5月23日

TR

発声練習は下降形で2点Dから上に昇って始めた。3点Cまで。
彼女の高音は素直に高音区の声に変って行けて無理がない。男性でいえば自然にファルセットに変えて歌えるような感じである。
その分、工夫はいると思う。
強い感情を表現する高音のために、もう少し太さや芯をつけることが、これから覚えてほしい。
そのためには、ハミングで芯のある響きのままなるべく高音まで持って行く練習をすることが良いと思う。

中音域は、良く響いて芯のしっかりある声だが、その反面2点C~Eはやや喉を締めているのか、響きが固く♭に聞こえる面がある。
喉を微妙に開くことで、チェンジを早めに意識した声が準備できると、自然に高音に入れると思う。
特に低音からの上昇フレーズではそのことが顕著に出る。

曲はシャブリエの「星のロマンス」から始めた。
課題はやはりテーマの声。もう少し柔らかさとピッチの良さが明快なメロディになると良い。
今日はやらなかったが、前述のハミングで芯のある響きでピッチを良く合わせて行くように練習しておくと、母音になって楽だと思う。
ピッチの良い響きを出そうとすると、恐らく開いた感じの声になるのではないかな。開いた共鳴感のある頭声になっても綺麗だが、それはどちらでも良いと思う。

2回出てくる高音の2点Aは、これも無意識に後ろに引いてしまわないで、はっきり前に通すように出すと良いだろう。
また、喉が苦しければ口を縦に開けて出そう。これはいきなりではなく、前の音を出しながら開けておいて、2点Aにアタックするようにということである。

カディスの娘たちは、逆に中低音のテーマの声が芯が出ないので、確か母音Iで練習してから歌詞に応用したと記憶している。
声を前に集めるようにしっかり歌った方が良い。
そして2点C~Eの声は、前述のようにピッチに注意してほしい。素直に出すと喉を押してしまう形になるので、特にちょっとした音程上昇の際には、発声を意識すると良いだろう。
たびたび出てくる高音の声は上手く処理出来ているが、最後の3点Cが少し厳しいか?ちょっとしたことで良くなる感触があったが、時間切れで次回に持ち越しとなった。

TK

発声はいつも通りの下降形で始めて、低音域は下のbまで出してみたが、結構出るようになった。
出る、というレベルで響くまでは行かないが、以前よりもかすらない声になった。
高音はいつも通りにとても元気が良い声が出ていた。

曲は中田喜直の「おやすみ」から。
まだ音に馴れていない面もあり、何度か通してみると、日本語の発音のせいで声が響かない面が多々感じられた。
それで、母音を限定して母音だけの練習を部分でやってみたりした。
結果的にだが、中高音から高音にかけて、彼女の声が一番乗るところは、歌詞よりも響きを優先すること。
そして響きが乗らない低音域は、逆に歌詞のてにをはを明快にはっきり発音する、という方針に決めた。
そのことで、歌全体の平均値が響きの良い、そして歌詞の判る歌になるのであった。
考え方としては、ソプラノであれば、たぶん誰でも応用の効く方法であると思う。

次にグノーの「私は夢に生きたい」を練習。
伴奏のテンポ感と彼女の歌声のリズム感が一致して、弾いていてなかなか楽しいものになった。
こちらは下手なピアノで音量構わずバンバン弾いたが、彼女は臆することなく歌い進んで行けた。
基本的にこういう乗りが出たことが、とても良い。
後は高音のディテールを修正。
母音のせい、特にIなどの狭母音で締まった響きになるところなどを、修正して響きを優先させるように練習した。
歌うことが楽しい、という基本的なところが出ているので、自然な喜びが出せているのだろう。 

SM

発声練習は母音のIで上向形で始めてみた。
低音~中音域は良く出ていてそのまま上がっても自然にチェンジするから問題ない。
後は開口母音でどれだけ中低音が上手く出てくれるかだけである。

ところでIの母音で上がって行くと、チェンジする辺りから口を開けて出すためか、共鳴が低くついて♭勝ちなのと、重すぎる高音になる。
それで、口先を開けない、特に下あごを絶対に降ろさないようにして、どれだけIの母音で出せるかやってみた。
これが、2点bまでしかやっていないが、これが上手く行くのである。
本人はかなり難しいかもしれないが、徹底して練習すると高音の細くてかつ芯があり、良い音程感のある響きが出来ると思う。

その高音から今度は低音に戻す練習をしてみた。
上手くはまると、綺麗にしっかりした低音に戻れるが、これがクリティカルで3度に一回くらいの確率。
また、戻ろうとするとかすってしまう傾向がある。

高音からこのしっかりした低音に戻るフレージングは、動きの速いパッセージでは使うことがないので、問題はないのだが、
高音を出した直後に、ブレスしてから瞬時に低音域に戻すことは、ままあることなので、切り替え、という意味で習熟してほしかった。

この切り替えがどうしても上手く行かない、あるいは確率が低いようであれば、この低音の声は使わない道を選んでも良いと思う。
要するに一段上の声区の声のまま落とさないで出すのみ、とするのである。その基準は2点Gでは高すぎなので、2点Eくらいで良く共鳴のある声を作って、そのまま降りて行った声の出し方という意味である。

曲は日本歌曲の「野薔薇」「」そして、最後に「ルイーズ」のアリアを一通り通した。ルイーズはやはり最後の低音の発声に工夫が必要と感じたが、
日本歌曲の2曲は中低音の発声は問題を感じなかったし、声の響きがとても良く出ていた。

NA

伴奏合わせ。
フォーレ「我らの愛」から始めた。
テンポはちょうど良かった。発音は特に直すべきところはなかった。細かい言葉が綺麗に正確に発音されていた。
指示したことは、最後の高音の声について。
Est chose eternelleの2点Fis→Gisに行く響き。響きが逃げないで前にしっかり出てほしい。
同様に、最後の2点hへのアタック。もう少し鋭く一気にアタックして響きが出ると、素晴らしい。

フォーレの「夜想曲」から。
テンポはちょうど良い。ブレスが一つ気になるところがあり取ってもらった。
Que d’etoile dans les cieuxはなるべくブレスを入れない方が良い。というか入れるととても目立つ。
その分、最後の伸ばしは自然に切れても気にならないのである。
むしろ最後のフレーズ、Mon amour et ta beauteは無理しないでブレスを入れても良いと思った。

同「リディア」これは何も言うことはない良い出来であった。
こちらの教えた通り、声量を不要に抑制しない声で良く響いていたことが良かった。
歌曲だから、といって小さくこじんまりとまとめないで、声の響きとピアノの豊かな響きを十分活かした大きな音楽である。

モーツアルト「あなたの心は今は私に」
これも特に問題のない演奏であったが、何度か通してもらい、考えられるところを指摘して行った。
この曲も高音の特に回すような響きが、やや弱い感じがある。細かく上に昇る音形の高音も、もっと鋭く集めた声になると更に素晴らしいと思った。
後は伴奏の音楽、全体におとなしく目立たないような印象があったので、もっと闊達に自由に弾いてもらった。
声もピアノに対してテンポの乗りが必要なところは、どんどん先に行くようにエネルギッシュにお願いした。