Kのさん

発声練習を10分くらい。
イで上向、エで上向、最後にアで下降形。
いずれも2点Aくらいまでにした。

高音がまだ喉で締めてきついのだが、今は高音の出し方云々よりも、5線の中の音域だけで良いから、声をお腹から出すことと頬に緊張感を持って、目を良く見開いて明るい声を出すことを目指して欲しい。

曲は中田喜直氏の歌曲「6つの子供の歌」から「うばぐるま」から。
旋律を歌うことよりも、歌詞をはっきりとしっかりと語ること、声を出すこと、それだけである。
古い民謡、子守唄なので、語る要素がはっきりしないとほとんど意味を成さないから。

それから、「たんぽぽ」
こちらはぐっとバタ臭い曲で、伴奏形といいコーダの形といいまんまグノーである。(笑)
それはともかく、意外とたんぽぽ~と入る「たん」の音がはっきりしない。
上ずってしまうのである。
あまり力まないで音程を正確に、声のアタックを素早くジャストフィットで綺麗に入って欲しい。

「真昼の乙女」は一番オリジナリティを感じた。
感情的にならずに、むしろこれこそNHKのアナウンサーみたいに性格に淡々と歌うほうが、この曲のポエム感が生きてくるから面白い。

彼女の場合、どの曲を歌わせてもまったく同じテーマ。、
丁寧に、しかしきちんとしっかりと明快に発音すること、発声すること、それだけで音楽も自然に明快になるし、音楽や歌詞の持っている表現が出てくる。
楽譜に書いてあるダイナミックとか、声楽的な声のニュアンスとかそういうことはずっとずっと先のことで良いだろう。
それこそ、暗譜をして2回くらい本番を経て、やっと自然に心からそうしたくなってやることで良いのである。

彼女の場合、声の技巧もあるが、日本語で歌の心を素直に見つめて歌うことを学ぶことで、きっと彼女自身が得るものが大きいと思う。
そういう意味でも、日本語の曲を歌うことを勧めたい。
また、アマチュア声楽家としても、実に理にかなった素晴らしいことだから。

Oのさん

発声はイで1点Fくらいから始めて、最後にアで上がり下がり。
あまり細かくやらずに、声を温める程度に。
最初は、低音から例の癖で喉を太く下げて出してしまう癖が出た。
中低音は喉そのものは楽に自然にした方が良い。

喉は適度に下がり、軟口蓋が上がった、いわゆる喉の開いた発声は大切だが、
今度は喉が下がりすぎると、悪い癖が出やすいので注意して欲しい。
ただ、喉を楽にすると今度は声が鼻声になる傾向が強いのは注意して欲しい。

軟口蓋を上げるのと、鼻声になるのとは違うことはよく理解して欲しい。

コンコーネは24番~26番まで、ほぼ順調に進んでいる。
この辺りになると、声楽的な難しさもあるが、それ以上に彼女の歌唱の上達が感じられる。以前だったら、ひーひー言って出していた声も、落ち着いてきたしブレスも普通に持つようになった。
この調子でどんどん進みたい。

曲はヘンデルのAh mio corから。
譜読みはきちんと出来ていたが、声が前回よりもやや荒っぽくなってしまった。
特に中低音は、確かに喉を力まない方が良いが、かといって、何もしないと
これはこれでだらしのない声になってしまう。

唇をもっと使って突き出すような口でアーティキュレーションすることを覚えて欲しい。
それだけで、口の奥が形が出来て、響きの共鳴感が生まれてくる。
この曲は激しい曲だが、その雰囲気で歌うと、汚くなってしまう。あくまでも丁寧に発声をしてほしい。

最後に同じくヘンデルのLascia ch’io pianga
ざっと2回通したが、レシタティーヴォはまずは音符通りきちっと読める事。
それが出来たら、教えたようにイタリア語のディクラマシオンを尊重して歌えば、自然になる。

アリアは、最初のモチーフの8分休符で切れる所を必ず切ってほしい。ブレスではない。
高音が意外と良く出せている。
中低音は、Ah mio corと同じく、丁寧に発声を考えて出して欲しい。