TMさん
初めての方。同い年の方とは珍しい。笑
子供の頃に合唱をやっていて、喉を壊し、それ以来歌を歌わなくなった。
しかし、またやってみたくなった、とのこと。

今日は発声で声だけを聞かせてもらい、いくつかサジェスチョンさせてもらった。
声楽の呼吸法、喉の使い方などに特化した発声練習。

お腹と呼気の関係。口の開け方。息を送る場所。
高音ほど高いところに照準を持って送る意識があれば、お腹が自然にそういう強さを持つこと。
呼気を使うことで反射的に吸気が行われること。
声の出だしの強さは、今は意識して丁度良い。
などなど。。

体格、喉、共に、声楽にはとても良い素質を持っていらっしゃる。
喉も大きそうであるし、未開発な喉を開発するのはやり甲斐のあることだ。

現在はスケジュールが厳しいが、落ち着いたらじっくり教えて行きたい。

NSさん

このところ声の調子を崩していたが、今日ようやく完全復調という感触を得られた。
発声練習から声にも密度と勢いが増し、元気になった。
高音も復活して、元通りである。
これから後はどうか喉を壊さないで、本番に向かって欲しいものである。

Les berceaux
最初の通しは、そつなくまとめた歌だったが、声の芯に足りない、あるいは中低音域の声の密度がもう一つ、という印象。
何度か練習して最後の最後に、彼女のご希望でもう一度、とリヴェンジしたら素晴らしかった。
彼女は勉強を良くしている。

Au bord de l’eauも、彼女のテンポを最初は探ったが、再度合わせで彼女のテンポ感を確認して歌ってもらった歌は素晴らしかった。
彼女の声に対する気遣いとその音楽性が合致した演奏である。
あまり聞いたことのないゆったりのテンポという気もするが、ブレスの問題も出ないし、説得力のある歌に仕上がっているので良いと思う。

Je veux vivreは実に良く勉強してあって感心した。
最後に余計に3点Cの声を練習したが、ここはまだ気合一発で出すのが精一杯である。
まずは確実に出せるポイントに慣れる事しかないだろう。
慣れてきたら、更に発声を洗練させて欲しい。
高音以外では、発声云々ではなく、単に明るい歌だからその意を汲んで楽しく明るく歌って欲しい。

KHさん

今日は発声練習で中低音を中心に、彼女の声の魅力を模索した。
声は安定しているが、どこか響きに足りない印象。
音程も悪くないし、声もそこそこ出ているのだが、響きに共鳴感がないので、声の響きの膨らみ感がが感じられない。
恐らく声帯を無意識にぺったりと合わせ過ぎている感じといえば良いか。

楽器で言えば、彼女の場合は管楽器のイメージを持つと良いだろう。
常に息が響きに関与しているイメージである。
例えばフルート。
喉は楽にしておいて、呼気をもっと強く使えるようになってほしい。
呼気が使えるという意味は、声帯において少し開きのある感じだろうか。

後は毎度言うように、下顎が硬くほとんど使えていない。
彼女の場合は普通と逆で下顎はもっともっと自由に楽に降ろせた方が、前述の発声の問題の解決に津なる可能性が高いと思う。
理屈ぬきでもっと口を開いた発音、発声を心がけて欲しい。

今日はハミングから母音に変える練習を通して、喉側の深さを追及してみたが、
一長一短である。
発声練習の結果は良かったのだが、歌唱になるとまた喉だけで深くする、ある種のやはり力みの歌唱法に戻ってしまった。
これは恐らく下顎が使えていないのが、逆に舌根だけの力みで喉を擬似的に深くしてしまうことになっているのではないか？

Hを混ぜた発声練習を今度はやってみよう。

Se bel rio,
とても積極的にフレージングが出来て良い。上手い。これはこのままで良いだろう。

Sebben crudele.
これも歌唱としてはまったく問題がない。
ただ、声が後一歩の感あり。
今の時点では、声のディテールをやりだすとかえって良くない気がした。
発声でやろうとしたこと、あるいはこちらのイメージを伝えことが逆目に出た気がする。

Le Colibri
これもリズムの問題をクリアしたし、高音も持ちこたえて綺麗に処理できている。
発声に関しては、やはり彼女は顎が硬い気がする。
下あごをもっと脱力して降ろすように歌詞の発音と発声が出来ると、もっと良い中低音の響きが出るはずなのだが。。

Gunod　Ave Maria
イマジネーション、あるいはモチヴェーションという意味で、とても良い。
声を自分の思ったイメージに沿わせて歌おうとする姿勢が良い。

歌唱力、処理能力、インテリジェンス、どれをとっても充分なものを持っている。
後は声である。彼女が声を練磨すると非常に素晴らしい歌手になれると思う。
それで、声には拘りたくなるのである。
楽しみだけでいえば、今のままでもそこそこ歌え（ちゃう）のだが、一つは高音を伸ばすのは難しいことと、恐らく中低音の声はもっともっと良いものが出せると思う。