TNK

発声練習

声は良く響くようになった。
また高音の処理も、こちらの意図を良く汲み取って上手に対処できている。
残る課題は、中低音の声質である。
彼は、口をあまり開けない発声のため、自ずと上顎に響きが当たる。
これはこれで明るくピッチの良い中低音の声になる。
ただ、声質としてバリトンらしい深みとか重みがやや欠けるきらいがある。
中低音域の発声で、下あごを良く降ろして発声することで声がどう変わるか?
その違いを会得してほしい。

コンコーネOP9より41番

音取りは問題なし。
課題は特に2ページ目からのリズム感。
全体に4拍子なら4拍子の拍節感をきっちり身体に落とし込む作業が第一である。
音取りよりも、そちらの方が難しいかもしれない。

シューベルト「野ばら」

今回は声質について課題とした。
発声練習で行ったような、中低音の声質。
口を縦に開けることに慣れてほしい。
恐らくこれに慣れると、今度は中高音の明るさやピッチが後退するだろう。
この両者のバランスを考えて、理想の声に近づけていくことになる。

シューベルト「菩提樹」

これも「野ばら」と同じ課題である。
ただ、声域が低い譜面なので、声が聞こえて来ないデメリットがあった。
そのため、かなり声を張るようになったのだと思う。
ピッチも高くなったが、声がキンキンする感じである。
従って、もう少し声量を勘案して穏やかなこの作品の良さを表現出来るように、練習していただきたい。

武満徹「歌うだけ」

伴奏を付けてどうなるか?を確認して仕上がりとしたい。
現状、私が伴奏を弾きながら聞く分には、特に課題はないと思う。