HA

発声練習の声は、一段と進化して、すでに2回目で、かなりな進歩を見せていた。
特に喉の使い方はセンスがある、と思う

課題は、ブレスの取り方、そして歌う呼気の扱いに関する身体の使い方。

多分、台詞の発声と反対になってしまうのではないだろうか？
どうしても、前腹を出してブレスを入れるような感じになる。
そして、声の出だしで一気に呼気を使ってしまう。
これは、喉の使い方もあるだろう。
閉じない声帯で出し始めるので、あっという間に呼気を使ってしまう。

力んでお腹を出して吸うために、その反動で、声の出だしで一気に呼気が出てしまうのである。
声楽のための呼吸法を区別して覚えて欲しい。

下腹部を少ししめておくことで、横隔膜あたりを自然に拡げるようにブレス出来る。
コツとしては、前腹であれば、下腹部が締まるし、腰は逆に外に押し出すような感じでブレスを入れよう。
そして、そのことで、胸郭が広がるように、ブレスが入ればよい。

そしてフレーズを歌っている間、締めた下腹部で胸が落ちないように歌うこと、で、フレーズが歌い進めるであろう。
ここが慣れるまでとても大変だと思う。
習うより慣れろ、で今は闇雲でも良いから、身体を良く使って歌うことになれて欲しい。

コンコーネは3番を復習して、最後に4番をざっと譜読みした。
時間がなかったので、急いで急かす様にしたが、これは、意図的でもある。
ほとんど初見になるが、頭を使って要領良く、かつ確実に譜読みをこなす訓練も、運動神経という意味でよい訓練になるだろう。

NA

発声練習は中低音を中心に、軽く2点ｂくらいまでを上がり下がりした。
喉の温まりは時間がかかるが、少し歌いだすと中低音は直ぐに出てくるようだった。

ドビュッシーのNuit d’etoileから。
特にこれと言って問題な箇所はなかった。
声はやはり高音の歌い回しがとても綺麗である。
意識して歌っているのだ、とは思うが、柔らかいメッザヴォーチェのこの曲の高音は
歌詞に書かれている通り、夢見心地を良く表現していると思う。
強いて言えば、出だしの声質は、もう少し温かみのあるピッチの高過ぎないアタックが出来れば良いと思う。

Fleur de bleは、綺麗な声なのだが、少し狭母音がやや前過ぎる響きというかアペルト気味なのが、気になった。
口を突き出すような感じの発音、発声をやってもらった。
少し声色が暗くなるが、その暗さと開母音の明るさをうまく混在させられると、彫りの深い歌になると思う。

C’est l’extaseは、最後の低音もぎりぎり微妙に上手い所を保っている。
今はこれ以上深追いしないで、少し我慢でやっておけば良いとおもう。
楽譜にある、スタッカート=テヌートは、指示通りに表現して欲しい。

冒頭のモチーフが一番大切だ。
この音楽らしい退廃的な香り、雰囲気をこの冒頭のモチーフ1フレーズ一発で表現して欲しい。
ピッチはどうか？ビブラートはどうなのか？ポルタメントはどうか？
Extaseの意味を具体的にどう感じているか？
感じたままを恥ずかしがらずに、声に表現して欲しい。

Il pleure dans mon coeurは、中間部の語りがぎこちなかったのが自然になった。
オクターブの跳躍も綺麗になった。
コーダのブレスは落ちついて、カンニングにしなくて良いと思う。
出だしのモチーフの歌い方、あまり悲しくならないほうが良いのではないか？
悲しくなるのであれば、ウエットではなく、ドライに厳しく悲しくなるほうが良い。