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発声練習は、やや身体の硬い印象と、疲れた感じがした。
歯も悪くしたようで、身体のエネルギーはやや落ち気味かもしれない。
だが、少し練習するうちに声は元気になった。

が、元気だがどうも重心が高いというべきか、テンションは高いのだが、身体が緊張したような印象は最後まで残った。

トスティのTormentoは、とても上手に歌えていると思う。
後は、発声のせいかもしれないが、中高音の5線上半分辺りで歌う声を、もう少し軽く楽に歌えることは、全体の抑揚をつける意味で大切だろう。
特に出だしから、あまり力まないで、Con animaで出すように。

テンポだが、テンポの数字よりも、イタリア語を語り進む要素が分かってくると、もっと軽快に楽に歌える、と言う点もあろう。

そういうことは、また高音に昇るフレーズでも有効である。
彼女の場合、ほぼメゾ的な声の出し方なので、5線の中だけなら、良いのだが、そのまま高音に上ると、少しきつくなってくるであろう。

そのため、この5線の上半分の領域で、声のチェンジの準備が出来た声になっていると、軽くて楽な高音が出せると思う。
その声は、確かにメゾ的な中低音とはそぐわないが、重い声を無理して持ち上げるよりも
喉には良いし、音域が広がるから良いと思う。

出せるようになって、歌える音域が広がってから、声を重くしていけば良いのである。

ということは、次のプッチーニのSenza mammaの最後のページの高音を歌うフレーズで有効であろう。
また、そのことと関係があるが、ブレスを余裕を持たせるには、最初から歌い回しを重くしないで、なるべくイン・テンポにしておいて、自然なリズムでブレスがきちんと入る歌い方を、作ってみることではないだろうか?

というようなことをレッスンしたと思う。
以前にも言ったと思うが、高音のフレーズは、理屈ぬきで、先ずは出せる方向を見つけたい。
それが出来てから、声質を決めていけば良いと思う。