SA

発声練習をハミング母音取り混ぜて10分ほど練習した。
声の調子はとても良い。
曲はシューマンのリーダークライスOP39から、In der Fremde
シューマンらしいフェアリーな独特の雰囲気。
テンポが軽快だし、音符も細かいので、気を付けないと、詩が本来持っているイメージを損ないそうである。

彼女の語る詩の訳から類推したのは、恐らくシューマンは詩人が次から次へとイメージが噴出する様、イメージを忘れないために早口で一気に喋る様を音楽に表現したのではないか?
それは、詩の朗読でそういうイメージを持ったのではないか、と思われた。

そのことを考えれば、声はなるべく喉を締めないで、良く開いた落ち着いた声によるメッザヴォーチェが必要とされるであろう。
比較的中高音が多用されるメロディーであるし、喉が締まり易いので、発音で気をつけなければいけない。
特にIの母音については要注意。出だしの2点EのIchのI。唇、特に下唇を突き出すような使い方をすれば、Iでも喉が上がらない。
これは、解説すると難しいし滑稽にさえ思えるが、恐らくドイツ人(アーリアン)であれば普通のようにやることである。
このことを中心にレッスン。

あとは、信時潔が与謝野晶子の歌につけた「いずくにか」と「うら淋し」そして蒲原直明の「茉莉花」と練習した。
「いずくにか」は、ドラマティックな上昇音形。声は何を歌うとしても共通のことだが、もう少し喉が開いたゆったりおおらかな声を目指したい。
細く鋭くというイメージではなく。
「うら淋し」は、これも強過ぎない声で語りをはっきり、明快にしたい。その意味では声楽的にとても難しい曲である。
声を集める癖があるが、これが歌詞が不明瞭になる原因でもある。声を集めないで、母音のてにをはだけを、明快に出そうとすれば、必然的に息混じりの声になると思う。
しかも、57577の最後の節だけ、間奏を挟んで歌うから、最後の節の歌い方が意味深である。意味は感じずとも、言っていることが伝わるように歌うことに腐心すべきであろう。

OM

発声はハミングで始めて、下降形上向形取り混ぜて練習をした。
今日の声の特徴は、2点Gから上の声が明快にチェンジしていたこと。
以前は、2点G~Aくらいは、ファルセットだけのような声だったが、喉を開こうとしているのか?
良く言えば支えのある声になっていた。
ただ、喉でしっかり当てることで支えを出しているように思われた。
このため、音形によって上手く行く、行かないが明瞭に分かれてしまうようである。
かい離した音程を上に行くのは苦手そうである。

曲は「魔笛」からパミーナのアリアから。
前回より進展していた。
特に高音域は、安定してきた。出来れば中低音がもう少ししっかりしたい。

高音域では、喉で当てているから、声のアタックでしばしば時間がかかったり、カスッてしまうことがないだろうか?
このため、テンポを早くしてみた。
早いテンポではどのように出来るか?と思った。
逆に言えば、テンポを早くすることで、喉の負担を軽減した発声に自然になるであろうと思った。

オランピアのシャンソンも前回より全体に声がしっかり出せてきたと思う。
本人が思っているよりは良い印象を持ったが、まだ声が疲れるようである。
1番だけなら良いが、2番まで通すと、カデンツの高音は苦しい印象が残る。
最後の3点Esは、当てるだけではなく少し延ばして響かせることまで意識してほしい。

また、フレーズによっては意外なほどブレスが持たない。
カデンツの3点Esに昇るスタッカートの上向音形などは、当てようとするからテンポが重くなって、ブレスも足りなくなるのではないだろうか?
喉だけに頼らないで、ブレスを意識して入れることと喉の準備をすること、という基本を練習することは大切だろう。
そのことで、もっと素早くアタックを出来るだろうし、先に進むフレージングが意識出来るようになる、と思う。