に顔が前に出るので注意。
特に喉が締まりやすくなる高音の音域を出す時は顎が出ないように。

後は中低音域で地声がもろに出るタイプではないが、誰もがそうであるように喉っぽい声になるのでハミングの練習と
Ninninという練習からNyannyanと変化させて、最後にNaで練習。
これが効果的で、響きが喉に落ちないで顔の前あるいは鼻辺りに響きが出てくる。
これは容易に出来るので覚えて欲しい。

次にコンコーネの50番の1番から練習を始めた。
いきなり譜読みだったようで、中間部のピアノが旋律を出さない部分で音が外れていたので音取りになった。伴奏の和音と違う音を出すところは、譜読みを良くしておいてほしい。
この練習曲は譜読みの練習ではないので、音だけはなるべく取っておいて、レッスンでは
声の練習にしたいところ。

最後にミュージカルナンバーを3曲ほどやってみた。
いずれもアップテンポで、結構難しい曲である。
英語の発音は抜群に良いが、音域で低いし、声を張る傾向の曲なので今日の中音部の鼻腔の響きが
必要だと思う。そうしないと、声を張ることを連続すると、いわゆる大声になって喉が疲れやすいだろう。
声を出す、というよりも、通る声を鼻腔で作るという意識を大切にして欲しい。
こういう曲は乗りが大切だから、難しいことは言いたくないが、乗りすぎないで発声を意識することで
良く判る歌になるだろう。通る声になると言葉も良く判る面もある。

なんて小難しいことをあまり言いたくないのだが、逆に彼女くらいの年からきちっとした発声を覚えると
後々に大きな財産になるだろう、と思うのである。
難しいことを言わないで、大きな声ではっきりと歌いましょう、というのもありだとは思うが難しいところである。
また、1時間のレッスンも集中力の持続等の面で心配がないでもない。
ただ、目的は文化祭のミュージカルなので、喉を壊さないで通る声を作る、という面のにみに絞っても良いのかもしれない。

すぎたさん

試演会の3曲は大分落ち着いて、良い歌が歌えるようになってきた。
懸案の中低音域もしっかりしてきた。
高音も気をつければ音程がはまるようになってきた。
それぞれが確立してきたので、後はそれを定着させて欲しい所。

発声練習は下降形から始めた。高音域ではやはり当り具合の関係で音程が♭になる。
どうも喉を閉めてしまう傾向が強い。
それで、喉が自然に開きやすいUの母音で、huで練習をした。
2点C~Gくらいの間である。

ウの口もしっかり口を突き出して、喉が自然に降りた状態で、息を膨らませるように
あるいは息の混じった声を前に押し出すようにした方が喉が締まらないのではないかな。
ある程度は自分で喉が上がらない方法を探して欲しい。

口はどうすると、どう変わるか?舌の意識は?声の出し具合はどうか?出しすぎていないか?
あるいは抑えすぎていないか?あるいは姿勢はどうか?
高音ほど低く意識してみることと、口の使い方には充分注意して欲しい。

例えばドレミファソ~と上がる場合に、上に上がるほど喉が下がるような口の使い方、ということもある。
音楽は動いているから動いているものに即応する体の反応、使い方を考えること。

中音域だが、今日は路線変更となった。
舌先だけは奥に入らないように注意して発音することと、口は縦にある程度開けた方がどうも良さそうである。
喉が落ち着くというのだろうか。
声を当てようとするよりも、喉の落ち着き、リラックスを大切にすることが結局良いのだろう。
当てようと意識するあまりに、不安定でガサガサしてしまい、逆に高音との響きの繋がりが悪くなるようである。

ヘンデル、トスティ、モーツアルト3曲とも、安定して歌えるようになった。
一先ず安心。
声としては、高音域よりも中低音である。舌が引っ込まないようにして、口は軽く開き気味で落ち着いて。
今日の発声で良いから、もう一度発音は正確に出来るように確認して欲しい。

あめくさん

最初は下降形から始めて上向形、と声の具合を聞いてみた。
声の当り具合は良い。綺麗に当っている。

発声練習では結果的に鼻腔の響きの練習。
ハミングから母音、あるいはNを使った響きの練習。
下あごを使わないこと。
Nを使った練習は効果的で、良いポイントにはまった中音域が出てくる。
しかし、実際に歌詞をつけると、まだまだ喉で押してしまう声になる。

これはほとんどの人に言っているのはレッスンノートを読んでも判ると思う。
下顎の使い方をよくよく注意して欲しいのである。

サティの3つの歌曲。
結局声のことに終止する。
彼女の課題は言葉の発音によって、舌根に力が入って喉で押してしまう傾向があることである。
それは、特に一番低い声区で注意しなければならない。
この領域できちっと鼻腔発声を意識出来ていないと、更に高い声区への融合が滑らかに行かないようである。
厚く当てないえ、鼻腔で軽く入れる感じを大切に。

言葉の意味を形にするのはとても難しいので、今は表情云々よりも、確実に楽譜に書いてあることを声にしてきちっと歌えることが大切である。
特にテンポは彼女の場合遅く重くなりがちである。
1曲目は基本テンポはアンダンテくらいだが、変化がある場所のリタルダンドからの戻りを確実に。

それからやはり高音域に向かうフレーズの声区の問題。
特に声を出そうと意識すると上側の声で喉に来るらしいので、低音の扱いに注意が必要。
一つのフレーズを練習する時にまずはゆっくり練習すること。
そして、例えば入りの声は、そっと入ってから上に行くほどクレッシェンドすることとか、入ってから、鼻腔へ入れていくように導く、などという声質のことを意識して練習してみることも良いだろう。

2曲目は何といっても入りのDisの響きである。重すぎても低くなるし、軽すぎるとかすってしまう。
怖がらないで、思い切りくらいで丁度良い。
彼女のお望みでゆっくりのテンポにしたが、この曲は美しい曲である。
大らかにしみじみと大真面目に歌って欲しい。

3曲目はとても良くなった。高音と低音域のバランスが取れてきた。

いずれも回数と経験で積み重ねることばかりである。
特に言葉の発音はいつまででもしつこく注意、確認を怠らないで欲しい。

わきくろまるさん

発声はイで上向形で初めて2点bまでにした。
声は相変わらず調子が良い。この人はほとんどいつも調子が良い人だ。
色々な人がいるが、発声の器官の状態として下も上もよく開いた人である。
本人はなんと思うか知らないが、これほど軟口蓋とかうるさく言わなくても上の開いた声が出せる人は珍しい。

ただ、中低音でメゾっぽい発声というか暗い音色の声を出す癖があるので、敢えて鼻腔発声の練習をした。
あめくさんと同様にNinninでイの系統でNを使ってから、Nyannyanでアの系統に応用。
下あごを極力動かさないことで、響きを鼻腔に入れることを導く。
これがとても具合が良くて、そのまま上がっていったら3点Cはぴか~んと気持ちの良い声が出た。
この声はまだ実際の曲の中では上手く行かないが発声で上手く出来る確立が増えれば、後は時間の問題だろう。
何より声というのは感覚だから、高音など普段出さない声は、経験の多さがものをいうのである。

曲はベッリーニのPer pieta bell’idol mioから。
前半はとても素晴らしい声の状態で歌えたが、ともするとブレスで喉が上がって次からは浅い響きになり勝ち。
これはブレス、タイミングなので、気をつけるのみである。
後は高音で口を横にする傾向を少し気をつけて欲しい。
なるべく縦に開けること、前に響かせる意識である。

Vanne o rosa fortunataも課題はまったく同じである。
最高音の2点Aだが、その前にフレーズの間のブレスがきちんと入ればブレスが持つから大丈夫だろう。
後は、Morteのteが2点Aになるが、これは少し早めに「上がってしまう」ことがコツである。
テンポ通りに歌おうとすると、高音というのは重くなるので、なおのこと苦しくなる。
そういう観点から言えば、ここのような長いフレーズで上に向かうフレーズは上に向かうほど少しずつ早くしておいて、高音で落ち着いて出せば良いのである。その次のブレスも落ち着いて取れば次の2点Aも良いだろう。

最後にマノン・レスコー
今日は区分に分けて、何度か反復練習。
彼女の声は鉛筆で言えば取って置きの2Bみたいなので、激しい高音の多いこの曲はちょっと気を使う。
区分がいくつかに分かれるが、テンポの速いところ、ゆっくりのところという具合にテンポをはっきり意識して歌うことである。
彼女の感性こういう曲に向いているようなので、細かいことよりも、ドラマティックに歌うこつだけを教えれば後は自然についてくる気がする。

きっちり伴奏がついて、落ち着いて歌えばもうかなりな状態で歌えるところにまで来ている。
予想外に早い出来である。