MT

今日は発声をせず、すぐにクィルターの歌曲を5曲歌いました。
どの曲も歌曲らしい美しい、また詩的な曲でした。

どれがどうというディテールよりも、全体に歌詞発音と発声の関係で、やや浅く平たい響きなのが
少し気になりました。

響きを当てる意識において、前に出そうとするためと思われます。
声は前に出て良いのですが、前に出るのは共鳴した結果、自然に前に出る、という考え方をしてみてください。
逆にいえば、直に響く場所そのものはもっと奥にあるのだ、と考えれば判ると思います。

一方、1点G以上の高音発声そのものは、良いと思います。
前記の問題点は、むしろ5線の中の音域です。

特にIの響きは締まった印象があります。
声帯そのものを鳴らそうとしないで、上あごの硬い所辺りで共鳴させるように、特に上唇を反らすようにして共鳴を探しましょう。
同時に下唇を突き出すと、喉を下げる効果があるので、声帯は開きやすいでしょう。

これは結局、丸い口、突き出した口をすることになります。

それから声に関しては、自覚以上に声を強く出しているのではないでしょうか?
もっと楽に響かせるポイントが見つけられるように思いました。
ただし、その分、口の使い方には相当工夫が要ると思います。

歌曲は発音と発声が生み出す響きの美しさがとても大切です。
この点をこれからも集中的に工夫して勉強されてください。

YS

中学生のお嬢さん。学校で聖歌隊に所属しているそうです。
声楽の基本を習いたいとのことで、来ました。

今日は体験レッスンなので、30分弱ほど、発声をやりました。
声を聴くことと、本人の課題を知ることでした。

どのくらいの高音まで自然に出せるか?というと、2点Aまでです。
後は、喉と軟口蓋の開きをもっと開発しないと、更に高音を出すのは難しいでしょう。

それから、1点bから下になると、響きが薄くなり、スカスカになってきます。
それでで1点Cまでは使えますが、出しにくそうです。

声は典型的な女声合唱のソプラノの声で、中低音が薄く、高音が綺麗にファルセットで出る声です。
また誰にも教わらず、先輩に教わったり真似したりしただけ・・と言ってましたが、口の使い方が理に適っていて
下顎をほとんど使わずに、頬を上げて、口の開け方がちょうど逆三角形になる、良い使い方になっていたのには驚きました。

本人は、地声が子供のころより高く出なくなったことを、最初に言ってましたが、
喉は大人になるにつれ、ホルモンの分泌で大きくなりますので、普通に出にくくなると思います。

今後は、地声とファルセットの中間の状態を覚えないと、中低音の声が出づらく、ト音記号中の下半分の音域が歌いにくいと思います。
また、ソロでも歌うためには、もう少ししっかりした声の芯を高音でも作らないといけません。

今持っている能力は、基本的にはかなり高いレベルだと思います。
更に、合唱でもソロでも自由に歌えるようになるには、更に自分の癖を知って、適正な発声法を覚えることが必要でしょう。
どの程度のことをやりたいか?にもよりますが、無理なく少しずつ長い時間をかけて育成することが大切だと思います。
急いで無理をしてしまうと、元も子もなくなるからです。

SY

今日は、歯を痛くしたせいか、下顎が使えないために、声の調子がもう一つでした。
ハミングの発声で、高めの音域を練習しようとしましたが、入れるべきところに力が入れられない状態で、ファルセットになってしまいます。
それで、母音に切り替えて普通に中低音のみを練習しました。

グノーのL’absentは、いつもに比べて調子のせいもありますが、もやっとした歌になったので、はっきり発音を旨としました。
子音の発音を意識して早めに子音を処理することでした。
この曲のような、ゆったりした甘い曲は、歌も一緒にそのように歌ってしまいますが、これが逆に印象を悪くする原因になりがちです。
このような曲ほど、明快にはっきりと歌うことで、本来の曲の良さを表現できるでしょう。

フォーレの同名の曲も、まったく同じです。こちらはテンポ設定が大切で、遅くなり過ぎないこと。
あくまで、アンダンテをきちっと守って行けば大丈夫でしょう。
それから、弱声は、なるべく要所だけに絞って、最初から弱く行かないこと。最初に弱くしてしまうと、印象が弱くなってしまいますので。

Automneは少し早目のテンポで練習しましたが、声の調子と勘案しても良かったと思いました。
次回は、再び少し遅くして、レガートでどれだけ歌えるかを見たいと思います。

Lydiaは声の響きが軽くなり過ぎないように、要所要所の母音の深い響きを教えました。
綺麗なメロディなので、何となく上っ面で歌ってしまいますが、そうなると、どこか軽薄な歌になってしまうと思います。
声の響きが乗る個所では、きちっと響かせることを意識してください。
そのためには、子音の意識も必要になって来ると思います。

MM

母音をIで初めて1オクターブ位を上がり下がり。そして、母音にして同じくらい上がり下がりという発声をしました。
低音は良い声が出ています。1点Aくらいから上がって行く喉を少し抑え目にしているのが判ります。

ただ、まだ良く分からないのがブレスでその喉のポジションが決まらないことにありました。
おそらくブレスで決まらないから、喉だけで下げて歌うことで、結果的に上手く当らないから♭になる、というような悪循環もあるのでは?と今思いました。

さて、曲はクィルターのMusic, when soft vices dieから。
出だしの声から第一節の終わりまで、声の響きに支えがあり、とても良かったですが、次の節の頭のRoseの声から
薄すぎて、そのままどうも喉の上がった声になってしまいました。
全体に、イメージしている声のポジションが彼女には高いのではないか?という気がします。

それから滑らかレガートも良いですが、実際の声となると、逆に悪い影響もあるような気がします。
もっと発音をしっかり利用すること、子音を出すことで、喉がきちっと落ちて、良いポジションで母音を響かせることが出来ると思います。
たとえばRose leavesと2点Esから1点Asに降りる際に、下の1点Asが彼女の場合は、喉が浮いてしまうようです。
このような下への跳躍に関すること、色々言えますが、音程がどう変わろうと、響きが変わらないように、という大原則さえ覚えて入れば、
自然にそういう発声になると思います。その点に注意してください。

後は、シュトラウスのAllerseelen
これも同じようなポイントを押さえて、かなり綿密に細かく練習して行きました。
最後になって、どうも顔の上半分の開きが足りないと思い、髪の毛がバサッと動くくらい、目を見開き眉毛を上げるように、こめかみの筋肉を縦に伸ばすようにして
ブレスをして声を出すと、俄然、上の開いた声になります。

最後にオペレッタ「デュバリー伯爵夫人」の「私の心を捧げます」
これは声のポジションを取り上げました。声の出始めで、深いポジションを必ず意識してください。
何となく歌うと喉が浅く、発音も曖昧になり、結果的に母音の響きが浅くなってしまいますので。