12月10日

TH

以前は中低音の声の声量とか響きを、ということに及んだと思うが、今はどちらかというと、高音発声で、よりレッジェロな使い方を覚えることにベクトルを向けている。
高音に上るときに、出し初めに軽くピッチの良い響きが一瞬出るのだが、それ以上に声を押さないようにすると、軽やかな高音発声につなげられるだろう。

アドリアーナ・ルクヴルール
「私は大人しい下僕」「哀れな花よ」
前者は、ほぼ問題なく歌えている。
課題は強弱を表現することによる、感情のメリハリをつけること。
優しさと情熱との違い。

「哀れな花よ」哀しみの抑えた表現と、最後に感情が爆発するメリハリ。
弱声を大切にすることで、強声は自然に決まるだろう。

フォーレのレクイエムからPie Jesuは、やはりリズム。
テンポをいったん速くしてみて、In tempoで歌う意味を体感してもらう。
そのあと、テンポを指示されているAdagio50代後半くらいで練習すると、テンポがゆっくりでもIn tempoで綺麗に歌える。

最後にプッチーニのつばめから、ドレッタの夢。
このところ歌うたびに良くなっている。
高音が楽になってきて、通しを続けても喉が疲れにくくなっている。
適度な声の抑制と軽さを心がけると、まだまだ高音は伸びるはずである。

OZM

中音域の声は美声である。
低音はやや地声傾向が出るが、上の声区とのつながりが良いので気にならないから良いと思う。
ただ、そのせいか?高音の換声点から裏声になりやすい。
意識してもらえば治るが、発声上の課題と言えるだろう。

フォーレの「月の光」声と言うよりもリズムが課題。
アカペラで歌うと問題ないため、恐らくピアノ伴奏のリズムに引きずられてしまうようだ。
伴奏和音の強拍時に手を叩く練習をすると、上手く出来るようになった。

プーランクの「海に続く小径」母音で歌ってみると、中間部の高音5点Fがファルセット二なる点を修正。
特に下から跳躍の際に、5点F発声時に喉で声をせき止める意識がわかりやすいだろう。
息を吐こうとすると、声帯が開いてしまい結果的にファルセットになるのである。

12月11日

MMS

体験レッスンを終えてから2回目になる。

團伊玖磨の「秋の野」
中低音の発声の問題を修正しフレーズの歌い方によって、歌詞が明快になる。
フレーズの歌い方は、朗読のやり方で決まる。
歌詞を多少の感情をこめて朗読することで、自然な抑揚感が出てくることが、フレーズに影響。
発声的には、朗読時の声のトーンをなるべく高くすること。
彼女の場合は、これが中低音の息漏れ傾向を軽減する方法になる。

彼女の中低音が苦手な理由は、類推だが中低音でも必要以上に喉を開けようとすることが原因。明らかに声帯が当たらないため、息もれが出て歌いにくいはず。
高音発声の喉の開きを、そのまま中低音で利用するのは無理があること。
中低音の発声は、基本的に息漏れの無い声を探してほしいこと。

MO

発声については、下あごの動きの抑制と、声の当てどころの意識を変えること。
下あごの動きを抑制すると声の響きが集まるのだが、結果的に口先があまり開かない発声になる。
彼の場合はこれが舌根とあいまって、声が奥に引っ込んでしまう原因になる。

これについては、声を軟口蓋から鼻腔にかけて息を通すように意識して発声することで明るい響きになる。
母音の違いを明快にしないで、集めた響きで歌うことは大事だが、そのために声が奥に引っ込まないようにきをつけてほしい。

コンコーネ29番の練習は4点Eの換声点への跳躍が課題になった。
跳躍する際に、喉を上げないように飲み込むように指示した。
イタリア古典からSebben crudeleとVergin tutto amor
いずれも下あごを抑制した発音による発声と、声を前に出すことを課題とした。

12月12日

RK

発声練習は、全開と間が開かなかったせいか?短時間で調子を出せていた。
声が温まらないと、高音換声点直前の5点C辺りからおぼつかなくなるのが、今回は早くに回復できていた。
ただ、5点F♯を過ぎると、途端にファルセットになる。
息を当てる場所を意識して、息を詰めてせき止めるような意識でやってみること。
その感覚から、喉を上げないで高音に入っていく方法をつかめるだろう。
コンコーネ13番はリズムソルフェージュ。強拍の場所、感覚を覚えること。
手を叩きながら歌ってみること。
14番も軽く通した。

SKM

前回までのアーンの2曲、クロリスにと恍惚の時を復習した。
本番で息が続かない原因は、本質的にあったのだが、試演会まで調子が良かったのを放っておいたのもいけなかったのだろう、と反省。

やはり声の抑制はまだ難しいのだと思う。
良く響かせた声で歌う中から、自身のブレスを確立することがまず求められているのだと思う。

自分の気に入った曲をやるだけでなく、知らない曲を一から譜読みして仕上げていくことも、とても勉強になるので推奨したい。
ヘンデルのオペラ「ジュリオ・チェザーレ」からアリアPiangero la sorte miaとチェスティのオペラ「オロンテーア」からIntorno all’idol mioをやることにした。