久しぶりだった。
始めてまだ半年くらいだろうか。まだ中学生だし、あまり細かい理論的なことも出来ないので、一進一退、といったところ。
習い事の難しいところは本人が興味を持つかどうか?と、進歩させるための方法論。
退屈されても困るし、何もしないのでは上達しないし。

ある程度の定期的な間隔を失うと、たちどころに元に戻ってしまう。
発声練習は、それでも声を頑張って出しているから、良しとしたい。
前にもやったと思うけど、お腹からしっかり声を出すのだけど、喉で頑張らないこと。
喉というのは、実際は下顎や舌そのものだろうか。

今日は少しだけやってみたハミングは、やはり一番大切のようである。
次回もハミングはしっかりやってみたい。

コンコーネは4番~6番まで。
4番は復習だったので、すんなり。階名で歌っても母音だけで歌っても問題なし。
5番は階名だけで歌ったが、上手くいったので、母音でもやった。
6番は始めての譜読みなので、階名で読んだが、このくらいになると、変化音が多いし転調が出てくると、普通の階名唱法では追いつかなくなると思う。
難しいと思うが、譜面から音程だけで読み取る癖が付けられると、かなり読めるようになると思う。
ドレミファ~という読み方で、転調や変化音を自由に読み取るには、ある程度の絶対音感が必要になるからである。

曲はプレヴェール=コスマの「シャンソン」から、フランス語で。
発音は充分に良い。後は発声だろう。
それでも、以前よりは喉が上がらないで対応出来つつある。

「寓話」は、これもフランス語、日本語ともに、問題なく歌えた。
後は発声の進歩を待つばかり。
同じ曲で発声をやりだすときりがないので、他の曲に移りたい。
新しい曲に入ろうということで、フランス18世紀のロマンス週からVenez agreable printempsをやることにした。

すぎたさん

最近、発声練習を始める時の声の勢いが良い。
また中低音も綺麗に当たり出していて好ましい。
後は高音域の後もう少し、♭になる傾向が改善されれば、まずは目標達成第一段階ではないだろうか。
声のことは苦労しているが、やればやっただけのことがある、という典型だと思う。
教えているから言うわけではないが、やはり辛抱したものが勝ちだ、と私は思いたい。

身体の使い方、あるいは身体の本来的な状態などもあるので、高音は♭になるのだろう。
全体に重心が低すぎてしまうので、高音に上るほどよく当たる声だが、意外なほどに息が上に昇らないという印象。
恐らく声帯を当てる、声のアタック時の呼気の強さを出せるのだが、それを後につなげられない、という印象。
ふかやさん、などと同じように、息を最初だけぶつけて後が繋がらない感じといえば良いだろうか。

それほど思い切り良くぶつけなくても、出る方法、例えばスタッカートなどの練習も良いだろう。
喉で当てて切るという感じで音程さえ出せれば、後は上手く行きそうな気もするが。。

曲はフォーレの「リディア」から。
声がイメージに合っている。
高声用でキーはちょうど良い。
細かい発声よりも、発音が気になる。
Sの発音である。特に次にiやyなどの母音がくると、いわゆるドイツ語のウムラウトと同じ発音になるのだが
Sがシュとなってしまう。いわゆる母音の軟口蓋化と呼ばれる現象。
難しいことは抜きにして、慣れるまで母音をUとして、スーと発音しておくことに。
いくらなんでもこの発音でSurがシュールでは問題だ。
今のうちに徹底的に治して欲しい。
フォーレのリリックなメロディが声に合っているのでこれからもレパートリーを増やして欲しい。

次はモーツアルトのパミーナのアリア。
リズムも良い。
声も抑制が効いてきた。
後は高音2点bがどれだけ綺麗に聴かせられるか?と、前半の中音域の発声。
発声練習では声が当たるのだが、曲になると歌詞のせいか?声が抜けてしまい、聞こえなくなって音楽が分からなくなる。
声が当たらない音域は逆に少し喉を閉じ気味に意識してみるのも良いかもしれない。

ヴェルディのCaro Nome
大分まとまりが出てきた。特に進歩はリズムがどうやらはっきりしてきたこと。
この曲は基本的な2拍子系の優雅なリズム感がきちっと出ないと、始まらない。
高音域も最高音前後を除けば、きちっとしてきた。
後は最高音域の声を熟成させるのみだ。

わきくろまるさん

発声では、少し身体の使い方を確認。
息の吐き方、そのためのお腹の使い方など。
彼女の場合、高音域は声を当てる加減が難しく、高音になると、思い切り出さないと良いポイントが出せない状態である。

中低音は本当に目の覚めるような良い声を出すけれども、それをそのまま無理なく高音に繋げるようにするのが難しい。
ただ、これも高音の発声と関係があるのだろう。
2点Cくらいから声が変わるが、ここから上の発声を常に基準においてやって行くこともこれからの選択になるかもしれない。
要するに中低音の綺麗な当たり具合をもう少し高く柔らかい響きの発声にしてみる、ということ。

今までこの声を基準にしていると、ハミングの必要性も感じなかったが、やはりこれもやってみたい。
感覚的なことだけど、中低音でよく響く声であったり、あるいは響かせてしまうと、高音もそのままの状態で上がろうとしてしまうものである。そのことで、高音を張りすぎてしまうのである。
当面は中低音の発声からもう一度やり直してみたい。

高音域のスタッカートもやってみたが、どうも彼女はスタッカートが苦手である。
何か喉を瞬間的に締めてしまう原因があるのだろう。
今日は当てる場所を喉の下の鎖骨の窪みを意識してやってもらったが、今ひとつ決め手に欠ける。
ただ、喉が上がるのは防げるきっかけにはなるようだった。

曲はベッリーニの「夢遊病」からAh non credea mirarti
例によって小さい声に拘って、喉の上がった声になってしまう。
全てを小さい声で歌うというわけではないので、まずは普通にきちんと声を張って出すところから始めてほしい。
その上で、むしろ高めの音域になったときに、小さく意識というよりも、抑え気味に、レガートにという意識を持つこと。
ある音域から上に上ろうとすると、喉が無意識に上がるので、その際にその上がるのを抑えるイメージで、顔をやや前に倒すような
感じで、喉を押さえ込むような動きにすると、歌いながら喉の上がりを防止できて、上手く行っていた。
これは練習の価値がありそうである。

最後にモーツアルトのドン・ジョヴァンニBatti batti o bel masetto
これを彼女が歌うと、実に練習になることを発見。
今更ながらモーツアルトの持つ基礎的な要素を再認識。

最初通してみたが、出しやすい声ばかりがバーバーと出て、どうもイメージが合わなかった。
ちょっとばかり声量を控えて、ていねいに歌うことをするだけで、たちどころにこの曲のイメージになる。
後は今日やった発声、あるいは今まで積み重ねたことを応用して歌っていけば良いだろう。

彼女が自主的にモーツアルトを取り上げて勉強しよう、と思ったこと、そしてその上でモーツアルトの良さをすこしばかり発見してくれたことが、実は何よりうれしいのである。そのこと自体が彼女の進歩であると思った。
ずぶの素人で右も左も知らないけども、椿姫を聞いて感動した人、が、それなりにレッスンを続けてモーツアルトの大切さの一端を自ら知ろうという意欲を持ったことそのものが一番大切なことなのだ。
それさえあれば、何も心配は要らないのである。

たかせさん

前回と違い今日は発声の声は調子が良かった。元気が良いし、高音も綺麗にチェンジしてびゅんびゅんとよく出ている。
それで、どれだけ行けるか上ってみた。
さすがに3点E~Fはまだ音程も出ないが、当たるようにだけはなった。
最初はかすらなかったが、喉を少し閉じて出すようにとやってみたら、取り合えず喉は当たるようになった。
3点Cを越えたら、再び声の調子、声の当たり具合を変える意識が必要だろう。

3点Cまでは、息の流れ、方向性を感じてお腹を使えばそれだけで出ると思う。
そのままだと、3点C以上は今は苦しいだろう。
更に細かい微細な振動になるから、少し喉を閉じる意識を逆に持ってみることではないだろうか?
お腹を使おうと意識しないで、胸から上、顔だけで出す感じ、といえば良いだろうか。
単純に高い高い叫び声、黄色い声から始めることである。

そんな声を聴いていると、どれだけ高音が伸ばせるか、教える方も興味がある。
コンコーネも50番はよく読めるし、平行して10番とか25番、あるいはパノフカやヴァッカイなどもやってみては?という考えが頭を掠めた。

だが、実際に大切なのは、中低音域の声質の洗練が当面の課題だろう。
音程も良いし、声も出ているし、普通に歌うなら文句をいうほどでもないのだが、やや声が硬く、声楽の声らしさには未だ欠ける。
一つはピッチをもっと上げて出せること、同時に鼻腔共鳴を作ることだろう。
ハミングでピッチを高めに決めて出せるようになる練習が当面必要だろう。
ブレスや呼吸は、少しずつ腹式呼吸に慣れつつあるから、見守りたい。

曲はコンコーネ50番から8番を復習して9番~11番まで。
一見詰まらないように見える旋律でも、一つ一つ丁寧に歌いこんでいるのが良く分かって、非常に好ましい。
楽しそうな旋律は、ちゃんと楽しそうに歌える、というセンスが非凡である。
心底、歌が好きなのである。
この練習曲は、ともかく最初に決めたとおり、細かい声のことより歌いこんで行くことで、音楽が身について行くことだ。
中音域の発声には気をつけたい。喉で押さないで鼻腔で響かせる中音域だろう。

曲はCaro mio benから。
ずり上げやこぶしの癖は消えていた。また発音も英語臭もほとんど気にならなくなった。
後半の長い難しいフレーズも処理できた。ブレスも人並み以上に持っている。
取り合えず、良しとしたい。
コンコーネと同じく、習うより慣れろ、で洗練させるより、もっと曲に当たって欲しい。
ということで、他の曲を渉猟してみるために、私も歌った。

その結果「ガンジスに陽は昇る」がお気に入りのようでやってみることに。
まずは母音だけで譜読みをしたが、まったく問題ない。
次回はイタリア語をつけて歌ってみたい。